検察の即時抗告を棄却した高裁決定は、捜査機関による証拠捏造の可能性が極めて高いと断定! 検察は特別抗告断念を!!〜3.14 今度こそ! 誤った裁判のやり直しを「袴田事件」高裁決定報告集会 2023.3.14

記事公開日:2023.3.14取材地: テキスト動画
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(取材、文・城石裕幸)

 「袴田事件」の再審開始決定に対する検察の即時抗告を、東京高裁が棄却した翌日の2023年3月14日、袴田事件弁護団と「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」が、東京都千代田区の参議院議員会館で報告集会を開いた。

 登壇した袴田巌(87)さんの姉、秀子さん(90)は、「再審開始は本当に嬉しい。48年も刑務所の中にいて苦労して、9年前に刑務所から出てきた巌のことを思えば、私の苦労なんか何でもないんですよ。57年戦ってきて良かったと本当に思っております」と語り、声を詰まらせながら、支援者に感謝の言葉を述べた。

 今後は、検察が最高裁に特別抗告するかどうかに注目が集まっている。検察が特別抗告しなければ、2014年の静岡地裁での再審開始決定により、審理が始まる。

 検察が特別抗告した場合でも、最高裁が退ける可能性は高いが、それだけ再審開始が遅れることになる。

 こうした事情を踏まえ、袴田事件弁護団の間光洋弁護士は、高裁決定の内容について、次のように報告した。

 「昨日の決定は、弁護団の差し戻し審での主張をことごとく認めて、検察官の主張を全面的に排斥した、画期的な決定でした。

 検察官はもうこの決定の内容を覆すことは、不可能です。もし仮に、特別抗告などしようものなら、もう時間稼ぎ以外の何ものでもありません。何に忖度しているのかわかりませんけど、過去のメンツ、他の捜査機関等について、何を考えるかわかりませんけど、こんなことは絶対に許してはいけないと思っています」

 死刑が確定した袴田さんの弁護団による再審請求に対し、静岡地裁は2014年、再審開始と死刑及び拘置の執行停止を決定した。これに対して静岡地方検察庁が東京高裁に即時抗告し、東京高裁が2018年に再審開始を認めない決定をした。しかし、最高裁は2020年、審理が不十分だとして東京高裁に審理を差し戻した。

 ここで焦点となったのが、死刑判決の決め手とされた物証、5点の衣類である。判決では、事件発生から1年2ヶ月後に、みそタンクから発見された衣類に残されていた血痕が「赤味がある」状態だったとされている。これに対して弁護団と検察双方が、長期間みそ漬けにされていた血痕の変色について、検証を行った。

 この点について、間弁護士は、次のように語った。

 「決して短くはない、2年の間、検察は多数の専門家から意見を聞き、また、自らみそ漬け実験を行なって、そしてその上で出たのが、今回の決定なんです。もう十分に反証の機会を与え尽くしたあとで、今回の決定はことごとく、検察官の主張を排斥しているんです。完膚なきまでに、検察官の細かい主張をひとつひとつていねいに、潰して、袴田さんが無罪なんだということを明らかにしています。(中略)

 高裁決定は、『袴田さんが5点の衣類を1号タンクに隠すことはできない。だとすれば、この5点の衣類を隠したのは、第三者であると。そしてこの第三者は、捜査機関である可能性が極めて高い』と、そこまで言及しています。(中略)

 それ以外にも、この5点の衣類以外の証拠は、証拠としての価値がそもそも乏しい、あるいは5点の衣類が捏造証拠だとすれば、証拠としての価値を失うものだという総合評価もした上で、5点の衣類は犯行着衣ではなく、袴田さんは犯人ではないという合理的な疑いがあるんだという結論を導いています」

 集会に参加した多くの国会議員や弁護士、支援者らは、検察に特別抗告を断念するよう訴えた。

■ハイライト【袴田秀子さんのあいさつ】

■ハイライト【高裁決定について~袴田事件弁護団・間光洋弁護士】

■ハイライト【袴田事件弁護団・角替清美弁護士】

■全編動画

  • 日時 2023年3月14日(火)12:00~13:30
  • 場所 参議院会館地下107会議室(東京都千代田区)
  • 告知 袴田事件弁護団サイト内告知
  • 共催 袴田事件弁護団、袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会

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