2013年7月25日、都内にある村上正邦事務所にて、「第56回日本の司法を正す会」が行われ、ゲストとして、クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件で起訴された、八田隆氏が招かれた。
2008年11月、クレディ・スイス証券の職員、元職員に一斉に税務調査が入った。税務調査の対象となった人の数は、約300人。2007年6月に、同社を既に退職した八田氏も、調査の対象になった。
八田氏は、会社からの給与に伴う所得税が、全て源泉徴収として天引きされるものだと思い込んでいた。しかし、会社の給与プログラムとして、賞与、退職金の一部を、株式として与える「現物給与」というものがあり、クレディ・スイス証券は、これに関して源泉徴収を行なっていなかった。税務調査の結果、現物給与分の所得税を過少申告していたことが発覚し、八田氏は過失そのものは認め、その後すぐに修正申告の手続きを行なった。しかし、2011年12月、八田氏は所得税約1億3千万円を脱税したとして、所得税法違反の罪で起訴された。
- ゲスト 八田隆氏(元クレディ・スイス証券 部長)
- 進行 青木理氏(ジャーナリスト)
会の冒頭、八田氏は「国税局は、『故意の脱税である』と指摘している」と語り、国税局の指摘する過少申告の「故意性」を全面的に否認。また、「全ての交通事故が故意、と言っているようなもので、論理としておかしい」と国税局、そして検察を批判した。
司会であり、ジャーナリストの青木理氏は、「一罰百戒として、申告漏れの額が多かった八田さんが、吊るしあげの対象になったのでは」と一連の申告漏れ事件を分析。村上正邦元参院議員は、「裁判官は個人ではなく、組織の人間。検察官と裁判官は、人事交流をしている」と述べ、「一つ屋根の下に、一緒にいるんですよ」と裁判官と検察官のもたれ合いの関係に、警鐘を鳴らした。
この事件は、2013年3月1日、一審で無罪判決が下されたが、12日に、検察側は控訴。二審の初公判は、10月初旬の予定だ。八田氏は、「検察官控訴で有罪に転じてしまったら、彼らの成功体験が生まれる。高裁では判決にこだわりたい」として、徹底抗戦の構えをみせている。