ソチオリンピックを2月21~25日の日程で視察した舛添要一東京都知事が27日(木)、15時より帰国後の初定例会見を行った。記者からは国家戦略特区や「アンネの日記」事件、待機児童や築地移転問題、国歌斉唱不起立問題など、多くの質問があがった。
舛添都知事からは、ソチ視察の報告がなされたが、14日から東日本を襲った大雪災害についての言及はなかった。舛添都知事はソチ視察直前に、立川で奥多摩町長らと会談したものの、現地視察は行なっていない。奥多摩町と檜原村の孤立状態が解消されたのは22日になってからで、青梅市の御岳山地区では、23日まで36世帯141人が孤立していた。
冒頭、舛添都知事からソチ視察の報告。
「(IOCトップとの会談などを報告した後で)セキュリティが非常に厳しかったが会場がコンパクトだったのでやりやすかっただろう。日本は会場が分散しているから難しい」
その他、現地ではロシア語しか通じなかった事から日本での通訳ボランティアの必要性、帰りの機内でフィギュア選手団と同じ席だったので健闘を称えた件などの報告があり、質疑へ。
- 日時 2014年2月27日(木)15:00~
- 場所 東京都庁(東京都新宿区)
君が代斉唱の不起立問題 「国旗国歌法に従うのは当然」
週刊金曜日「君が代の斉唱時に不起立で戒告・減給の処分を受けた教師が取り消しを求めた裁判について。不起立と懲戒処分を繰り返していても根本的な解決にはならない。教師たちが求める都教委との話し合いを、知事決断でやるべきでは?」
舛添都知事「前提として、憲法のもとにある国旗国歌法、これは日本国民である限りはきちんと守らないといけない。処分については最高裁判決があるのだからこれに従うのが当然」
週刊金曜日「国旗国歌法は、起立して斉唱しろとまでは定めてないが?」
舛添都知事「定めてないが、法律は全部そこまで細かく書いていない。どう解釈するか。それ以外の解釈あるとすれば、まさにその解釈こそ、司法の場に委ねればいい」
「日本にシャンゼリゼ通りのような素晴らしいストリートを」
東京新聞「先ほど仏大使と会って『東京にシャンゼリゼ通りのような通りを作りたい』とおっしゃったが、どのようなイメージか?」
舛添都知事「3月29日に環状2号線虎ノ門と新橋の間が開通する。歩行者天国や歩道にカフェがあり、散歩できるようなイメージ。
カフェなんかだと消防法の規制とかもあるので、そういう意味で国家戦略特区を設けるというのはそういうこと。安全を担保した上で、そこまで規制しないでいいんじゃないかと。これは3月いっぱいに政府とも協議しないといけない」
国家戦略特区 混合診療や学校民営化は「ケースバイケース」
IWJ佐々木「特区について2点。選挙戦で『特区で若者の雇用強化』と言っていたが、具体的にはどのような規制緩和を念頭に置いているのか?
2点目は、混合診療や学校民営化など、東京都がアクションプログラムや特区提案に盛り込んでいない、医療や教育に関する規制緩和を国が求めてきた場合、どう対応するのか?」
舛添都知事「まず特区で若者の雇用強化について。例えば先ほどのシャンゼリゼ云々の話で、オープンスペースのカフェみたいなことをやると、ウエイターとかウエイトレスの需要も高まる。そこに1つの雇用が生まれる。ま、今の例えで言うと。
ただ医療の特区などはあり得る。世界最高水準の日本の医療を受けたいという人が世界にはたくさんいる。メディカルツーリズムで迎え入れ、日本のような保険もないので実費をとり、外貨を稼ぐ。国際的な信任に耐え得る病院を指定してやる。
混合診療とか民営化もケース・バイ・ケース。安全とか基本的な命が脅かされるようなことはよろしくない。だから首切り特区ではなく、若者が自由な雇用関係を結べて、しかし高給が貰えるような、いい意味での雇用の特区を考えたい。
混合診療についても、例えば、歯医者さんはもうほとんどそういうふうになっている。また莫大な利益を生む新薬開発。中心地は今シンガポールに移っているので、これを東京に移したい。その時に厚労省の規制があるならば、これを取り外す」
「アンネの日記」事件 「絶対に許せない。言論の自由に対する挑戦」
東京MX「都内の図書館で『アンネの日記』が破かれた事件について」
舛添都知事「絶対に許せない。知識・教養に対する冒とく。またユダヤ民族に対する差別とかホロコーストを容認するようなことは、絶対に許せない。私は学生時代からヒトラーの研究をしていた。
ヒトラーというのはドイツ国民によって合法的に選挙で選ばれた。民主主義でこういうのが生まれるのは何なのかと。それで弾圧の歴史を調べ、強制収容所も見て、こういうことがあっていいのかというのを思っている。
こういうことをやる都民とか日本国民がいるとしたら、それは恥ずべきことで、言論の自由に対する重大な挑戦。一部のネットでこういうことを容認するような発言をしてる人がいるが、許しがたい。歴史に対する冒とく。絶対にやめるべき」
新国立競技場の都の費用負担 「都民の理解が大原則」
朝日新聞「新国立競技場の費用負担。国は都に500億円負担して欲しいとのことだが」
舛添都知事「まず500億円云々の話は全く私は聞いていない。国のほうから話が来れば、それを聞いた上で検討させていただく。都民の理解が得られなければ支出しない」
築地移転問題 「汚染問題は解決との報告を受けている」
東京新聞「豊洲の新市場の起工式が28日。汚染の問題や、築地跡地の用途など、様々な課題があるが?」
舛添都知事「私が着任した段階で既に決まっているもので、新たな変更を加えるということはほとんど不可能に近い。
築地は交通含めて不便で、狭くなっている。だから、そういう意味での利便性の拡大ということはあっていい。築地場外の450軒全部まわって話を聞いたが、大多数は、『もう決まったことだから』という意見だった。
汚染については、これはもう一応の解決を見たという報告を受けているので、そうではないという明示的な証拠があれば、また、その段階で考えたいと思っている」
28日、天皇皇后両陛下の大島お見舞いに同行
最後に舛添都知事から28日の日程について。
舛添都知事「明日28日は天皇皇后両陛下が大島のお見舞いにいらっしゃいますので、同行する。私自身、大島に行って、被害の現状を見てきた。天皇陛下、皇后陛下がお見舞いくださるというのは、都知事としても本当に感謝を申し上げたい」