【特別寄稿】英エセックス大人権センター・フェロー藤田早苗氏のイギリス・ロックダウンレポート第3弾! ロックダウン緩和期の英国の実像!! 第2波への懸念!!~(その3)「自転車」と「庭」が癒した英国のロックダウン編 2020.11.5

記事公開日:2020.11.5 テキスト
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 ロックダウン中と、ロックダウン緩和が始まった時期の英国から、第1弾と第2弾のレポートを寄稿していただいた、エセックス大学人権センター・フェローの藤田早苗氏から、第3弾となる、ロックダウン緩和時期のレポートが届いた。

 長文の寄稿なので、一昨日から6回に分けて、ロックダウン緩和時期以降の英国の状況を連日お伝えしている。今回は短期集中連載第3弾の3回目である。

 1回目は、教会や衣料品店、飲食店の再開と、「英国版Go To Eat」政策等をお伝えした。2回目は芸術文化と若者への支援策、コロナと肥満で「死にそうになった」ジョンソン首相が発表したコロナ対策としての肥満対策等をお伝えした。

 3回目である今回のテーマは、ロックダウンで公共交通機関を避けることが推奨され、自転車通勤やサイクリングが流行り、英国人の自転車利用率が最高300%もアップしたこと。

 また、もともとガーデニング好きの英国人が、ロックダウンで外に出られないときに、庭いじりによって精神的に助けられたことなどを伝えている。

 以下は藤田氏の5月の第1弾と6月の第2弾レポートである。こちらもぜひご覧いただきたい。

(前文・IWJ編集部)

記事目次

ロックダウン中の自転車利用率は最高300%もアップ!

 コロナで経営が厳しくなった店は多いが、逆に繁盛しているところもある。そのひとつは「自転車屋」だ。

 ロックダウンが始まった時、どうしても出勤しなければならない人たちに、できるだけ公共交通機関を避けて、徒歩か自転車で行くように、という指示が政府から出た。食料品店と薬局以外はすべて閉まった時も、自転車屋は開店していた。そして、実際、店は大繁盛だ。

 イギリスは天気が悪いためか、日本に比べて自転車の利用者はずいぶん少なかった。駅前の駐輪場も小さく、大きなスーパーでもせいぜい10台ほどの自転車がとめられる程度で、それでもいっぱいにならない。

 だが、政府のデータによると、ロックダウン中、イギリスでの自転車の利用率が最高300%もアップしたそうだ(*)。そして、自転車の売り上げも63%も増加したという(*)。だから、自転車を買いたいがなかなか手に入らない、という事態にもなった。

 3月末からロックダウンが始まり、最初の6週間ほどは「1日1回1種類の運動」で外出が許されるだけだった。その運動にサイクリングを取り入れた人は多かったようだ。

急増したサイクリスト!! 毎日2時間走って出くわす「無料馬糞」!?

 私はもともと移動手段として自転車は愛用していたが、これを機に自転車用のヘルメットを購入し、運動の目的で郊外を走るようになった。そうすると、本当に多くのサイクリストに出くわすのだ。コロナの前はこんなことはなかった。

 気候もよい時期で、新緑の中を走るのはとても気持ちがよかった。そして反対側から走ってくるサイクリストとすれ違うときは、ほぼみんな必ず笑顔で挨拶するのだが、それも心が和んだ。

▲サイクリングで訪れる郊外、フラットフォードの風景。(藤田早苗氏提供)

 夏の間、私は適当にグーグルマップで目星をつけて、東西南北、半径15キロくらいの範囲をほぼ毎日2時間ほど走っていた。20分も行けば広々と畑が広がり、農家の立派な家が建っている。牛、馬、羊、ヤギ等いろいろ出くわす。自宅で取れた野菜、卵、果物などを家の前で販売をしているところもある。

 中には肥やしとして「馬糞を無料でどうぞ」というのも見かける。20年もこの街に住んで、自転車でこんなに走ったことはなかった。そして、「知らなかったな、こんな場所」ということもよくあった。

▲サイクリングで訪れる郊外で、放牧された牛。(藤田早苗氏提供)

▲サイクリング先の風景。自宅で取れた野菜の販売。(藤田早苗氏提供)

▲サイクリング先の風景。「馬糞、無料でどうぞ」。(藤田早苗氏提供)

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