「あの時から俺は当てにしてない。現に 防災無線から、テレビたいしてやらない。県境で車内泊2日目とかの人たちにガスや食料大丈夫?近所のまともに歩けない年寄り大丈夫? できることはするよスタイル。BOND&JUSTICE」
大雪害を受け、このようにtweetしたのはレゲエアーティストのVEGA-T(@VEGA-T)氏。NPO法人、東北関東大震災支援隊本部「BOND&JUSTICE(通称、ボンジャス)」のメンバーの一人だ。
2月14日から東日本を襲った大雪の影響で孤立した山梨県。甲府と河口湖では積雪量が観測史上最高値を更新した。15日午前7時の段階で、河口湖では138センチ、甲府で110センチ。雪に阻まれ、自衛隊の救援すらままならず、多くの車が立ち往生、凍死者も相次いだ。
そんな中、山梨県甲府市在住のVEGA-T氏は、連日、決死の被災者救援活動にあたった。その様子はツイキャス(TwitCasting)でネット中継され、注目を集めた。
【救援活動のツイキャス中継アーカイブ】
http://twitcasting.tv/vega_t/show/
有事に動く「BOND&JUSTICE」
BOND&JUSTICEとは、2011年4月から現在までに、主に東北の被災者らに対して、合計35000食の炊き出しを行ってきた被災支援団体である。ボンジャスは東北の被災地だけでなく、埼玉県加須避難所などでも同様の支援にあたっている。
代表を務めるのは南相馬在住の大土雅宏氏。自身も東日本大震災の被災者でありながら、震災翌日にボンジャスを結成し、「支援する側」に回った。東日本大震災が起こるまで、仙台などの東北を中心にヒップホップやレゲエの音楽イベントをオーガナイズしてきた大土氏は、そうした経験と人脈を活かし、仲間を集め、全国へ支援を呼びかけた。震災からのわずか一ヶ月の間に150トンもの物資を被災地に運ぶことに成功した。
IWJの「百人百話」に登場した福島県郡山市在住の遠藤浩二(DJ mambow)氏も、ボンジャスのメンバーの一人。遠藤氏自身も被災者でありながら、東日本大震災の直後から東北の支援活動に奔走した。その様子は、百人百話の中で彼自身が面白おかしく語っている( 第十話 遠藤浩二さん(DJ mambow) | 百人百話 |IWJインタビューシリーズ )。
<2012年3月11日 宮城塩釜桂島の炊き出し>
<2013年3月9日 宮城七ケ浜のボンジャス物産展の写真>
(写真提供:BOND&JUSTICE 代表 大土雅宏氏)
「おれには山梨が、東日本大震災の被災地と同じ光景に見えた」
VEGA-T氏も3.11当日にボンジャスに参加した一人だ。13日までの二日間で約40トンの支援物資を山梨県内からかき集め、北上。震災でさまざまな交通規制があったが、「テレビ局が入れているんだから、俺たちも絶対に入れるはずだ」と考え、難関を突破し、被災地へ物資を運んだ。
山梨県甲府市在住のVEGA-T氏は、今回の雪害でも、自らが現場に出て、救援活動にあたった。ガソリンやミネラルウォーターを用意し、避難所を教え、交通規制情報を伝え、立ち往生の車の周囲を雪かきし、移動させ、渋滞を解消した。
その模様はツイキャスでネット中継された。国や県が動かない中で行われたVEGA-T氏らによる救援活動を、同時視聴1000人を超えるユーザーが固唾を飲んで見守った。
IWJは17日、VEGA-T氏に電話取材した。なぜ今回、救援活動にあたろうと思ったのか。
<VEGA-T 氏>
「自分自身も雪の影響で家を出れず、状況がわからなかったんですよね。例え家を出た人がいても、(雪害に)興味がなければつぶやかないじゃないですか。でも孤立しているという話や、帰れないという話を聞いて、ネットでも調べてみた。
それで15日の夜に外を歩いてみたら、道路脇に高く寄せられた雪が、まるで『瓦礫』のように見えて。で、お洒落もできず、長靴に作業着のような格好でみんなが『車道』を歩いている。誤解を招きたくないけど、おれにとっては山梨が、東日本大震災の被災地と同じ光景に見えました。家も電気もあるが、光景はそう見える。だから、『震災じゃねぇか』と。2日も助けに来なければ震災ですよ」
立ち往生3日目の夜、リアルで動き始めた5人+1人の若者
そして16日、VEGA-T氏は4人の仲間と共に、ガソリンとミネラルウォーターを持ち、身動きの取れなくなった車の救援活動に向かった。…