「情報流通の促進」の必要性を訴え続けてきた弁護士でジャーナリストの故・日隅一雄氏の意志とは逆行するように、今臨時国会で、特定秘密保護法が成立した。「日隅一雄・情報流通促進基金」が12月12日、「設立1周年記念シンポジウム 秘密社会がやってくる ―情報流通を妨げる秘密保護法―」と題したシンポジウムを行い、特定秘密保護法の危険性について議論した。
日隅氏と同じ東京共同法律事務所で働く海渡雄一弁護士は、「天国の日隅さんは、『もっとちゃんとやれよ』っていう思いで見守っているのではないか。ずっと日隅さんと対話しているような気持ちで反対運動に取り組んできた」と振り返る。
さらに、「ここで諦めるわけにはいかない」とし、成立した秘密保護法を廃止するためには、「国会に請願署名をし、野党や無所属の反対派を大同団結させ、ツワネ原則に見合った、より情報公開ができるような法制度を作ることが必要だ」と話した。
基調講演を行った情報公開クリアリングハウスの理事長の三木由希子氏は、秘密保護法成立までの過程に、政府の「アカウンタビリティ(説明責任、会計責任)」がないことが問題だと批判する。アカウンタビリティの前提は「情報の記録、管理、公開」であるとし、「政府に、アカウンタビリティの徹底が根付く前に秘密保護法制度が拡大してしまった」と指摘。公文書などの情報は、主権者である国民のものだという前提を改めて強調した。
パネルディスカッションに参加した東京新聞の佐藤圭記者は、野田佳彦内閣下で進められた秘密保全法有識者会議の不透明性を疑問視し、「本来オープンにするものも隠すということを、行政は頻繁にやっているし、そういうことばかりだ」と指摘。「民主的にものごとを進めていくという発想がないのではないか。自分たちで決め、逆らう奴は弾圧する。極端に言えば、そういうものを狙っているのではないか」と政府の姿勢を批判した。
秘密保護法で、情報公開に逆行する秘密国家日本「天国の日隅さんは『もっとちゃんとやれよ』と見守っている」