【IWJブログ】元内閣法制局長官へ異例のロングインタビュー! 解釈改憲は「法治国家ではあり得ない禁じ手」 2013.9.18

記事公開日:2013.9.18 テキスト動画
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特集 憲法改正

 阪田雅裕元内閣法制局長官のインタビューを終えて、本日最初の食事を大戸屋で。阪田元長官、90分ものロングインタビューは超異例。様々なことがクリアになった。中国と北朝鮮の脅威が仮にあるとしても自衛権の発動は何の問題もなく現行憲法下、従来の解釈で可能。余談だが大戸屋のひじきはうまい。

■ハイライト

 では、何のために大騒ぎして、集団的自衛権の行使容認を、解釈改憲という、法治国家ではあり得ない禁じ手を使ってでも強行しようとするのか。日本の周辺海域で起きるのではない、日本の自衛とはまったく関係ない、米国の引き起こす戦争への参戦のためである。阪田元長官の取材でそれが明らかに。

 不可解なのは、米国の姿勢である。アーミテージらは第三次アーミテージレポートでも集団的自衛権の行使容認を日本側に強く求めている。他方、オバマ大統領は、今年二月、日米首脳会談で安倍総理がこの話をいそいそ持ち出そうとすると、中国の機嫌を損なうからと押しとどめ話題にさせなかった。

 米国の姿勢の矛盾、その答えは? 主役は、実は日本の外務省、なのだ。この先はメルマガ「岩上安身のIWJ特報!」で。繰り返すが中国や北朝鮮の脅威には現行憲法で自衛権発動可。元内閣法制局長官が可能と断言したのだから間違いない。これまでの憲法解釈では対処できない、というのは嘘。

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 以下、本日の阪田雅裕元内閣法制局長官のインタビューの実況ツイートを、リライトして掲載します。核心は、メルマガで。ぜひ、ご購読ください!

※動画を含む元記事はこちら

岩上安身(以下、岩上)「集団的自衛権の行使容認をめぐり、議論が行われています。前内閣法制局長官の山本庸幸氏が最高裁判事に就任する際、自民党が進めている解釈改憲に疑問を呈しました。すると菅義偉官房長官が違和感がある、と」

阪田雅裕氏(以下、阪田・敬称略)「人事についてはちょっとコメントする立場にはないのですが、法制局がこれまで積み上げてきた憲法の解釈について、内閣が変えるということには疑問を持っています。

司法判断という点で言えば、裁判にはならないと思います。一般的抽象的な違憲立法審査権は日本にはないからです。これまで自衛隊の存在について裁判所が判断をしてこなかったとのと同じ理屈ですね。

かつて砂川事件というものがありました。日本が主権国家である以上、自衛権を持っている。ただし、それは司法ではなく立法府に任せるべきだろう、と。このように、司法判断よりは国民の判断にあおぐべき、という考え方を統治行為論と言います。

岩上「新しく内閣法制局長官に就任した小松一郎氏は、当初は裁判所が、そして就任後は内閣が判断すると言っています」

阪田「内閣としては、憲法にしろ法律にしろ、合理的な説明をできることが第一です。あらゆる解釈が変わってはいけない、ということではないと思いません。しかし、その際には合理的な説明が求められますし、国会での国民の合意が求められる、ということです。

岩上「集団的自衛権の行使容認は、どういう理由でこれまで認められてこなかったのでしょうか」

阪田氏「憲法第9条1項は『武力行使をしない』、2項が『戦力と交戦権を保持しない』というものです。9条2項があるにも関わらず、自衛隊を持っているということで、政府は説明に腐心してきました。政府としては、憲法は9条だけでできているのではないのだ、と。生存権、幸福追求権なども含まれています。

 仮に他国から軍事的な侵略を受けた場合、国家が指をくわえてみているようでは、国民の生命や財産が守れないことになります。従って、自衛力の保持は許される、9条2項が禁じている陸海空の戦力にはあたらない、と解釈してきました。

 このような論理で自衛隊は合憲とされます。従って、国民の生命や財産と関係する限りにおいて、自衛隊の存在が認められている、ということです。だからこそ、自衛隊の海外での武力活動は認められない、とされます」

岩上「つまり、現行憲法で自衛隊の存在は位置づけられる、ということですね」

阪田氏「分かりにくい点はあるかもしれませんが、すでに自衛隊の発足から60年。現在の政府解釈が国民の間に定着していると言えます」

岩上「集団的自衛権と集団安全保障というものがあります。その違いについてあらためて教えていただけますでしょうか」

阪田氏「現在の国連憲章体制での国際法のもとでは、基本的に戦争はいけない、違法だ、ということになっています。19世紀から伝統的に、自己防衛としての戦争は許されてきました。これを個別的自衛権と言います。これも現在の国連憲章で認められています。それと同時に、国連憲章は集団的自衛権も認めています。同盟国への攻撃を自国への防衛として自衛権を発動する。

 最後が集団安全保障というもの。国連安保理の決議にもとづいて多国籍軍を組織し、それに参加するというものです。具体的に言えば、ベトナム戦争は集団的自衛権、湾岸戦争は集団安全保障です」

岩上「政府解釈では、集団的自衛権は保有しているが行使はできない、というロジックになっていますね」

阪田「保有しているのは、国際法上認められている、ということです。国際法で認められていることが主権国家がすべてできるわけではありません。国際法で認められていることを、主権国家としてあらためて選択するかどうか、その国の国民が決めることができます。日本は国民の意志として、集団的自衛権は行使しない、と憲法として決めているのです」

岩上「つまり、集団的自衛権というのは、国際法上の権利であって義務ではない、と」阪田氏「その通りです。国際法上許されているけれども、日本国としてはそれを義務として選択するということはしていません」

阪田氏「法律と憲法とは役割が違います。法律は統治のための手段としての役割が色濃い。権利を制限したり義務を課すものです。万能の統治の手段だと言われます。他方、憲法というものは、法律によって国民に義務を課す国家に対して、国民の側からきちんと枠をはめるためのものです。法律は国民が守る、憲法は国家が守る。そういうことです」

岩上「日本国内では、憲法を変えるべき、解釈を変えるべき、という話が出ています。米国もあからさまに要求しています。昨年の第三次アーミテージ報告書にも明記されています。米国の後方支援が求められているようです」

阪田氏「この問題は、外国から何か言われることではありません。憲法の解釈については国民が決めることです」

岩上「98条に国際条約を守るよう規定されています。日米安保が憲法の上位に来るとも言われますが」

阪田「憲法と日米安保のどちらが優位になるかどうか、という議論ではありません98条2項に従えば、国際法上認められた軍事活動に多国籍軍として参加するわけですから、9条は何もしばらず、空洞化するわけです」

阪田「現在の9条が持っている規範の解釈を変えるということになれば、国民主権、基本的人権の尊重とならんで三原則のひとつである平和主義がなくなることになります。解釈で変えてしまうよりは、96条を変えるというほうが、手続きとしてまっとうです。賛成、反対というよりは、手続きとしてそういうことになります」

岩上「安倍総理の諮問機関である安保法制懇が報告書を準備しています。第一次安倍政権でも出された4類型があります。米艦船への攻撃を海上自衛隊が守る、という議論です。しかしこれは意味がないのでは、という元内閣官房副長官補の柳澤協二氏の指摘があります」

阪田氏「国民にとっては自分のこととして受けとめづらいのではないのでしょうか。米艦船を守るくらいならやったらいいじゃないか、と思っている方もいるかもしれない。しかし本質はもっと重い。憲法改正にしろ解釈改憲にしろ、自衛隊が海外で他国の人を殺傷するかもしれないということをしっかりと国民に示さなければなりません。日本の有事に対しては、自衛隊が防衛出動し、日米安保に基いて米軍が共同対処する、という枠組みになっています」

岩上「しかしそのなかで、敵基地攻撃論が出てきている。安全保障環境の変化を理由に自衛の解釈を変えようとしているのでは」

阪田「敵基地攻撃に関しては、被害が生じる蓋然性があれば、その源を断つということは法理上許されると政府は解釈してきました。これは個別的自衛権です」

岩上「集団的自衛権行使容認の話題になると、中国や北朝鮮の脅威がよく言われます。しかしこれは関係のないものですね。いずれも個別的自衛権で対処可能だということになります」

阪田「4類型で言われている米艦船への攻撃というのは、日本近海での話というものではなく、インド洋とかハワイとかの話をしています」

岩上「安保法制懇で言われている議論では、米国だけではなく、韓国に対しても集団的自衛権の範囲を拡大しようとしているとされます」

阪田「集団的自衛権に関しては、軍事同盟の締結を前提とはしていません。だから要請があれば、集団的自衛権を行使し得ます」

岩上「つまりいったん認めたら、憲法上はなんでもできることになりますね」

阪田「例えば『地球の裏側』ということが言われます。法律で制限しなき限り、憲法上は何でもできることになります。集団安全保障については、国連安保理の決議を経るので、まだ理が通っていると言えます。小沢一郎さんなど国連中心主義の立場を取る方は、自衛隊の多国籍軍への参加は認めるべきという立場をとっています」

岩上「山本庸吉氏が会見をしたのが8月21日。シリアで化学兵器を使用されたとされる日と同じです。集団的自衛権行使容認となったら、シリアへの軍事介入に日本が参加していたかもしれません。シリアでは、いまだに誰が化学兵器を使用したか分かっていません。そのような戦争に、日本も自動的に参加する可能性がありました」

阪田「イラクでは、国連の決議を経たうえで、特措法を作ってイラクに自衛隊を出しました。しかし現在の憲法解釈の枠組みのもとで、一人の犠牲者も出さずにすみました。集団的自衛権があれば、自衛隊がバグダットに出ていた可能性もあります」

岩上「今回のシリア情勢に関して、プーチン大統領は明白に『侵略だ』と批判しました。それに対して米国は例外主義ということを唱えだした。集団的自衛権が行使容認されると、米国の例外主義に追従することになるのでは」

阪田「解釈改憲や憲法改正となれば、戦争が起こるたびに、参加すべきかどうか、日本として主体的に判断することが求められるようになります。今までは憲法上考える必要がありませんでしたが、考えなければならなくなる」

岩上「確認ですが、タカ派の人たちが主張していることは個別的自衛権の発動で可能だと。であるならば、なぜ日本は、これだけの防衛費をかけて、集団的自衛権の行使容認に向かっているのでしょうか」

阪田「日本は専守防衛ということで、長距離ミサイルといった攻撃用の兵器は持たずにきました。集団的自衛権行使容認ということになれば、そういう装備も持つことになるかもしれませんし、周辺国に脅威と感じられるかもしれません」

阪田「憲法の解釈を変えるということは、これまで維持してきた解釈は間違っていたと主張することです。間違っているなら、そのことを合理的に説明する責任があります。安保条約との関係上、軽々に変えるものではありません」

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