「田中俊一委員長が東電廣瀬社長と直接面会、汚染水・廃炉対応について話し合う方針決まる」第28回原子力規制委員会 2013.10.23

記事公開日:2013.10.23取材地: テキスト動画
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(IWJ・箕島)

 原子力規制委員会は、東電から提出された汚染水対策などに関する報告書を評価した結果、規制委の意図が伝わっていないと判断した。規制委員長が直接東電社長と面会し、福島第一原発における汚染水対応・廃炉対応について話し合うことが、10月23日に開かれた第28回原子力規制委員会で決まった。

東電社長を招致、規制委員長と直接面会

 福島第一では、豪雨によるタンク堰からの溢水、汚染水の流出が繰り返し発生している。東電の対応の不備を受け、池田克彦規制庁長官は10月4日、東電の廣瀬直己社長に報告を口頭で指示。東電は10月15日に報告書を提出した。規制庁事務局は報告書の内容を評価し、本日10月23日、規制委員会に報告。規制委員会で報告書の中身が議論された。

 規制委は、東電に対し、福島第一の汚染水問題や、柏崎刈羽原発の運営管理問題に関して、同じ事業者の施設という観点から報告を求めていた。

 報告書とその評価結果を踏まえ、委員からは、
 「福島第一と柏崎刈羽が別の会社に見える。報告者はその異常さを感じなかったのか」
 「書いた人は現場の情報を把握していない」
 「今の問題解決に必要なのは技術力。経営や管理能力ではない」
 「これ以上紙のやりとりをしていても生産的でない」
と辛辣な指摘が上がった。

 委員会としてこの報告は納得できず、紙面でのやり取りは生産的でないということから、大島賢三委員は「委員長が、直接東電社長を招致し、話しをする必要がある」と提案。田中委員長は提案を受け、直接面会する方針を決定した。早急に日程を決める予定だという。

以下、第28回原子力規制委員会で議論された各議題

■独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案について
 原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号附則第6条第4項)に、独立行政法人原子力安全基盤機構(以下JNES)を廃止、統合することが、記されている。大臣決裁、閣議決定というプロセスのための法律案が議論された。
 法案のポイントは、以下の三点が特例として設けられることだ。
 (1)民間企業であるJNESの職員を、行政機関である規制委の公務員として採用すること
 (2)給与水準が現在JES対規制委で120対100だが、公務員側の100に下げること
 (3)在職期間、共済組合加入期間の通算について特例を設けること。
 年度内の統合を目指しているという。
 統合について、大島委員は「規制委として強力な資産になる」、更田委員は「放医研など国内の(外部の)研究機関から技術情報を得るサポート体制が必要」といった意見が出た。

■東京電力「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更(モバイル式処理設備の設置等)の認可について
 福島第一原子力発電所の海水配管トレンチ内の滞留高濃度汚染水の対策として、トラックの荷台に乗っているモバイル式処理設備について議論された。
 抜本的対策ではないが、放射能濃度の低減に有効。ただし、海側なので、津波への対策が必要ではないか、といった意見が出た。

■平成25年度第2四半期の技術情報検討会の実施状況等について
 原子力安全推進協会(JANSI)との情報交換会を開催、事業者との情報共有を図っていることが報告された。
 米国の原発施設において、外部電源として受電する三相交流の一相が解放故障し、原子炉がトリップした事象があり、交換会で対応が必要と判断された。これから国内の全原子力事業者に対し、同様の事象が発生した場合の検知、対応について報告を指示するという。

■高速増殖炉もんじゅ敷地内破砕帯の追加調査計画について
 規制委はJAEA(日本原子力研究開発機構)に対し、もんじゅ敷地内破砕帯の追加調査を指示している。その追加調査計画が10月3日に規制委に提出された。
 11月下旬に一次とりまとめ、年度内来年3月ぐらいに最終結論の予定。

汚染水対策に関する規制要求を事前に提示する

 福島第一原発の汚染水対策に関して、根本対策の考案、実施は事業者である東京電力が行うものだ、その上で規制庁が必要に応じて指示を出す、というのが規制委員会の考えだ。

 対策案の提示後に、規制要求、対策の見直し、という手順を踏んでいると時間がかかることから、更田豊志委員は、「規制委員は安全上の事を示す必要がるから、今の段階で規制要求を示しておくべきだ」と提案。六つの規制要求案が示された。

 委員からは「地下水の状態が見えないから、慎重さが必要だ」という意見のほか、「汚染水だけ対策する、という偏った考えが先行している」という意見がでた。中村委員は再度「(東電は)見栄をはるな。できない事はできないと言え」と苦言を呈した。更田委員も「汚染水対策WGでできない事は言えと言い続けている」と発言。

 このことばは東電に届いているのだろうか。

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