秘密保護法は、漏えいを防ぐため?漏えい者を処罰するため? ~第58回 日本の司法を正す会 2013.11.27

記事公開日:2013.11.29取材地: テキスト動画
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(IWJ・鈴木美優)

 「国の重要な問題が討論もせずに通っていく」ー。

 26日夜に衆議院本会議において賛成多数で可決された秘密保護法案について、27日に行われた「第58回日本の司法を正す会」で村上正邦氏は強く反対の意を表した。この日の会では「特定秘密保護法案を考える」というテーマで、日弁連秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉氏が秘密保護法案の法的問題点を挙げながら解説した。

 「安倍さんが辞めると言わない限り、秘密保護法案は止まらない」清水氏はこう話し、「国会議員が法案の中身を理解しておらず、理解と納得を得た法案をつくるべきだ」と指摘した。また、情報の問題に関して、日本の基準で考えるのは時代遅れだとし、世界がどう見るかを考慮すべきだと批判。

 清水氏は、本法案を「官僚による官僚のための法律」と呼ぶ。「国防をまじめに考えているのか疑問を感じる」と本法案の目的についても指摘し、「(秘密保護法案が)官僚と警察管理の法律だ」と述べた。本法案には、「行政機関の長」や「警察庁長官」を主語にした項目が多く、「義務を課す法律ではなく、権限を与える法律だ」と強く批判した。

 秘密保護法案の第1条には、「国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される」と書かれている。これについて、前半は抽象的で立法目的としては適さず、後半にいたっては理解不能であると清水氏は断言する。また、インターネット社会であるにもかかわらず、デジタルデータ流出の防止に関する規定もない上に、立法の手段が定まっていないと指摘した。

 また、同じく1条について、「目的と手段が噛み合っていない」と清水氏は述べ、「法律には、漏えいした者への処罰のみが記され、漏えいしないように何を義務付けるかという対策が書かれていない」と続けた。本法案には、情報漏えい者には最高10年の懲役が課されると記されているが、漏えいを防ぐために誰が何を対策すべきかが説明されていないのである。清水氏は、ルールを決めて、公務員が何を守らなければならないかが分かる法律にしなければいけないと訴えた。

■ハイライト

  • ゲスト 清水勉氏(日弁連秘密保全法制対策本部事務局長)
  • 進行 青木理氏(ジャーナリスト)
  • 日時 2013年11月27日(水)14:00~
  • 場所 村上正邦事務所(東京都千代田区)

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