週末にかけて降った大雪で、甚大な被害を受けた東京都の奥多摩町。17日の時点で、道路が通行できない状態となり、町全体でおよそ600世帯、1200人が孤立した状態となった。JR青梅線(青梅―奥多摩間)は、19日になっても運休が続いている。
奥多摩の雪害に対する東京都の対応はどうだったのか。舛添要一東京都知事は、2月18日の会見で、IWJの質問に対し、「2月16日に、ホットラインを通じて、ただちに自衛隊に出動要請をした」と述べ、「今回は、東京都の危機管理対策がきちんと機能した」と胸を張った。
しかし、国道411号線や204号線など一部の国道で16日から陸上自衛隊による除雪作業は始まっていたものの、物流が寸断されて孤立した地域に輸送ヘリで物資が届けられたのは、週が明けた17日日曜日の午後になってからのこと。しかもその情報は、現地に十分伝わってはいなかった。
都知事選で、「防災世界一の東京」を掲げて当選した舛添氏。しかし、看板とは裏腹に、舛添氏は、大雪が降った15日(土)、16日(日)ともに、登庁していない。しかも、ツイッターやFacebookでも、大雪の被害状況を伝える情報発信をまったく行っていないのである。
東京都奥多摩町 「るる」さんからの声
IWJでは、ツイッター上で情報発信を行い、岩上安身とも交信していた、奥多摩町海沢地区に住む「るる」さんと連絡を取り、電話取材を行った。
14日の金曜日から降りだした雪で、家に閉じ込められた「るる」さんが自宅の外に出ることができたのは、なんと4日後の18日火曜日午前になってからのことだったという。
「私の家の周りは、有志のボランティアの方の除雪が進んで、今日になってようやく家の外に出ることができました。自衛隊だと思うのですが、輸送ヘリが飛んでいくのも見えました。物資を積んでいるのかどうかは、今の段階では分からないのですが…」
「るる」さんが言うように、東京都から災害派遣要請を受けた陸上自衛隊の輸送ヘリが奥多摩町に入ったことについて、現地に十分な情報は届いていなかった。「るる」さんをはじめ、奥多摩町の住民は、週末の金曜日から、土、日、月、そして火曜日にかけて、4~5日間ずっと身動きが取れず、物資も届かない状態で孤立していた、ということになる。
▲奥多摩町の様子 撮影:「るる」さん 2月15日(日曜日) 午後9時撮影
なんとか自宅の外に出ることができた「るる」さんだが、奥多摩では19日水曜日になっても、いまだに孤立している地域があるという。
「峰谷の『奥』という地域に私の友人が住んでいるのですが、ここはまだ完全に孤立しているようです。一時は断水もした、と友人は言っていました。その時は、周囲の雪を溶かして水分を補給していたとか…。とにかく、非常に追い詰められた状況にあったようです」。
「るる」さんが住む水沢地区も、完全な孤立状態に陥った奥地区も、周囲にスーパーマーケットやコンビニエンスストアはないという。この間、「るる」さんをはじめ、奥多摩町の住民の方々はどのように食料を確保していたのだろうか。
「この地域にはスーパーもコンビニもないので、普段は青梅まで買い出しに行って、各家庭で常に1ヶ月ぶんの食料を蓄えるようにしているんですね。そのおかげで、今回は幸いにして食料が途切れることはなく、死者が出るような最悪のケースを避けることができました」。
東京であっても、今回のような大雪になると、食糧の供給が途絶え、窮地に陥ることが明らかになると、買いだめをしていなかった人の中には、本当に困った方々もいただろう。
問題は物流だけではない。東日本大震災の時と同様、今回、明確になったのは、情報供給の貧弱さである。
放送かネットか