IWJも毎年取材している追悼式。今年も荒川河川敷で、関東大震災時に虐殺された朝鮮の人々を弔う追悼式が行われた。
9月に入って早々、週刊ポストが「韓国なんて要らない」という信じがたいタイトルでヘイト特集を組んだ。日本の既存メディアは全精力を上げて韓国・文在寅政権の揚げ足取りに奔走し、現在進行形で盲目的な嫌韓煽動を続けている。
メディアはおろか、司法・行政のレベルでは、幼児教育や高校の無償化から朝鮮学校の排除を続け、朝鮮にルーツを持つ人々の生活をより一層脅かしている。ヘイトクライムが助長されるようなヘイトスピーチが飛び交っても、処罰規定がヘイトスピーチ対策法に存在しないため、処罰の実行も難しい。
IWJも取材した「日韓連帯アクション0907」では、在日韓国人3世だと語る女性が手を震わせながら、日本で普通に生きることの難しさを訴えた。
- 「私は在日3世」。彼女は手を震わせながら、渋谷で聴衆の前に立った。(BuzzFeedNews、2019年9月7日)
残念なことに、日本による朝鮮にルーツを持つ人々の排除は、今に始まったことではない。関東大震災時に日本の軍隊・警察・民衆は、根拠のないデマを信じて韓国・朝鮮人を虐殺した。この痛ましい事件の犠牲者たちは焼かれ、埋められ、遺骨も墓もない。「一般社団法人ほうせんか」は、真相も究明されず、公的責任も取られなかった犠牲者を悼み、多民族が共に生きられる社会をめざして、これまで追悼事業を続けてきた。
今年で38回目になる追悼式は、在日韓国人2世の李政美(イ・ジョンミ)氏らによる追悼のうたや、風物(プンムル)と呼ばれる伝統芸能が披露され、にぎやかに執り行われた。また、韓国・朝鮮人だけでなく、震災当時犠牲になった中国人労働者の遺族代表が、通訳を交えながら、先代の意思継承や戦争のない平和な世界実現を語った。
IWJはこの虐殺の歴史を重く受け止め、今後も追悼の意を表すべく、「ほうせんか」の取り組みを報じていきたい。昨年の追悼式や、「ほうせんか」理事の西崎雅夫氏へのインタビューも、この機会に是非ご覧いただきたい。
岩上安身は2016年、同年に刊行された西崎氏の著書『関東大震災 朝鮮人虐殺の記録~東京地区別1100の証言』をもとに、西崎氏に単独インタビューを敢行した。本書に収録されている虐殺に関する1100もの目撃証言は、具体的で残忍な、聞くに堪えないものばかりである。しかし、これが私たち「日本」の真の姿である。目をそむけることはできない。戦前の日本政府に事件の実態を隠蔽され、悔しい思いをした遺族は、今も遺骨を探し続けているという。この歴史をしっかりと伝えていくためにも、西崎氏は「語り部」としての役割を担い続けていきたいと、当時のインタビューで語っている。