昨年、映画監督のオリバー・ストーン氏とともに来日したアメリカン大学教授のピーター・カズニック氏が今年も来日し、各地で講演会を行った。8月8日、岩上安身は長崎入りし、カズニック氏とカナダの平和教育団体「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子氏に、3時間に及ぶロングインタビューを行った。
話題は、ウクライナ情勢とイスラエルによるガザ侵攻を中心に、米国の「ネオコン」の真の狙いなど、幅広いテーマに及んだ。
(IWJ・平山茂樹)
特集 IWJが追う ウクライナ危機|特集 中東
昨年、映画監督のオリバー・ストーン氏とともに来日したアメリカン大学教授のピーター・カズニック氏が今年も来日し、各地で講演会を行った。8月8日、岩上安身は長崎入りし、カズニック氏とカナダの平和教育団体「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子氏に、3時間に及ぶロングインタビューを行った。
話題は、ウクライナ情勢とイスラエルによるガザ侵攻を中心に、米国の「ネオコン」の真の狙いなど、幅広いテーマに及んだ。
■イントロ
一般的には、1989年のベルリンの壁崩壊、そして1991年のソ連崩壊により、西側の資本主義陣営と東側の共産主義陣営が対立する冷戦構造は終結したと考えられている。その後、資本主義陣営の筆頭である米国が、世界で唯一の覇権国として強大化することになった。
しかしカズニック氏は、「冷戦はいまだ終わっていない」と指摘する。なぜなら、カズニック氏によれば、冷戦とは「第3世界に対する戦争」だったのであり、この構造は現在においても引き継がれているからだ。
「第3世界に対する戦争」とは、朝鮮戦争やベトナム戦争、ソ連によるアフガニスタン侵攻を指す、とカズニック氏は述べる。そして冷戦の「終結」後も、こうした「第3世界に対する戦争」は、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などのかたちで、唯一の覇権国である米国によって遂行され続けているのである。
「これまでの戦争は、イデオロギー上の戦いのように見えて、実はそうではなかった。実際は、第3世界を痛めつける戦争だったのです。(米国は)民主主義を広めると言っておきながら、本当は格差を維持するための戦争だった。貧しい国から収奪するのが、冷戦の本質だったと言えます」
現在の米国が、中東諸国などに武力介入する際、頻繁に使用される兵器が、ドローン(無人爆撃機)である。カズニック氏は昨年8月11日、岩上安身がインタビューを行った際、米国は、核という「使えなくなった兵器」に代わり、サイバー(電子空間)、スペース(宇宙空間)、ドローン(無人爆撃機)という3つの「使える通常兵器」によって戦争をしようとしているのではないか、と指摘していた。
この日のインタビューでもカズニック氏は、ドローンの非人道性について言及した。イラクの首都バグダッドを米軍が侵攻した際、ドローンが使われたが、カズニック氏によると、戦地は「(原爆を投下された)広島や長崎と同じような状態」になってしまったという。女性や子供などの一般市民が巻き添えとなって死亡したことは、「バグ」として処理されてしまう、とカズニック氏は語った。
「ドローンは、米国だけでなく、ロシアや中国も持っている。中国はウイグルの動乱を鎮めるため、ロシアはチェチェンの動乱を鎮めるためにドローンを使っている。米国がドローンを使い出すと、他の国も追随していくので、非常に危険な状態にある」
「PNAC」、アメリカ新世紀プロジェクト――。1997年に設立され、そのうちの多くがブッシュ政権入りした保守系のシンクタンクである。イラク戦争を主導したネオコン(新保守主義者)の牙城とも評される。現在は活動を停止しているといわれているが、名を連ねたメンバーは米政財官界に対しても、隠然たる影響力をもち、ブッシュ政権の「ネオコン路線」から「チェンジ!」をはかったはずのオバマ政権にも強い影響を与えているとみられている。
米国に飽くなき軍事力の増強を求め、他国への先制攻撃を含む武力介入と、米国の一極支配の完徹を掲げるPNAC。彼らをはじめとするネオコンの思想は、現在の東ウクライナにおける内戦とイスラエルによるガザ侵攻にどのような影響を与えているのか。
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■実況ツイート
世界の覇権を握る米国だが、その地位は信頼と尊敬ではなく、血塗られた歴史と憎悪によって成り立っている。米国の欺瞞を知ってほしい。
超納得!TPPも!
民主主義を広めると言っておきながら、本当は格差を維持するための戦争だった。貧しい国から収奪するのが、冷戦の本質だった!
「世界中がアメリカにうんざりしている。」「アメリカ人は戦争にうんざりしている。」インタビューというより対談、深刻な問題だけれど楽しそう。「センゾウダメ」