2023年3月6日午後5時15分より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「難民問題に関する議員懇談会(難民懇)」の主催により、第40回難民問題に関する議員懇談会総会「トルコシリア大震災でのクルド人から見た被害実態と在日クルド人コミュニティの課題について」が開催された。
2023年2月6日、トルコ・シリアで大地震が発生し、報道によると、死者はトルコ・シリア合わせて5万1000人を越える(2/25時点)。M7.8の震源であるトルコのガジアンテップ県や、M7.5の震源のカフラマンマラシュ県周辺の被害は深刻で、その地域は日本で暮らすクルド難民の出身地でもある。
深刻な揺れを被った地域では、橋や道路が寸断され、病院にも行けず、続く余震の中、倒壊した建物の外でテントや車中で過ごす人がたくさんおり、不明者の位置がわからず救助もままならない。日本に住むクルド人のもとには、現地から悲痛な声や写真、映像が次々と送られて来ている。
会合冒頭、参議院予算委員会の集中審議中の難民懇会長・石橋通宏議員を代行し、立憲民主党・岸真紀子議員からあいさつがあった。
岸議員「今日の一番の問題点は、先日、2月6日に、トルコ南部の地震によって、トルコとシリアで大きな災害が発生しました。今日の夕刊では、5.2万人の犠牲者が出ているということも報道がされています。
まだまだ全容(解明)が途中であり、本当に、日本政府としても、日本国民としても、この被災者支援をいかに、どうしていくかという問題が残っています。
その中でも、現地のクルド人の状況が、今、どうなのか、というのが、一番の問題です。特に、難民懇では、難民問題について、クルド人の方々のことを取り上げてきましたので、本日、緊急的ではありますが、難民議員懇談会を開くことになりました」
続いて、「クルド人難民Mさんを支援する会(※)」事務局の周香織さんが、「トルコ・シリアで5万2000人が亡くなっていると報じられているが、実際の人数はそれよりも多い」、「夜、外はマイナス17度。車の中で順番にあったまる」、「死んだ人のにおいがする。狼が、死んでいる人を食べる」、そして「死んだ人を入れる墓がない」、「とてもヤバい状態です」など、震災被害のためトルコから来日したクルド人の方々からのリアルな証言を交えつつ、このたびのトルコ・シリア大地震の現状について報告・説明した。
- クルド人難民Mさんを支援する会(ツイッター)
- クルド人難民Mさんを支援する会(ブログ)
周さんは、涙ぐみながら、次のような訴えで報告を終えた。
周さん「非常に過酷な場所から逃れてきた方ばかりです。ずっと日本にいるクルドの方々も、現地の被災の状況を毎日聞き続け、非常に心を痛められています。
こちらの(2月)22日に(日本へ)来られた方は、3ヶ月の短期滞在ですので、3ヶ月経てばビザが切れてしまいます。隣にいる方々も仮放免という状態ですので、正規の在留資格がありません。
今こういった状況で、日本に逃れてきた方を無理やり帰国せるようなことは、ぜひ、しないでいただきたいと思います。ぜひ、日本で安心して暮らせるように、皆さまにお力添えをいただければと思います」
この後、「日本クルド文化協会(※)」のユージェル・メメット氏より、在日クルド人コミュニティで始まった被災者支援活動と今後の課題について、そして、支援団体「在日クルド人と共に(※)」の温井立央氏、熊澤新氏より、「緊急避難措置」による避難者受け入れの要望についての説明があった。
最後に、難民懇・会長の石橋通宏参議院議員が、次のように約束のあいさつをした。
「まだまだ瓦礫の中で苦しんでおられる方、たくさんおられるということで、一日も早く、すべての方々を助け出してあげたいなと思います。
そのために、日本ができる協力をとにかくやっていくこと。政府だけではなくて、国民全体、国会としても対応させていただくべきだろうというふうに思っております」
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。