山本繁太郎前知事の病気辞職に伴う山口県知事選(2月6日告示、2月23日投開票)に出馬準備を進めていた、NPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏が、1月21日、山口市内のホテルで立候補を見送る記者会見を行った。
飯田氏は、2012年7月の山口県知事選に「脱原発」を掲げて立候補し、次点となった。同年12月の衆院選には、日本未来の党の公認候補として山口1区で出馬(落選)し、その後、山口県内を拠点に「地域還元型のエネルギーシフト」の実現に向けて活動を続けている。飯田氏は不出馬の理由として、「地域での再生可能エネルギーの普及に尽力したい」と述べた。
- 日時 2014年2月21日(火)
- 場所 山口市内某ホテル(山口県)
大きな賭けに出るより、現在の活動に尽力
飯田氏は、今回の山口県知事選挙への立候補見送りについて、次のように述べた。
「今朝まで、最終決断を迷っていた。出馬の可能性99%、不出馬の可能性も99%だった。見送ることにした理由は、実務的には、選挙体制を整えるのに1年半の準備期間では不十分だということ」。
続けて、「原発ゼロを掲げる、東京都知事選挙での小泉・細川連合を見て、自分が山口県知事となって連動する可能性も考えた。しかし、最終的に決断した一番大きな理由は、改めて、自分がやるべき仕事は何かと考えたこと」と話した。
「山口県では、自然エネルギーを中心に、地域で資本が回っていく『地域資本主義』が、ようやく育ってきている。今後は、地域主導の社会を作るという方向で、尽力していきたい。大きな賭けに出るよりは、育ててきた芽を伸ばしたい」と表明した。
「地域資本主義」で上関原発に対抗
自身の政治団体の解体については、「支持者や組織で話し合っていきたい。今後も、(今回以外の)選挙に出馬する可能性は低い」としたものの、自然エネルギー関連の政策提言などは、引き続き行っていく意向を示した。
以前から取り組んできた、上関原発の建設反対運動については、「(建設予定地対岸の)祝島の島民の方たちと、自然エネルギー100%プロジェクトをやっている。実践的にエネルギーを変える方向に軸足を据え、経済面からも、上関原発がいかにナンセンスかを訴えていく。政治に翻弄される上関へ、自分なりの支援を続ける」とした。
会見の終盤、前回の県知事選で、飯田氏に次いで3位の得票数だった高邑勉氏(元衆議院議員)が、「なぜ、あきらめるのか!」と飯田氏に詰め寄る一幕があった。候補者を一本化する調整で、飯田氏から「山口のために一緒に闘ってほしい」と依頼があったと言い、「私は涙をのんで、飯田さんを支えようと思い、自分の支援者を説得した」と訴えた。その上で、高邑氏は「翻意してほしい」と迫ったが、飯田氏は「本当に申し訳ない」と謝罪するにとどまった。