【第305-314号】岩上安身のIWJ特報!NSAによる巨大監視システムの実態に迫る スノーデン氏が日本人に伝えたいこととは ジャーナリスト・小笠原みどり氏インタビュー 2017.5.25

記事公開日:2017.5.25 テキスト独自
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(岩上安身)

緊急特集 共謀罪(テロ等準備罪)法案シリーズ

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 3月21日、政府は「共謀罪(テロ等準備罪)」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に上程した。277もの犯罪について計画段階で処罰できるようにするもので、安倍政権は今国会での成立を目指している。

 恣意的な捜査を可能にし、個人の内面にまで踏み込む共謀罪は、特定秘密保護法や安保法制などとともに、安倍政権が進める「戦争遂行法制」の一環であると言える。共謀罪はその内容から「平成の治安維持法」などと呼ばれるが、改正治安維持法が施行されたのは1941年3月。日本軍による真珠湾攻撃のわずか9ヶ月前である。現在の日本は、まさに「戦争前夜」と言える状況にあるのだ。

 ただ、先のアジア・太平洋戦争と決定的に異なるのは、日本は今回は米国の従属国として、最前線で使い捨てにされる可能性がある、という点である。

 2013年6月、元CIA職員のエドワード・スノーデン氏によって行われた暴露が世界を驚かせた。これまで秘密のベールに包まれていたNSA(米国家安全保障局)が、「PRISM(プリズム)」と呼ばれるプログラムなどを通じ、全世界で大規模な盗聴を行っているというのである。

 NSAによる盗聴は、「同盟国」である日本もまた例外ではなかった。しかし日本政府は米国に抗議することもなく、スノーデン氏による暴露以降も対米従属をますます深めているありさまである。

 特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪によって米国とともに戦争をする国になるのか。それとも、米国に対してはっきりと「No!」を突きつけるのか。スノーデン氏による暴露は、私たちが日本という国の自主独立について改めて考える、格好の機会となった。

 そんなスノーデン氏に日本人として初めて単独インタビューを行い、その成果を著書『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』として刊行したのが、ジャーナリストの小笠原みどり氏である。2016年12月、私は小笠原氏に単独インタビューを行い、スノーデン氏の発言内容を聞くとともに、NSAが今もなお全世界で行っているとされる諜報活動の実態を聞いた。

 今月の「IWJ特報!」では、その小笠原氏へのインタビューのフルテキストをお届けする。世紀の暴露を行ったスノーデン氏は、はたして日本に対しどのような認識を持っているのか。ぜひ、最後までお読みいただきたい。(岩上安身)

記事目次

  • エドワード・スノーデン氏への単独インタビューに成功!カナダ在住のジャーナリスト・小笠原みどり氏のライフワークは「監視社会研究」
  • 取材成果をまとめた著書『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』を刊行、博士号を取得した後の進路はフリージャーナリスト? それとも大学教授?
  • NSAの盗聴に強く抗議したドイツ・フランスと、米国を「擁護」した日本、その差はいったい何なのか!? 日本の「諜報機関」は既にNSAと一体化している?
  • ネットに育まれネットを愛していたスノーデン氏ならではの怒りが、NSAによる盗聴の暴露につながった
  • まだ表に出ていない情報も!? スノーデン氏が明らかにしたNSAによる監視システム、その全体像とは
  • アメリカへ亡命する時代から、アメリカから亡命する時代へ――スノーデン氏を抱え込んだロシアの巧みな政治判断
  • なぜ、スノーデン氏に単独インタビューをすることができたのか? きっかけは「監視研究」の先駆者・デイビット・ライアン氏
  • 超スクープ・インタビュー動画の全編はいずれ公開? スノーデン氏は実際のところどのような身振りで、具体的にどう話すのか
  • 横田基地で働いていたスノーデン氏――コンピューター会社Dellの社員として来日し、横田基地内のNSA日本代表部に出勤
  • 上空には「ラプコン」、地上には「エシュロン」・・・日本のあらゆる情報は米国につつ抜け〜スノーデン氏は横田基地で中国からのハッキング対策を研究
  • スノーデン氏「日本人は米国をスパイすることはできない」――諜報/防諜関係から見えてくる真の日米関係
  • 米国の「ブラックボックス」を唯一律儀に開けない国・日本〜一方でNSAはサクランボの輸出入に関する交渉まで盗聴
  • 米国による盗聴を介した「ユ二ラテラル」な世界支配――「国家の上にNSAが存在する!」 ドイツでは諜報機関が自国ではなくNSAに忠誠を誓う事態に
  • 驚愕の事実!日本の特定秘密保護法は、日本の機密取得の要望に応えてアメリカがデザインしたものだった
  • 特定秘密保護法は本当に日本国内だけの問題なのか? 市民運動に欠けていた「日米関係」という視点
  • 諜報活動を行う上での3つのグループ――英語圏にある「ファイブ・アイズ」と「セカンド・パーティー」、日本はやっと「サード・パーティー」に入っている程度
  • 「表に出せない」「法的には拘束力はない」「けれども責任ある政府合意」――スノーデン氏が明らかにした日米間の「密約」の実態
  • 「開いたドアを一気に押し開ける」――スノーデン氏が小笠原氏に語った、米国による「脅し」の手法とは
  • 「調整メカニズム」とデータ・リンクでますます進む米軍と自衛隊の一体化〜スパイはもはや盗聴のために来日する必要はない!?
  • NSAが日本に「サイバージェノサイド」を仕かける!? 軍・諜報機関を蝕む「凡庸な悪」(ハンナ・アーレント)の正体
  • 日米合同委員会の「闇」――密約としての合意文書をストックし、タイミングを見て「合法化」する
  • アーミテージ氏、カーティス氏ら「ジャパン・ハンドラー」の役割とは何か――日本が真の「独立」を果たすために必要なこと
  • NSAによる監視の手口を暴く!エンドユーザーから自動的に膨大な情報を吸い上げるSSO(スペシャル・ソース・オペレーション)とは
  • マイクロソフト、グーグル、ヤフー、アップル・・・名だたるIT企業が協力していたNSAの盗聴プログラム「PRISM」とは
  • コーポレイト、フォーリン、そしてユニラテラル・・・米国の「一極支配」を証明する特殊情報源工作SSOのアクセス・ポートフォリオ
  • アメリカ西海岸と房総半島をつなぐ「太平洋横断エクスプレス」〜全世界のチョークポイントを結ぶNSAの大規模盗聴網「ストームブリュー」とは!?
  • コレクト・イット・オール――すべてを収集せよ!あらゆる国境を超えて全世界の人々から情報を無限に窃取するNSA〜事実上、世界中が独裁的な組織の監視下に
  • NSAの資金提供先、トップはパキスタンとヨルダン!そして日本にも約10万ドルが・・・
  • 霞ヶ関も日銀も三井・三菱も・・・第一次安倍政権時に発覚したNSAによる大規模盗聴「ターゲット・トーキョー」事件とは!?
  • 日本は既に「変態」の領域に突入!? 盗聴が発覚しても抗議せず、隷属を進んで受け入れる安倍政権の倒錯ぶり
  • 米国の狙いは世界規模の監視システムを通じた「完全支配」の達成!NSA長官・キース・アレキサンダー氏の狙いと「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」の完遂
  • スノーデン氏「8歳の子どもから企業のCEOまで同じバケツに」――NSAは『選択的』ではなく『無差別』に情報を収集〜携帯電話を持っていなくてもお構いなし!
  • 日本にも既にNSAの「チョークポイント」が!? 東日本大震災での「トモダチ作戦」は日本での盗聴活動を継続するためだった!?
  • ジュリアン・アサンジ氏「あるのは『ルールなどない』というルール」――民主主義の透明性は、内部告発抜きには絶対に保たれない
  • 情報収集プログラム「エックスキー・スコア(XKEYSCORE)」は「スパイのグーグル」!? 検索窓に名前を入れれば、「バルク・コレクション」からすべての情報が参照可能
  • 情報の「交換」から情報を「盗む」へ――通信傍受法、特定秘密保護法、そして共謀罪と、米国に「盗聴」されやすいように自国の法整備を進める日本政府
  • ロシアの諺「食欲は食べているうちに湧いてくる」!?――「テロ対策」を口実として無限大に権限が拡大されたNSA
  • フランスの「非常事態宣言」を凌駕する自民党改憲案の「緊急事態条項」〜監視レベルは最大限に引き上げられ、一般市民の自由も制限!?
  • ある日突然、社説が「辺野古容認」に!? 言挙げしない、転換点を示さない朝日新聞の変節〜言葉を権力にすり寄る道具として使う姑息さに幻滅
  • 「言論」を生業としてする者の「矜持」とは何か――権力にひたすら迎合し、抗議の声をあげようとしない日本の言論人・報道人に喝!
  • 山城博治氏の逮捕・不当勾留の裏にも米軍の監視が!外部にリークされ、何者かによってユーチューブにアップされた映像の内容とは?
  • 「対米従属」の象徴・米軍機オスプレイの墜落現場では何が起きていたのか――報道陣はもちろん、国会議員も米軍が引いた規制線の外に締め出し!
  • 「ジャーナリスト小笠原みどり」の原体験となった「横浜米軍機墜落事件」〜日米安保という「制度化された不正義」に対しいかにして穴を穿つか
  • 「スノーデンへのインタビューを終えた時、前を向いて歩いていこうという気持ちになれた」――閉ざされた闇に光をあて、「制度化された不正義」に抗うために、自分自身を信じることから始めよう

(…サポート会員ページにつづく)

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