強行採決された特定秘密保護法、日本版NSCの設置、国家安全保障戦略の策定と防衛大綱の改定、武器輸出三原則の事実上の緩和、そして解釈改憲による集団的自衛権の行使容認。昨年末の臨時国会から今年の通常国会にかけて、安倍政権は「タカ派」的とも言える外交・安全保障政策を押し進めている。
小泉政権、第一次安倍政権、福田政権、麻生政権の4代にわたり、首相官邸で内閣官房副長官補(安全保障担当)を務めた、国際地政学研究所理事長の柳澤協二氏は、こうした安倍政権の外交・安全保障政策について、「政策目標が抽象的かつ非論理的だ」と批判する。
- 日時 2014年2月5日(水)
- 場所 IWJ事務所(東京都港区)
安倍政権の抽象性と非論理性
柳澤氏によれば、特定秘密保護法や日本版NSC、集団的自衛権の行使容認は、それらの法律が必要とされるだけの客観的事実に乏しいのだという。例えば特定秘密保護法に関しては、現状の国家公務員法の枠組みでも十分に国家機密は保護できているのだという。
「私は実際に米国と実務的な交渉をしたが、日本の秘密保全法制が不十分だからという理由で米国から情報がもらえない、ということはなかった。
国家機密の漏洩を防ぐために必要なのは、特定秘密保護法のように罰則を強化することではなく、現在の法律の運用に関する規則を定めること。秘密保護法を作ることで本当に秘密が守られるのか、そういった議論がなされていないのではないか」
戦争の「三位一体」