2021年7月8日(木)12時半より、文部科学省にて、学術会議会員任命拒否に関する情報公開請求・自己情報開示請求に対しての政府からの文書不開示決定通知後の記者会見が行われた。
2020年10月1日に菅義偉内閣総理大臣が、日本学術会議が推薦した会員候補者105名のうち、芦名定道・京都大教授(宗教学)、岡田正則・早稲田大教授(行政法学)、小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)、松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)、宇野重規・東京大教授(政治思想史)、加藤陽子・東京大教授(日本近代史)の計6名の任命を拒否したことに関し、当事者6名と、情報公開請求人1162人が、2021年4月20日から26日の間に、内閣官房および内閣府の機関に文書開示請求を行っていたが、それに対する決定が出たことを受けて、今回の会見が開かれた。
当事者6名は、内閣総務官、内閣官房副長官補(内政担当)、内閣情報官と、内閣府大臣官房長に対し、「2020年の日本学術会議の任命にかかる自己に関して保有している一切の文書」の開示を請求し、情報公開請求人は内閣総務官、内閣官房副長官補(内政担当)、内閣府大臣官房長、日本学術会議事務局長に関係行政文書の開示を請求したが、「保有していない」「開示請求のあった保有個人情報はその存否を答えること自体が公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすため不開示」との回答を得た。
会見には、任命拒否の当事者である岡田正則氏、小澤隆一氏と、情報公開請求人の福田護弁護士、三宅宏弁護士、大江京子弁護士が登壇した。
任命拒否当事者も、情報公開請求人も、「この2020年の日本学術会議会員の任命拒否について説明がなされず、『文書不存在』『存否応答拒否』との理由で開示請求者本人の個人情報さえも隠す姿勢は、行政機関として許されない対応である」として、声明において強く抗議し、今後も文書開示を求めて活動を続けると表明した。
会見参加記者との質疑応答において、IWJ記者は、「内閣官房、内閣府からの回答の『文書を保有していない』というのが、本当に文書が存在せず、そのような状態で決定がなされている、そしてそれに関係した人間たちがそう公表してもそれが問題になるとも思っていないところまで事態が来てしまっているのではないでしょうか」と質問した。
これに対して、三宅宏弁護士は、次のように答えた。
「私は、公文書管理委員会を8年やっておりましたが、その立場から申しますと、文書がない、というのは、まったく物理的にないのか、紙とかデータはあるが情報公開法や公文書管理法の定義する行政文書に該当しない、ペラペラの紙があるのか、ということもはっきりしない。だからこそ行政手続法八条の違反になるのではないか、ということです。
不存在なら不存在で、物理的に不存在なのか、解釈上の不存在なのかをはっきりさせなくてはならない。これは今後争うことになると思います」。
さらに三宅弁護士は、「保有していない」と関係機関が回答したことが、既に問題であるとも述べた。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。