貯水タンク堰内の溢水が相次ぐ中、東電の現場管理能力はもちろん、規制庁の監督能力は十分なものなのか。10月22日に行われた原子力規制庁定例ブリーフィングでは、記者から、規制機関としての責任を問う声が多く上がった。
貯水タンク堰内の溢水が相次ぐ中、東電の現場管理能力はもちろん、規制庁の監督能力は十分なものなのか。10月22日に行われた原子力規制庁定例ブリーフィングでは、記者から、規制機関としての責任を問う声が多く上がった。
8月19日にタンクから300トンの汚染水漏洩が見つかって以降、東電は、それまで常時開いていた堰のストッパーを常時「閉」状態にし、溜まった雨水などはサンプリング実施後、基準値未満であることを確認してから排水するよう運用方法を変更した。しかし、タンク堰の運用方法を変更したことによって対処が追いつかず、多量の降雨や台風で、堰内の雨水が溢水する事案が多数発生している。
この日のブリーフィングでは、記者から「規制庁は、事前に余力の試算や対応はしなかったのか」といった規制側の管理能力が質され、金城慎司・福島第一事故対策室長は「場所によって状況が異なるところもあり、細かいところまでの確認は行っていない」と述べ、規制庁の対応も「状況をみながらやっていく必要がある」という考えを示した。
森本英香原子力規制庁次長は、「(福島第一原発は)通常の原子力発電施設の状態でなく、その体制も充分でない」とした上で、「現場管理能力が落ちている」との見解を示し、現場の対応能力が不足しているなら、同時に規制庁の対応にも変更が必要だと、規制機関でありながら一歩前に出た事故対応にあたる可能性も示唆した。
これまでの規制庁の対応は充分だったのか。こうした記者の指摘に対し、「台風の状況がかなりのものであったということがあるので、一概には言えないが、規制委員会としても考えることは考えないといけないと考えている」と曖昧な回答にとどまった。
規制庁で設置されている「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」では、年内に一定の結論を出し、原災本部に提示する予定でとなっている。十分な議論が行われたとは言いがたい状況にも関わらず、残りわずか2回の会合で、議論をとりまとめるという。
これについて記者からは「それは原災本部の都合であり、避難者の都合ではない」「最初から期限を区切り、予定調和的議論をするのは、被災者に対しても失礼ではないか」といった質問が飛んだ。森本次長は「避難の期間が非常に長くなっている。政府としてもできるだけ早く考え方をまとめたい」とし、「その上で、検討チームでの多岐に渡る議論は大事にしていきたい」と、整合性に欠ける回答に終始した。
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2013年10月22日
2013年10月21日
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