「この事故を、この被曝を、なかったことにしたいのは、私たちの方です」───。
福島第一原発事故後、家族を連れて静岡に自主避難した長谷川克己さんはこのように話し、過去3年間、原発事故や被曝を矮小化し続けてきた政府の対応を批判した。
(IWJ・ぎぎまき)
「この事故を、この被曝を、なかったことにしたいのは、私たちの方です」───。
福島第一原発事故後、家族を連れて静岡に自主避難した長谷川克己さんはこのように話し、過去3年間、原発事故や被曝を矮小化し続けてきた政府の対応を批判した。
記事目次
■ハイライト
原発事故被害者の救済を求める全国運動は1月28日、約12万人分の請願署名を国会議員に提出した。昨年11月に提出した約8万筆を合わせると、20万人分の署名を集めたことになる。請願の内容はただ一点、「原発事故・子ども被災者支援法」の具体的な施策づくりを進めてほしいというものだ。
「子ども・被災者支援法」は、放射性物質の影響が科学的に十分説明できていないことを前提に、原発事故による被災者が、「避難」「居住」「帰還」のいずれを選択した場合も、それぞれの自己選択権を尊重、支援する理念が掲げられている。
しかし昨年10月、政府は同法の趣旨に反し、被災者の声をほとんど聞かないまま、支援対象地域を福島の一部に限定するなど、被災者の間に新たな分断が生じかねない基本方針案を閣議決定した。
安倍総理は12月20日、早期に帰還する避難者1人当たりに、90万円の支払いを検討すると発表。政府は現在、福島の「復興」の名の下、帰還の加速化を図っている。避難者の帰還をすすめる政府と、避難の権利をうたう「子ども・被災者支援法」の理念は相容れない。全会派一致で成立したこの法律だが、立法趣旨に沿って実現されてこなかった背景がここにある。
しかし、法律は存在している。一日も早く、被災者の声が反映された施策づくりが実現するよう、被災者らは働きかけてきた。署名を提出したこの日の集会でも、全国各地から駆けつけた被災者らは、避難生活の実態を報告した。
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