「統一教会って、正体がそもそもないんじゃないか。名前でも教義でもいくらでも変えるカメレオンのよう」~岩上安身によるインタビュー第1092回 ゲスト 元文科事務次官 前川喜平氏 2022.8.24

記事公開日:2022.8.26取材地: テキスト動画独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・IWJ編集部)

特集 自民党と癒着し日本を蝕む反日カルト、「統一教会」
※サポート会員の方は、全編映像を無期限で御覧いただけます! IWJ存続のためぜひご検討をお願いいたします。一般会員の方は、10月26日までの記事公開後2ヶ月間以内に限り御覧いただけます。
→会員登録はこちらから

 8月24日午後6時半から、「岸田改造内閣も旧統一教会による『汚染』をまったく拭えず! オウム以来の反社会カルトに対して文化庁宗務課ができることは? 岩上安身による元文科事務次官 前川喜平氏インタビュー」を、IWJ事務所からお送りした。

 前川喜平氏は、1979年に文部省入省し、1997年に文化庁宗務課長を務め、2016年6月に文部科学省事務次官に就任した。1997年に宗教法人を所轄する文化庁宗務課長だった前川氏は、旧統一教会が家庭連合へと名称の変更を希望していたことに対し、「『認証できないので、認証の申請は出さないでください』と伝え、教団側に納得してもらった」と証言していた。

 インタビュー冒頭、岩上安身は、岸田文雄総理の後援会長が統一教会系団体の議長だったとする『週刊文春』の24日のスクープを取り上げた。

 「2020年7月31日。総裁選出馬を目指す岸田文雄政調会長(当時)は、熊本県を訪れていた。自身の後援会『熊本岸田会』の発足式に姿を見せたのだ。地方での知名度不足が課題だった岸田氏にとって、党員票の掘り起こしは急務。中でも熊本は重点県(中略)弱点でもある保守層が強い地域だからだ」

 『週刊文春』は、熊本岸田会の貢献もあり、岸田氏は熊本で、河野太郎氏を抑えて1票を得た、と指摘しています。熊本岸田会の会長は、崇城(そうじょう)大学の中山峰男学長である。中山氏は、統一教会が進める「日韓トンネル熊本会議」の議長を2011年から務めている、と『週刊文春』が指摘した。

 この『週刊文春』の指摘を受けて、中山氏は、熊本市で記者会見を開き、「団体と旧統一教会に関係があると思っていなかった」として、報道を受けて議長を辞任したことを明らかにした。

 前川氏は、「統一教会は正体を隠してアプローチしてくるので、『知らなかった』と言われればその可能性もある」と認めつつも、「『知らなかった』という言い訳は通用しないのではないか」と述べました。

前川氏「統一教会の関連団体であるということを隠してアプローチされたら。しかも、いろんな名前を使い分けてくるから、新しい(団体の名前)をどんどん使いますからね。

 趣旨そのものが世界平和だとか、スポーツイベントもやってましたからね。サッカーだとか自転車競技だったりだとか。そういうふうに、正体を隠してアプローチされたら、お付き合いしちゃうっていう危険性はあるかもしれません。

 だから私は、中山さんが本当にあの関係があると思っていなかったのか、あるいはうすうす知ってたのか、ちゃんと知ってたのか、その辺は分かりませんし、岸田さんもどの程度まで認識だったのか分からないですけど。

 ただ、岸田さんは総理総裁になろうという人なんですから。自民党の中にも、しっかりとした組織があると思うんですよね。この『国際ハイウェイ』っていう団体が実は統一教会なんだっていう、そのくらいのことはわかるはずだと思うんですよね。

 本当に知っていたか、知らなかったはともかくとして、『知らなかった』という言い訳は通用しないんじゃないかと思いますけどね」

岩上「そうですよね。こういうことも含めて追及が厳しくなっていくと思います」

 岩上は、岸田総理は就任以来、70%以上の高い支持率を誇ってきたが、この統一教会問題以降、36%にまで落ちたことを指摘した。岸田総理は8月10日に、統一教会との関係を見直すことを条件に内閣改造を行ったが、その後、新たに任命した閣僚や党役員から、統一教会との関係が明るみに出て、支持率は急降下した。岸田総理は改憲についても意欲的な姿勢を見せていたが、低支持率で、しかも自民党の改憲案は統一教会=勝共連合がかねてより推し進めてきた内容であることも、一般に知れ渡り、行方が怪しくなった。

岩上「このあと、改憲をやるんだ、とまで言ってたんですけど。その改憲というもの自体も、統一教会の看板で、もうこれをやれ、あれをやれと自民党に後押ししてきた訳ですよね。どうなると思いますか?」

前川氏「まあ、統一教会が自民党の改憲勢力の裏側にいた黒幕なんだ、とまでは思いませんけれども」

岩上「しかし、背中をしてきた応援団というのは間違いないですよね」

前川氏「背中押してたんでしょうね」

岩上「選挙も手伝ってまで」

前川氏「私は、統一教会が自民党のその右翼的な人たちに迎合して調子をあわせてたんだろう、というふうに見ているんですけどね。

 改憲にしても、特に24条の改正とか。家族を大事にするとか、家族は基礎的な単位だとか。こういう考え方は、やっぱり統一教会の元々の考え方に近いと思います。やはり、家父長制的な考え方が元々統一教会にはあると思うので、そういうところは一致する部分はあると思うんですよね。

 ただ、選択的夫婦別姓に反対するっていうのは、統一教会として筋が通らないな、と。韓国はもともと別姓なんだから。だったら、韓国で同姓にしろという運動するんだったら筋が通るけど。

 だから、私は、安倍さんを中心とするような、自民党の極右的なグループの人たちに調子をあわせてたんじゃないか、そういう部分があるんじゃないかという気がしてならないんですけどね。

 むしろ、宗教右派っていう意味では、日本会議やその構成団体となっている神社本庁のほうがずっと力が強いし、実際の影響力大きいと思うんですけどね。神社本庁と統一教会が呉越同舟で一緒に乗っているような感じがあるけれども。実際には水と油みたいな関係だと思うんですけどね」

岩上「その辺、どの程度の水と油なのか分からないですよね。呉越同舟のような、気持ちの悪い…」

前川氏「統一教会って、要するに、正体がそもそもないんじゃないかと。いくらでも名前を変えられるし、主張もいくらでもこう変えても、屁とも思わないというところなんじゃないかと思いますね。私は、カメレオンみたいなものだと思っているんですけども。名前も主張もいくらでも変えて、いろんな人を取り込んでいく」

岩上「その人をオルグする能力と、オルグした人を抱え続けるキープ力、そして、その人間たちを働かせて行く奴隷労働力のような人の駆使の仕方、それによって金を得る資金力。

 それに、マンパワーですよね。選挙の時に日本会議や神道政治連盟が、どれだけ人をボランティアで動かせられるか。いることはいるでしょうけれども。圧倒的に統一教会の人間の方が、10万人足らずとは言っても、ものすごく献身的に動いたんじゃないかということは、いろんなところで聞くところではあります」

 岩上は、今、統一教会に注目が集まっているきっかけとなった安倍元総理銃撃事件についての受けとめをおうかがいした。前川氏は、「これは、もちろん許されない行為だし、安倍さんに対しては非常にお気の毒だっていう気持ちを私も思います」と前置きをして、法治国家としての国家の責任が果たされていないことが、事件につながったのではないかという見方を示した。

■ハイライト

  • 日時 2022年8月24日(水)18:30~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

(…サポート会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

サポート会員 新規会員登録単品購入 550円 (会員以外)単品購入 55円 (一般会員) (一般会員の方は、ページ内「単品購入 55円」をもう一度クリック)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です