年明けにも安倍内閣は「エネルギー基本計画」を閣議決定する。基本計画は、前民主党政権がまとめた「2030年代原発ゼロ」を撤回し、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけている。討論型世論調査やパブリックコメントなどが示した「脱原発」の民意は蔑ろにされ、日本は再び「原発回帰」へと舵を切るのか。24日、脱原発を訴えるFoE Japanなどの市民団体が資源エネルギー庁に疑問をぶつけた。
(IWJ・原佑介)
年明けにも安倍内閣は「エネルギー基本計画」を閣議決定する。基本計画は、前民主党政権がまとめた「2030年代原発ゼロ」を撤回し、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけている。討論型世論調査やパブリックコメントなどが示した「脱原発」の民意は蔑ろにされ、日本は再び「原発回帰」へと舵を切るのか。24日、脱原発を訴えるFoE Japanなどの市民団体が資源エネルギー庁に疑問をぶつけた。
■ハイライト
現在、資源エネルギー庁は「エネルギー基本計画」に対するパブコメを募集している。しかし、原発政策に関するパブコメは昨年夏にも募集されており、結果として8割以上の国民が脱原発を望んでいたことが明らかになっている。また、「特定秘密保護法」に寄せられたパブコメも約8割が反対意見だった。にも関わらず、特定秘密保護法は強行採決で成立した。どちらも、国民の意志が反映されたとは到底言えない。
今回募集中のパブコメはどのように反映されるのか。資源エネルギー庁の総合政策課・奥家敏和氏は「エネルギー基本計画への意見公募は行政手続き上、意見募集期間を設けなければならない義務があるものではない」と説明し、「ただし、国民のみなさんから広く意見を募集すべきということでパブコメへかけた」と、国民の意志反映に前向きな姿勢を強調。「エネルギー基本計画の策定に反映する」と断言した。
しかし、政府交渉に参加した福島県在住の佐々木慶子さんは、奥家氏の言葉に対して「神経が逆なでされている」と怒りを露わにした。
「原発事故の現場、現実を知らないのではないか。(閣議前の)閣僚会議も、結論ありきなのではないか。秘密保護法も、9万件のパブコメのほとんどが『とんでもない』という意見だった。採決は数による、非民主的なものだった。国民の意見は反映されていない。では、今回のパブコメで8~9割が『とんでもない』と出したら、エネルギー基本計画案がひっくり返る可能性があるのか? 私たちは何回も騙されているんです!」
奥家氏はパブコメについて「アリバイ作りという気はない」と釈明しつつ、「(パブコメの)数で判断するものかは、専門家から見てどのようなものかによる」といった説明に終始。会場からは「国民の現実をみてください。民意に応えるのが政治ではないのか」といった意見があがった。
現在のエネルギー基本計画が決定された2010年には全国五ヶ所で公聴会を行ったのに、なぜ、今回は公聴会が予定されていないのか。FoE Japanの吉田明子氏の質問に、資源エネ庁は言葉を詰まらせ、「関係閣僚会議で議論いただき、閣議決定につなげていただければ」と回答。
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