「この場所での抗議は『表現の自由』として正当」 弁護団、初公判前日テントの正当性を訴える ~経産省前テントひろば 弁護団・応援団共同記者会見 2013.5.22

記事公開日:2013.5.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部玲)

 2013年5月22日(水)14時より、東京都千代田区の経済産業省前で「経産省前テントひろば 弁護団・応援団共同記者会見」が行われた。テント占有地の明け渡しをめぐる裁判を翌日に控え、作家の鎌田慧氏をはじめとする応援団、弁護団が記者会見を開いた。弁護団の一人である上杉崇子氏は、「この場所での抗議は『表現の自由』として正当」と話し、国の訴え自体が不適法であるとの認識を示した。

■ハイライト

 経済産業省は今年3月、いわゆる「経産省前テントひろば」の代表ら2人を相手取り、土地明け渡し請求訴訟を東京地裁に申し立てた。その後、さらに「テントを無許可設置した損害金」として、約1100万円の支払い請求を追加した。5月23日に開かれる第1回口頭弁論を前に、応援団、弁護団、報道陣、敷地占有に反対するグループらがテント前に集結。拡声器を使った激しい応酬の中で、記者会見が行われた。

 応援団代表を務める鎌田氏は「国民主権とは、国民に、国の政策を直していく義務と権利がある、ということ。その、憲法上に保障された表現をしているのにもかかわらず、経産省はハレンチにも、賃料を請求してきている」と批判。「国民には抵抗する権利がある、ということを示すためにも、裁判に勝つ。この敷地は国有地であり、国民のものだ」と力強く宣言した。

 弁護団代表の上杉崇子氏は「原発差し止め訴訟でも有名な河合弘之弁護士が弁護団長となり、弁護団は現在は37人。今後も、日々増えていくだろう」と述べた。そして、「明日の第1回公判は、この賃料訴え自体が不適法だという主張をする。国は『国有地は国のもの、テント前広場にいるのは不法占拠者』という考えだが、われわれは『ここに居る意味、権限がある』ということを訴える。原発事故の重大性を鑑みれば、国自体に大きな責任があり、それに対して正当な批判を繰り広げているテントの人々を訴えることは、権力の乱用である」との見解を示した。

 テント前広場の代表であり、被告となった渕上氏は「これは、土地をめぐるだけの裁判ではない。原発政策に対しての責任を問う、重要な裁判。たった2人の被告で争うということではなく、ここに、たくさんの関係者がいるということを明確にしておきたい」と語った。さらに、「東京駅で座り込みをするのとはわけが違う。原発政策を進めてきた経産省の前、ここに大きな意味がある。この先も、動く意志はまったくくない。日本の広範囲の土地が汚染され状況下での、ささやかな90平方メートルの土地。この程度の権利を奪われたくない」と、語気を強めた。

 質疑応答で、ザ・プレス出版の桜井氏が、表現の自由が侵されていることと、経産省テントとの関係について、鎌田氏に尋ねた。鎌田氏は「表現の自由の解釈が曖昧になっていきている。橋下徹氏や石原慎太郎氏の発言は、表現の自由とは言えないような、歴史認識がまったくない暴言だ。それらも、表現の自由に含まれてはいるものの、国際的には恥ずかしい。一方、テント前広場のような、政府の誤りを正すような行動は認める。ヘイトスピーチは規制する。そういういことが、表現の自由の理解を深めていくと思う。今回、原発の問題を、国の方から仕掛けてきたのは絶好のチャンスだと捉えている」と、答えた。

 応援団事務局からは、翌23日の予定として「10時から地裁前で抗議行動。11時に第1回口頭弁論が429号室で開廷。11時15分に、地裁を一周する抗議行動。13時から報告集会」と、告知があった。第2回、第3回目の口頭弁論はそれぞれ、7月22日、 9月12日が確定している。

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