【IWJ号外】「ナワリヌイの正体」(その1)元国連主任査察官スコット・リッターによる、アレクセイ・ナワリヌイ氏についての論考「裏切り者の悲劇的な死」~米国が反プーチン運動指導者エフゲニア・アルバッツ氏を育成! 2024.2.29

記事公開日:2024.2.29 テキスト
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 IWJ代表の岩上安身です。

「ナワリヌイの正体」(その1)元国連主任査察官スコット・リッターによる、アレクセイ・ナワリヌイ氏についての論考「裏切り者の悲劇的な死」~米国が反プーチン運動指導者エフゲニア・アルバッツ氏を育成!

 元国連大量破壊兵器廃棄特別委員会の主任査察官であったスコット・リッター氏が、2024年2月16日にロシアで獄中死した、ロシアの反体制政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏についての論考を、21日、自身の『サブスタック』で公開しました。

 21日公開された記事は、「裏切り者の悲劇的な死――パート1:起源」となっています。英文で単語数5000字を超える長大な論考で、注もなく、一気に読み通すのは難しい論考ですが、ナワリヌイ氏の政治活動の背景を深く掘り下げる内容となっています。

 「はじめに」で取り上げたように、ナワリヌイ氏の死亡のニュースが流れるやいなや、バイデン大統領は「プーチン大統領に責任がある」と発言し、ナワリヌイ氏の妻は、夫が死ぬ前に出国し、夫の死亡の知らせの数時間後に、実にタイミングよく、ミュンヘン安全会議に登壇し、「感動的」なスピーチを行い、「ウラジーミル・プーチンは、彼らが私の国、私達の国、つまりロシアに対して行っているすべての恐怖の責任を負わなければなりません」と演説しました。段取りのあまりのよさに、疑念すらわいてきます。

 アレクセイ・ナワリヌイ氏の死に関しては、これまでロシア側の要人暗殺テロやザポリージャ原発へのテロ攻撃など、数々のテロに関わってきたとみられる、ウクライナのキリロ・ブダノフ情報総局長は、25日、「実に残念だが」と前置きしつつ、「血栓による自然死だ」と発言しています。

 ナワリヌイ氏の死因の特定は、重要です。

 しかしそれ以上に重要な問いは、ナワリヌイ氏とは何者か、という問いです。

 今、日本でも欧米でも、この問いに正確に答えられる人はほとんどいないと思われます。

 彼は、若い頃から名をはせてきた知的エリートではありません。彼は無名の人物でした。

 そうしたナワリヌイ氏が、どのような形で、誰からどんな支援を受けて、ロシアで反体制運動のリーダー格とみられるまでに成り上がっていったのか、という彼の軌跡を理解することは、ソ連崩壊後のロシアに、外国の勢力がどのように侵入してきたか、反体制運動がどのようにして編成されていたのか、という歴史・背景を理解することに他なりません。

 ナワリヌイ氏の死の背景を考えることは、ウクライナ紛争の本質にもつながっていきます。IWJでは、「ナワリヌイの正体」に迫る、スコット・リッター氏による「裏切り者の悲劇的な死」の全文の仮訳・粗訳を進めていきます。

 21日に発表された「裏切り者の悲劇的な死――パート1:起源」の前半を「ナワリヌイの正体」(その1)としてお届けします。どうぞ、会員登録の上、お読みください。


裏切り者の悲劇的な死――パート1:起源(仮訳その1)
スコット・リッター
2024年2月21日
https://www.scottritterextra.com/p/the-tragic-death-of-a-traitor

 「アレクセイ・ナワリヌイ、西側諸国での人気がロシア国内での支持をはるかに上回っていたロシアの反体制派政治家が、ロシアの刑務所に収監中に死亡した。

 彼は、詐欺と政治的過激主義の罪で懲役30年半の刑で服役中であった(※IWJ注1)。

 ナワリヌイとその支持者達は、近年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を最も声高に批判する人物として台頭してきたナワリヌイを、黙らせるためのでっち上げの告発に過ぎないと主張している。

 ロシア連邦刑務局が発表した声明は、以下の通りである。

 「2024年2月16日、第3収容所において、アレクセイ・ナワリヌイ受刑者は、散歩の後に気分が悪くなり、ほぼすぐに意識を失った。施設の医療スタッフが直ちに到着し、救急隊が呼ばれた。必要な蘇生措置はすべて実施されたが、良い結果は得られなかった。救急車の医師は、受刑者の死亡を明言した。死因は現在調査中である」(※IWJ注2)。

 アレクセイ・ナワリヌイは死亡時、47歳であった。彼は、妻のユリアと2人の子供を残した。

 ナワリヌイは、モスクワの北東約2000キロにあるヤマル・ネネツ自治管区のコロニー、ハルプにあるIK-3刑務所で、(※死亡によって)その刑を終えた。

 この刑務所は、ロシアで最も辺鄙な場所にある刑務所のひとつで、そこに服役したことのある受刑者らによれば、貧しく、粗野なことで知られている。

 ナワリヌイの死は、西側諸国で広く非難されている。

 ジョー・バイデン大統領も、非難に同調し、ホワイトハウスのルーズベルト・ルームから長文の声明を発表した(※IWJ注3)。

 バイデンは言った。

 「(ナワリヌイは)プーチン政権が行っている腐敗、暴力、そして…あらゆる悪事に勇敢に立ち向かった。

 それに対して、プーチンは彼に毒を盛った。彼を逮捕させた。彼をでっち上げの罪で起訴させた。彼を刑務所に入れた。彼は隔離された。

 それでも彼は、プーチンの嘘を告発することを止めなかった」。

 バイデンは、「刑務所の中でさえ、彼(ナワリヌイ)は、真実を訴える力強い声だった。それは、考えてみるならば、ある意味驚嘆すべきことである。

 彼は2020年に暗殺未遂に遭い、危うく命を落とすところだった。

 しかし、彼は…、彼はそのとき国外を旅行していた。代わりに彼はロシアに戻った。彼は仕事を続ければ投獄されるか、殺される可能性が高いことを承知の上でロシアに戻ったのだ。

 なんといっても、彼は自分の国、ロシアを深く信じていたから」。

 バイデンは、ナワリヌイの死の責任を、真っ向から、ロシアのプーチン大統領の足元に投げつけた。

 「間違えてはいけない。プーチンはナワリヌイの死に責任がある。プーチンには責任があるのだ。ナワリヌイの身に起きたことは、プーチンの残忍さを、さらにまた、証明するものだ。

 ロシアでも、国内でも、世界のどこでも、誰も騙されてはならない」。

 バイデンは、ナワリヌイは「プーチンにはないものをたくさんもっていた。彼は勇敢だった。信念を持っていた。彼は、法の支配が存在し、それがすべての人に適用されるようなロシアを建設することに専念していた。ナワリヌイは、そういうロシアを信じていた。彼はそれが戦うに値する大義であり、明らかにそのために死んだ」と述べた。

 ナワリヌイの妻、ユリア・ナワルナヤは、カマラ・ハリス副大統領とアントニー・ブリンケン国務長官も出席したミュンヘン安全保障会議で、夫・ナワリヌイ氏の死について演説した(※IWJ注4)。

 「私は、プーチンとその周囲の全員、つまりプーチンの友人たちや政府に知ってもらいたい。彼らが私達の国、私の家族、そして私の夫に対して行ったことの代償を払わなければならないということを。そして、その日はすぐにやってくるでしょう」と、彼女は宣言した。

 彼女は「ウラジーミル・プーチンは、彼らが私の国、私達の国、つまりロシアに対して行っているすべての恐怖の責任を負わなければなりません」と付け加えた。

 歴史的にロシアと敵対してきた一連の国々の指導者やメディアからも、同様の悲しみと支援の声があふれている。ナワリヌイは、死んだ後に、生前よりも多くの支持を集めることができたようだ。

 ナワリヌイは、「ロシアの民主主義」の理想的な象徴として、神話に近い地位にまで高められている。

 しかし、真実は大きく異なる。

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