「国家権力による暴力的行為が、合法的に行われている」──。
2014年2月23日、奈良市の奈良県人権センターで「『大和(奈良)からヤマトゥの差別性を問う』連帯集会」が開かれ、沖縄米軍基地問題や原発問題にひそむ差別について、山城博治氏(沖縄平和運動センター)、下地真樹氏(阪南大学)らが報告と討論を行った。
(IWJテキストスタッフ 富山/奥松)
「国家権力による暴力的行為が、合法的に行われている」──。
2014年2月23日、奈良市の奈良県人権センターで「『大和(奈良)からヤマトゥの差別性を問う』連帯集会」が開かれ、沖縄米軍基地問題や原発問題にひそむ差別について、山城博治氏(沖縄平和運動センター)、下地真樹氏(阪南大学)らが報告と討論を行った。
■全編動画 1/2 大城氏・浅川氏
■全編動画 2/2 山城氏・下地氏
はじめに、浅川肇氏は、現安倍政権が在日朝鮮人を意識的に差別し、分断政治を執り行おうとしている可能性や、国の方針に従わないものがテロリストとして扱われる危険性について語った上で、「分断政治が一番恐れていることは、市民の団結であると思う。それぞれの問題に取り組む人々が一緒になって、今の政治の問題に対して声を上げることは、意義のあることだと思う。私たちは、今こそ自分たちの権利を主張しなければならない」と述べた。
山城博治氏は、第2次安倍政権発足以後、オスプレイ撤去、普天間基地の県外移設などを訴えた建白書を提出するために、東京へ行った時の体験を語る中で、「集会後、デモ行進をした時、『非国民、沖縄のドブネズミは帰れ』など多くの罵声を受けた。その時、安倍政権の想いは、こういう形で具現化されるのだな、と恐怖した」と話し、現在の日本社会に、多くの差別、排外主義が蔓延している現状を問題視した。
次に、石垣島に陸上自衛隊を誘致する計画が発表された、と報じる新聞記事を紹介し、高江、辺野古、普天間など、同時多発的に軍事化が進んでいる状況を説明し、次のように断じた。「本来であれば、3.11を経たこの国は、すべての力と資本を傾注して、原発を止め、反省の上に、人々が安心して暮らせる社会を築く方向へ向かうはずである。オリンピックを招致しても、放射能の恐怖が消え、被災した人々が救われなければ、意味がない。安倍首相は、やるべきことを忘れて、夢でも見ているのか、という想いがする。沖縄の普天間基地の問題も、国民のために本気で取り組んでいるとは思えない」。
さらに、「沖縄の要塞化は、着々と進んでいる」と指摘した山城氏は、その目的は中国との戦争のためであると看破し、「この国には、いざとなれば躊躇することなく、『大和国家のために死んでくれ』と沖縄県民を戦場に駆り出した、過去の歴史がある。私たちは、もう騙されないし、沖縄が犠牲にされることを断固拒否する」と憤った。
続いて、新宿のヘイトスピーチのデモの写真を紹介し、「差別には、これから起こる多くの犠牲を、目くらましにする機能がある」と指摘。「安倍首相は、戦後体制の解体を、沖縄を皮切りに、全国へ展開していくかもしれない。こんな状況の中で、一人ひとりが何をするべきか、考えなければいけない。しっかりと論を尽くして、全国の人と連帯して、戦争させない国にしていきたい」と語った。
下地真樹氏は、大阪、京都の市民有志による辺野古問題を訴える活動が、10年間、継続的に行われていることを紹介。それに対して、警察とJR西日本が圧力をかけた事実、自身も、大阪駅構内をデモ行進した容疑で逮捕された時の状況を説明した。「この圧力の背景には、辺野古基地計画を、何としても遂行したい国家権力がある」とし、「社会の流れを変えたいという、人々の行動も許さず、社会から消し去ろうとしている」と指摘した。
また、IOC総会にて、「福島第一原発の汚染水は、完全にコントロール下にある」と発言した安倍首相を問題視し、「福島の原発が事故を起こす前、耐震基準や津波防護の妥当性を追求された時に、『大丈夫』と答えたのも安倍首相(第1次安倍内閣)である。彼が放置した、その原発が事故を起こして、多くの人が被害を被っている」と批判した。
そして、「今の状況に対して『おかしい』と市民が声を上げるだけで、威力業務妨害罪で捕まえようとする、この国は病みきっている。そして、病んでいるという認識が、一般的に定着していないのも問題である」と述べた。