【第409-413号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー(前編) 2019.2.27

記事公開日:2019.2.27 テキスト独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

※サポート会員に登録すると無制限で、岩上安身インタビューおよび特報など、すべて閲覧できるようになります。ぜひサポート会員登録をご検討ください!→登録はこちらから

 2018年3月16日、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁の再任が国会で承認され、4月9日より2期目がスタートした。日銀総裁が再選されるのは、57年ぶりのことである。アベノミクス第一の矢であるクロダノミクスとも言うべき異次元金融緩和を主導した黒田氏の再選は、異次元金融緩和への期待がすっかり色あせてしまったにもかかわらず、前例まで無視して、安倍政権はこれまでのクロダノミクス路線を踏襲する強い政治的意思を示したものと受けとめられる。

 黒田総裁は辞任した白川方明前総裁の任期を引き継ぎ2013年3月20日に総裁に就任したため、同年4月8日にいったん任期が切れた。

 国会の承認により、2013年4月9日から2018年4月8日までの日銀総裁に再任されたので、厳密には今回の2期目は「再再任」となる。

 黒田総裁は2年で2%の物価上昇を目標に掲げ、大規模な異次元金融緩和を実行したが、1期中にその目標には到達できなかった。目標達成は先送りされ続け、4月27日の金融政策決定会合で公表された金融政策決定会合で公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、ついに物価上昇2%目標の達成見通しは削除された。

※物価上昇2%」、達成時期の文言を削除 日銀決定会合(朝日新聞デジタル、2018年4月27日)
https://bit.ly/2Vmxomn

 いったい何のための異次元金融緩和だったのか、デフレ脱却が目標だったはずで、2年どころか5年もやっていて効果があげられないのは、異次元金融緩和政策が、そもそもの根本から理論的に間違っていたのではないかと疑われ、検証されてしかるべきである。しかし、安倍政権下では官邸も、日銀も、そうした真摯な反省や検証を行うそぶりもない。

 2018年3月14日に日銀が発表した自然利子率に関する英語論文は、アベノミクスや黒田総裁による黒田バズーカの副作用とその効果について、有り体に言えば言い訳を綴ったものだと言える。このことを鋭く指摘したエコノミストが今回のゲスト・田代秀敏氏である。

▲エコノミスト 田代秀敏氏

 田代氏は、黒田総裁の学者としての優れた資質に敬意を払いつつも、日銀総裁が続投することは「異例中の異例の人事」と懸念している。日銀総裁を再任したのは過去2回、連続就任したのは過去1回しかない。しかも黒田総裁は財務省出身。財務省出身で連続就任を果たしたのは黒田氏ただ1人である。

 なぜこうした人事が危ぶまれるかといえば、日銀は財務省、大蔵省のATMと思われてはいけないからであり、円の発行元としての信認を得るために政府とは切り離された独立性を持たなければいけないからである。

 日銀総裁は総理のパートナーであってはいけない。これは近代国家としての原理原則であり、そうしたタブーを、安倍政権下の日本は今まさに、侵しているのである。

 そして現在、日銀はビジョンなきまま、こっそりと金融緩和の出口に向かって動いている。そうなると、外国機関投資家が日本国債を疑い始めるのも時間の問題である。さらに国民が円を疑い始めたら、どうなるか。国債の信認が失墜したら、国家財政は破綻への道を突き進むことになる。国債暴落には法則性があり、そのシナリオはすでにでき上がっている。

 概ね流布されている経済学理論とは、現実の経済現象をきちんと取り入れて検証しているわけではなく、実際の市民生活にそのまま適用することができるかどうか、甚だ疑問なものが多い。市民に直接影響を与えうる、黒田長期政権のもとでの日銀の政策がはらむ懸念とはいかなるものか、そして、日本経済そのものの浮沈を決定する国債破綻の恐怖とは、どのようなものか。

 エコノミスト・田代秀敏氏が日本の経済の歴史をひも解きつつ分析する、国民が知られざる日本経済の現在に岩上安身が迫るインタビュー第1弾!

記事目次

  • 財務省は770トンの金塊を持っている!? しかしどこにどのようにあるか、一切公開されていない!
  • 副作用がありながら異次元金融緩和を粘り強く続けるという黒田総裁! 続投によって誰にもわからないうちに出口を見つけられるのか!?
  • 「物価上昇率2%」は6度も先延ばしされたあげく、ついにレポートから削除!「物価が上がらないのは気のせい」!?
  • 経済は生き物。背景を見ないデータで物ごとは判断できない! インフレ期待とインフレ不安は表裏一体と見るべきではないか!?
  • 日銀の物価上昇率未達成の原因分析は正しいのか!?インフレ予想のアンカーの正体はなんだ!?
  • ファーウェイ日本法人の大卒初任給は40万円! 中国本社では80万円!?
  • 資本金わずか1億円で何10兆円もの含み損を抱える日本銀行!中央銀行の信用がなくなった瞬間、大恐慌に!?
  • 日銀総裁に連続就任した1人・山際正道の再任後に、日本は経済において国際的な三大ビッグメダルを獲得した。しかし偉業の陰で市民生活は昭和40年不況に突入していった
  • 経済大国が突然の国債暴落によってその地位から滑り落ちるということは、長い目で見ると法則性がある。経済発展で投資を集め、資産バブルを引き起こし、バブルがはじけた時には気づけば産業の競争力が低下している。だぶついた資金は国債市場へ……
  • 超低金利の弊害は、上がった時の上昇率が推測しにくいこと!? そして何より恐ろしい日本銀行の「なし崩しの死」
  • 日本円の信頼を守るために130年封印してきた「財務省出身者の日銀総裁連続就任」は異例中の異例!~「戦後レジュームからの脱却」を掲げる安倍政権がしようとしているのは「近代国家の中央銀行からの脱却」
  • ヒトラー、東条英機さえも手をつけなかった中央銀行の独立性を侵す安倍政権が生まれた理由は?~歴史に対する畏怖の念の薄弱さ、偉人伝に走りすぎるお粗末な歴史教育、お金を使う人々によって円が機能し信認を得ていることへの無理解
  • 1930年の人口動態グラフは「ピラミッド型」、2030年はもはや「逆ピラミッド」などとは言わず「棺桶型」!~日本の最大の失敗は、人口が減少するのに日本の税収が増え続けることを想定していること!
  • 財政規律がなくなり、とうとう給料から天引きで戦時国債を買わされる!換金され、搾取される愛国心!!
  • 経済成長の本質を見失い、苦し紛れに発行した65年の赤字国債、金融モラルハザードを引き起こした特別融資、ふくれ上がる国債依存度~「特例」によってその場しのぎをする経済コントロールができない国・日本!?
  • 日本の財政危機でも、1円たりとも削れない国債の利払費~社会保障費と地方交付税を切るしかない!?
  • 日本政府の唯一の経済的見通し、内閣府提出の「中長期経済財政試算」をグラフ化して見えてくること~2025年には「名目長期金利」が「名目GDPの成長率」を上回る!

(…サポート会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページより御覧になれます。

サポート会員 新規会員登録

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です