安倍総理の私的諮問機関「安全保障の法的基盤に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)が9月17日、首相官邸で議論を再開した。会議に出席した安倍総理は、歴代の政府が、憲法解釈上認められないとしてきた集団的自衛権の行使について、「いかなる憲法解釈も、国民の生存や存立を犠牲にするような帰結となってはならない」と述べ、憲法の解釈を変更することで行使を容認することに改めて意欲を示した。
安倍政権のこのような動きに対し、阪田雅裕元内閣法制局長官は「解釈改憲には理がない」と警鐘を鳴らす。
「憲法の解釈を変えるということは、歴代の政権が維持してきた解釈は間違っていたということです。間違っているなら、そのことを国民に対して合理的に説明する責任が生じます。憲法解釈は、日米安保とのかね合いといった外交上の問題から、軽々に変更してよいものではありません」。
日本政府は現在、集団的自衛権に関しては、国際法上は保有しているものの、戦力の不保持を規定した日本国憲法第9条2項とのかね合いから、行使できないとの立場を取っている。この点について阪田氏は「国際法は、権利を規定しているのであって、義務を規定しているのではありません」と説明する。
「国際法が規定する集団的自衛権は、各国に対して許された権利です。したがって、それを行使するかどうかは、各国の国民が判断することになります。日本は現在のところ、日本国憲法をたてることによって、その権利を選択しない、という立場にあるのです」。
話題は他にも、集団的自衛権と集団安全保障の違い、シリアへの軍事介入、敵基地攻撃論など、非常に多岐に渡った。