「こんな裁判やっている場合か」――。
経済産業省前に建てられた、脱原発を訴える市民らのテントの撤去をめぐり、国が原告となって訴訟をおこした。その第三回口頭弁論が9月12日、東京地裁で行われ、東京・永田町で、口頭弁論後の報告集会が開かれた。被告となった市民の一人は、福島第一原発の汚染水問題などに言及し、経産省はテント撤去の裁判に力を入れている場合ではないと法廷で訴えた。
報告集会では、弁護団の浅野史生弁護士が、この日の口頭弁論の様子を報告した。
「(被告人の一人で、経産省前テント代表の)渕上さんは、法廷で、国の訴えの却下を求める意見陳述をした。『こんな裁判やっている場合か』とし、『安倍が一体何を言ったのか。デタラメを言って、汚染水問題を隠蔽し、裁判が行われている。原発問題を覆い隠そうとしている。オリンピックどころじゃないだろう』と陳述した。この裁判の本質をついたものだった」。
また、法廷では、弁護団の青木秀樹弁護士が汚染水の問題を詳細に論じ、「この裁判は訴えの乱用だ。却下しなければならない。事故が未収束である現在、政府が善政を行うためにも、テントは必要不可欠な場である」と訴えたという。浅野弁護士は、「弁護団としては、これからも本質的な議論を突きつけ、訴え却下を求めていきたい」と、会場に向け、今後の弁護団の姿勢について語った。
口頭弁論を終えた、被告人の一人である正清太一氏は、「司法側が行政を守ることに主力を起きがちだ」と感想を報告。「それをどうひっくり返すかが今後の問題だと思う」と述べ、今後の裁判の展開がどうなろうとも戦い続ける、と会場に訴えた。