WHOの一機関IARCの発がんリスク分類では、グリホサートは上から2番目の2Aに分類!
2015年には、WHOの一機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動する国際がん研究機関(IARC)が、グリホサートを2Aグループ(ヒトに対しておそらく発がん性がある:Probably carcinogenic to humans)に分類した。
▲ラウンドアップ(ラウンドアップ・マックスロードのHPより)
この2Aグループというのは、発がん性についてのIARCの5分類のうちで上から2番目にランクされるグループである。ヒトへの発がん性については限られた証拠しかないが、実験動物の発がんについては十分な証拠がある場合に分類される。2Aの上位グループは、グループ1と呼ばれヒトへの発がん性について十分な証拠がある場合に分類される。したがって、2Aに分類されたということは、実験動物レベルでは完全に発がん性が認められた危険な物質と言っていい。
モンサントの3連続敗訴!
2018年8月10日、モンサントの除草剤「ラウンドアップ」を使用したことで悪性リンパ腫を発症したとして、米国カリフォルニア在住のドウェイン・ジョンソンさんがモンサントを提訴した裁判で、カリフォルニア州サンフランシスコの陪審はモンサントに2億8900万ドル(約320億円)の損害賠償の支払いを命じた。
▲日本モンサントのHP
学校の校庭整備の仕事をしていたジョンソンさんは、ラウンドアップを年間20回から30回のペースで使用し、2012年から2回ほど作業中にラウンドアップを浴びてしまったという。その後、2014年に非ホジキンリンパ腫と呼ばれる悪性リンパ腫と診断された。
さらに、2019年3月27日、連邦陪審が、カリフォルニア州の70歳の男性に、「ラウンドアップ」とがんとの因果関係を認めて、8000万ドル(約87億円)の損害賠償を認める評決を出した。
エドウィン・ハーヅマンさんは、所有地の雑草と漆の除去に26年間、「ラウンドアップ」を使用した。
さらに、カリフォルニア州の70代の夫婦が、30年にわたり「ラウンドアップ」を繰り返し使用してがんを発症したとして賠償を求めていた裁判で、5月13日、カリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所の陪審団が夫婦の訴えを認め、バイエルに約20億ドル(約2200億円)の支払いを命じる評決を下した。陪審団は「ラウンドアップ」によって夫婦が非ホジキンリンパ腫を発症したと認めた。
支払いが命じられた20億ドルはバイエルが「ラウンドアップ」の発がん性リスクについて警告を怠ったことに対する懲罰的損害賠償で、これとは別に補償的損害賠償5500万ドルの支払いも命じられている。
「ラウンドアップ」をめぐる訴訟で、モンサントは3連続敗訴という事態になっている。
「ラウンドアップ」をめぐっては、全米で1万3000件以上の訴訟が起こされており、8月には、ミズーリ州での評決が予定されている。
グリホサート含有除草剤は誰でもどこでも入手でき気軽に使用できてしまう! 東日本大震災の津波被害農地専用の除草剤商品も! 「ラウンドアップ」以外にもこんなにあるグリホサート入り除草剤ほぼ全商品リスト!
グリホサートは1950年に発見され、1970年代にモンサント社が「ラウンドアップ」ブランドで初めて除草剤として商品化したものである。グリホサートは、農地だけでなく公園や校庭、駐車場、園地などで大量に使われている。しかも、ホームセンターや園芸店だけでなく、ドラッグストアや100円ショップでも販売されている。
▲100均ショップのダイソーHP(ダイソーはラウンドアップを販売していたが、市民団体の要請を受けてモンサントから追加購入をしないことを決めた)
グリホサートの含まれる除草剤は、日常的に誰でも入手でき、誰でも気軽に使用できる。1996年に農業者や消費者の募金で設立され、企業や行政から独立した活動を行う一般社団法人農民連食品分析センターによると、グリホサートを含む主な商品は次のとおりである。
ラウンドアップ、日産サブゾーン、グリホエキス液剤、サンフーロン液剤、エイトアップ液剤、ランドマスター、グリホス、ラムロード、ラウンドアップドライ、ブロンコ、クサブロー、フリーパス、グリホエキス液剤0.4、園芸用サンフーロン液剤、クサクリーン液剤、ラウンドアップハイロード、ターンアウト液剤、草ノコラーズ、マルガリーダ、フリーパス除草スプレー、クサトローゼ除草スプレー、マスターズME、クサピカフロアブル、ハイ-フウノン液剤、コンパカレール液剤、ハーブ・ニート液剤、モンサントラウンドアップ、モンサントラウンドアップハイロード、サンダーボルト007、クサトローゼ、グリホキング、キャピタルグリホサート41%、草退治シャワー、フレピオン液剤、シンノングリスター、マイター液剤、ビマスターJ、石原ビマスターJ、リプロ液剤、クサキングエースフロアブル、ネコソギクイックプロFL、サンダーボルト007AL、グリホキングシャワー、ラウンドアップKロード、ラウンドアップマックスロード、カルナクス、ザッソージエース、グラスジャック微粒剤、ネコソギWクイック、ラピッド液剤、ダブルインパクト、クサブローシャワー、タッチダウンiQ、ネコソギクイックプロシャワー、草退治シャワーワイド、パワーボンバー、草退治シャワーロング、カラソーゼ、クサトロー、草枯らしMIC、シャルウィードPro顆粒水和剤、ダブルクラッチ液剤、除草王シャワーS、ホクサンクサトリキング、カマイラズ、クサトリーナ、クサストッパー、サンフーロンAL除草エース、ネコソギAL1.0、ハイ-フウノンそのまま除草、コンパカレール1.0、ハーブ・ニート1.0、ラウンドアップマックスロードAL、アースカマイラズ、クサクリア、ネコソギプロ液剤、東日本大震災により津波被害を受けた農地専用草枯らしMIC、東日本大震災により津波被害を受けた農地専用ラウンドアップマックスロード、マックスター顆粒水和剤、東日本大震災により津波被害を受けた農地専用タッチダウンiQ、ネコソギガーデンシャワー、ビマスターシャワー、クサトリシャワー、ネコソギクイックプロシャワー、クサトローゼ除草スプレーL、クサ枯レッタシャワー、こっぱみじんシャワー、ネコソギロングシャワー、フリーパスシャワー、スピードスターGP、雑草一撃、ラウンドアップマックスロードALⅡ、メガレンジャーシャワー、グリホアミノロングシャワー、メガレンジャー液剤、ネコソギロング液剤、グリホエースPRO、グリホエースAL、コストカットシャワー、草刈くん
一般社団法人農民連食品分析センター
これだけ多くの商品に、知らないうちに、グリサホートが成分として使用され、我々の日常生活に入り込んでいることに驚きを禁じ得ない。人間活動のもっとも根本的な基礎と言っていい食を汚染するだけでなく、駐車場や校庭など、日常の生活環境にも忍び寄っているグリホサートは、すでに我々の体内に蓄積されていると考えた方が現実的ではないだろうか。
現に、「日本人の身体に農薬がどのくらい蓄積されているのか、私たちがどのくらい農薬を摂取しているのか、を測定・可視化」することを目的として設立された「デトックス・プロジェクト・ジャパン」が、今年3月4日、超党派の「食の安全を考える議員連盟」の議員の頭髪を検査したところ、検査を受けた28人のうち、21人から何らかの農薬等が検出されたのである。この農薬の中には、グリホサートも含まれていた。
特に、気にかかるのは、東日本大震災の津波被害を受けた農地専用の除草剤として開発された商品が複数含まれることである。被害農地に除草剤を散布する農家にも食材を食べる消費者にも、高いグリホサート・リスクが存在する。これは二重の悲劇ではないだろうか
▲東日本大震災の津波による浸水面積(『今回の津波被害の概要』P.5 内閣府 2011年4月28日)
「グリホサート」は第一世代、第二世代に影響はないが、第三世代、第四世代になると、影響が急増する!
2019年2月15日のCNNの報道によると、グリホサートにさらされると、がんのリスクが41%増大するという研究結果を、ワシントン大学の研究チームが発表した。
この研究は、グリホサートに直接曝露された人のがんリスクの向上を明らかにした点で重要だが、さらに、衝撃的な研究が最近発表された。それは一時的な曝露で直接曝露された当人とその子供に影響が表れていなくても、孫や曾孫に毒性の影響が表れる可能性があるという研究である。
『Scientific Reports』によると、グリホサートに一時的に曝露された妊娠したメスのラットを使ったワシントン州立大学・生殖生物学センターの研究チームの最新研究からわかったのは、直接曝露された親世代とその子世代のグリホサートの影響は無視できるものだったが、孫世代および曾孫世代になると病理が劇的に増加することが確認された。この継代病理には、前立腺疾患、肥満、腎疾患、卵巣疾患、分娩異常などが含まれている。
注)曝露とは、生活環境や作業環境において、肺・口・皮膚などから化学物質・放射線・電磁波・紫外線などが体内に取り込まれること。
▲ワシントン州立大学生殖生物学センターのHP
ワシントン州立大学・生殖生物学センターの研究チームは、結論として、次のように述べている。
「グリホサートは、直接曝露に対しては、その毒性リスクは低いか無視できる程度だが、将来世代の世代間毒性を促進する。観察から示唆されるのは、グリホサートやその他すべての潜在的毒性物質のリスク評価に際しては、世代間毒性を考慮する必要がある、ということである。グリホサートやその他の環境毒性物質が将来世代に影響を与える能力を考慮する必要があり、この能力は、直接曝露毒性について現在行われているリスク評価と同じくらい潜在的には重要なものである」
初めてカリフォルニア州の陪審で敗訴したとき、モンサントは次のような声明を出して上訴する意向を示した。
「過去40年、安全かつ効果的に使用され、農業経営者らにとって重要な役割を担うこの製品を、引き続き精いっぱい擁護していく」
このワシントン州立大学の生殖・生物学センターの研究の対象が、ラットだけでなく、人間にも含まれるグループ1に分類されるものだとしたら、モンサントの声明は、まったく意味をなさないだろう。過去40年間安全であっても、30歳で子供を産むとして、孫の世代が生まれるのは、60年後であり、曾孫に至っては、さらに先のことだ。グリホサートによる被害は、これから本格的に表面化すると考えるべきである。
モンサントの除草剤ビジネスは遺伝子組み換え種子と一体! 元はサッカリンとPCBのメーカー! その後は枯葉剤の生産も!
モンサントは、1901年に米国ミズーリ州セントルイスで人工甘味料サッカリンのメーカーとして創業された。モンサントが製造したサッカリンは、コカ・コーラ社へ販売された。サッカリンは、発がん性が疑われ、現在、日本では、食品衛生法によって、食品への使用量が制限されている。
1920年代には、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を製造していた。PCBは加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられた。しかし、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。発がん性があり、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことがわかっている。
モンサントは、その企業の起源からして、発がん性や発がん性が疑われる化学薬品のメーカーだった。この企業の非倫理性が強く出た製品は、ベトナム戦争に米軍が使用した「枯葉剤」である。
▲ベトナム戦争時の枯葉剤散布の様子(Wikipediaより)
枯葉剤は1961年から1975年にかけてゲリラの根拠地であったサイゴン周辺やタイニン省やバクリエウ省のホンダン県などに大量に散布された。アメリカ復員軍人局の資料によれば、確認できるだけで8万3600キロリットルの枯葉剤が散布された。
コロンビア大学のジーン・ステルマンの調査では、散布地域と当時の集落分布をあわせて調査した結果、400万人のベトナム人が枯葉剤に曝露したとしている。「枯葉剤」散布の結果、「ベトちゃん、ドクちゃん」に代表される奇形出産率が急増し、現在も100万人のベトナム人が健康への深刻な影響を抱えている。
「枯葉剤」で注目すべきは、モンサントの非倫理性だけではなく、それが米軍の委託を受けて製造されたものだったことである。国策製品と言っていい。モンサントと米国政府の癒着の原点に「枯葉剤」がある。
このように、モンサントは、そもそも、化学薬品メーカーであり除草剤メーカーだった。発がん性や健康被害に鈍感で利益率に敏感な化学薬品メーカーが、1990年代から企業買収を重ねて種子メーカーへと変貌してゆく。種子メーカーとしてのモンサントが、遺伝子組み換え種子を販売し、『F1』と呼ばれる一代限りしか使えない種子を販売するようになったのは、それまでの経緯を考えると、必然だったように思われる。
モンサントのビジネスモデルは、除草剤と遺伝子組み換え種子のセット販売である。除草剤に耐性のある種子を開発し、除草剤とセット販売するというモデルである。しかも、この種子は、『F1』種子であり、オシベがない、つまり作物はできても次の種を残さない『雄性不稔(ゆうせいふねん)』の種子である。さらに、この種子は知的財産権で保護されている。この結果、農家はモンサントから毎年、新しい種子を買わざるを得ず、モンサントに従属するようになる。
モンサントは、発がん性物質である「グリホサート」を主成分とする除草剤と、それに耐性のある一代限りの種子を、相互の販売を目的として相互に手段化するという巧みなビジネスモデルで販売してきた。その結果は、がん発生率の増加と農家の貧困化である。
IWJでは、モンサントの遺伝子組み換え種子について、早い段階から警鐘を鳴らしてきた山田正彦元農水大臣に岩上安身が連続インタビューを行っている。モンサントの危険性の全体像を理解するために、ぜひ、ご覧いただきたい。
米国モンサント裁判で除草剤ラウンドアップの発がん性が認められ世界中が規制! 日本と米国だけが逆行! なんとグリホサートより危険な「枯葉剤」の成分まで混入して使用できるよう規制緩和へ!?
2018年8月10日のカリフォルニア州陪審でのモンサント敗訴の評決は、世界的に影響を与えている。EUを中心に世界中でグリホサートの規制が強まっている。しかし、日本と米国だけが逆行する動きをしている。
元農林水産相・山田正彦弁護士は、2019年2月19日にフェイスブックで次のような投稿をしている。
「このニュース(2018年8月10日のカリフォルニア州陪審でのモンサント敗訴)は日本では何故か報道されませんでしたが、世界ではトップニュースとして連日報道され続けています。オランダやフランス等は即、グリホサートの使用を禁止、ドイツ、イタリア等世界33か国が2〜3年後には禁止することを表明しました。ところが、日本は1年程前にグリホサート残留農薬基準をものによっては400倍に緩和、小麦では6倍の30 ppmまで緩和したのです」
▲山田正彦弁護士(Wikipediaより)
現在、米国ではグリホサートに耐性のある雑草への対策として、グリホサートより危険な「2,4-D」をグリホサートに混ぜて使い始めている。除草剤「2,4-D」は、モンサント社が「2,4,5-T」という別の除草剤と50:50で混ぜて、枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」としてベトナム戦争で使用し、ダイオキシンを発生させたことで知られている。現在、日本政府は、グリホサートに続いてその「2,4-D」までも大幅に規制緩和しようとしている。
ホワイトハウスはモンサントと癒着していた! ホワイトハウスとEPA(米環境保護局)はモンサントの利害について忖度して動いている!
市民と科学者のグループが維持・管理し、遺伝子組み換え作物や持続可能な食料、持続可能な農業に関する情報を発信しているサイト「Sustainable Pulse」が、5月8日に、注目すべき記事をアップしている。
それによると、法廷に提出したモンサントの内部資料から、次の事実がわかったというのである。
現行のグリホサート規制のスタンスの温度を測るためにモンサントが雇った英国の戦略情報アドバイザリー企業「ハクルート」が、モンサントに対して、ホワイトハウスは「ラウンドアップ」を守るだろうと報告していたというのである。
▲ホワイトハウス(Wikipediaより)
レポートの中で、ハクルートは次のように述べている。
「ホワイトハウスの国内政策アドバイザーは、たとえば、次のように述べている。『我々はモンサントを除草剤規制で守る。我々は、EUに関わる議論など、モンサントが受けるどんな議論とも向き合う準備ができている。モンサントはトランプ政権のいかなる追加規制も恐れる必要はない』」
また、レポートは「EPA(米環境保護局)がグリサホート使用を支持することは疑う余地がほとんどない」と述べ、EPAの弁護士の言葉を引いて、「我々はグリホサートに関する決定を行った。グリホサートに関する事実の信頼性は非常に高いと我々は思っている。別の国際機関は異なった結論に達したが、我々の見解では、そのデータは不明瞭でその決定は間違っている」と述べている。
ホワイトハウスとEPAがモンサントの利害について忖度して動いている様子が生々しく伝わってくる発言である。グリホサート規制が米国のEPAで弱い理由が、ホワイトハウスとモンサントとの癒着にあったということが伺われる。
たとえば、4月30日にEPAは、グリホサートが人間にがんを引き起こす可能性は低いという見解を示し、EPAのアンドリュー・ウィラー長官は「現在登録されているグリホサートの使用による公衆衛生上のリスクはない」という声明さえ出している。
モンサントが200人余りの反対派の政治家やジャーナリスト、農業界指導者に関する情報ファイルを秘密裏に作成! フランス検察が捜査を開始!
仏紙ルモンドによると、モンサントは2016年に200人余りの政治家やジャーナリスト、農業界指導者に関する情報ファイルを秘密裏に作成していた。このファイルの存在についてはルモンドと「フランス2」テレビが最初に伝え、パリの検察当局が5月10日、予備的な捜査に着手した。
▲ルモンド紙のHP
モンサントは、米PR会社フライシュマン・ヒラードに対し、グリホサートや遺伝子組み換え作物について、特定の人物や報道機関の見解をまとめた資料の作成を依頼したとみられている。リストには、対象者が自らの意見について他者の影響を受けやすいかどうかといった情報も含まれていた。
モンサントの作成した反対派のリストの情報は詳細を極め、ちょうど、日本のマスメディアが、原発問題などに関してスポンサーからの金で飼いならされたように、反対派を金や情報で操作して沈黙させる目的があったのではないかと推測される。
モンサント・バイエルンの次の戦略はゲノム編集作物!?
2018年8月10日のカリフォルニア州の陪審での敗訴をきっかけにしたモンサントの3連続敗訴で、モンサントを買収したバイエルの株価は4割近く急落している。
5月18日は、世界反モンサントデーだった。IWJは、東京で行われ主催者発表で200人が参加したモンサント社日本法人前での抗議行動を取材している。呼びかけ人の一人で、「日本の種子(たね)を守る会」事務局アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉氏は、この抗議行動の中で、グリホサート規制の緩和をはじめ、種子法廃止や種苗法改正などに対抗する上で鍵を握るのは「地域」だと述べている。
この抗議行動は、現在、動画アップの準備中で、完了次第、お知らせする。ぜひ、ご覧いただきたい。
このように、2018年8月10日のカリフォルニア州での敗訴をきっかけにして、モンサント・バイエルンは劣勢に転じている。しかし、モンサント・バイエルンは反撃の機会を耽々と狙っている。
印鑰氏は、5月20日のフェイスブックに次のように投稿して注意を喚起している。
「次の遺伝子組み換えのバージョンをこっそりと社会の中に浸透させ、定着させるということ。それは何かというとRNAi(RNA干渉)やゲノム編集による遺伝子操作作物だが、それらは遺伝子組み換えではないものとして一切規制させないで栽培・流通できるようにしてしまうこと」
ゲノム編集とは、ゲノム編集技術であるCRISPR-Cas9などを用いて、DNAの改変を行う技術である。この改変によって特定の遺伝子の機能を停止させることを目的としている。たとえば、小麦の収穫高を上げるためには、小麦の成長を抑制する遺伝子の機能を停止させるようなDNAのゲノム編集を行う。RNA干渉の目的も、特定の遺伝子の機能停止という点では同じで、人工的に二本鎖RNAを導入して、目的の遺伝子発現のみを抑制する技術である。
この技術は、ビジネス上の利益率の観点だけで、その生命全体にとって必要な遺伝子を人為的に破壊してしまうという問題がある。その結果、どういう問題がその生命体とそれが流通する社会に起きるのか、誰にもわからない。
▲ゲノム編集技術のCRISPR-Cas9の開発者の一人、ジェニファー・ダウドナ氏(Wikipediaより)
遺伝子操作が、外部から特定の遺伝子を操作対象の遺伝子へ組み込み、自然界では存在しない生物を出現させる技術であるのと対照的に、ゲノム編集技術は、遺伝子操作の一つであるが、操作対象の遺伝子をその内部で編集する技術である。このため、遺伝子組み換えの危険性が可視化されにくい。
この危険性を印鑰氏は同じフェイスブックの記事の中で次のように指摘している。
「このゲノム編集に日本政府は異常なほど前のめりとなっている。わずか3ヶ月、数回の検討会を開いただけで、環境省も農水省も厚労省もゲノム編集を解禁する方針を決めてしまった。またもや官邸主導のなせるワザ。細かい整合性はまったく無視。ゲノム編集の種子さえ手に入ればもう耕作可能であり、遺伝子組み換えの時のような面倒な手続きは不要である。気がついたらとなりの畑はゲノム編集された作物を育てているかもしれない。そして、知らないうちに食べるという事態になるだろう」
今後、裁判で負け続けることが予想されるモンサント・バイエルンが、起死回生の一手として「ゲノム編集作物」を次のビジネス戦略の柱にすることは十分に考えられるのである。
モンサントの非倫理性が強く出た製品は、ベトナム戦争に米軍が使用した「枯葉剤」である。「枯葉剤」で注目すべきは、それが米軍の委託を受けて製造されたものだったことである。国策製品と言っていい。モンサントと米国政府の癒着の原点に「枯葉剤」がある。 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/449276 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1131894268065271809