安倍総理が訪問するモザンビークで今起きていること 和平合意破棄後の援助、投資のこれからを考える 2013.12.6

記事公開日:2013.12.6取材地: テキスト動画
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(IWJ・安斎さや香、鈴木美優)

 「安倍総理がこのタイミングでモザンビークを訪問することに疑問」――。

 南部アフリカの右上に位置するモザンビーク。近年、日本とモザンビークの関係が近くなっているという。6月1日、サハラ以南アフリカで初めてとなる日本・モザンビーク二国間投資協定が締結された。安部晋三総理は、来年2014年1月にモザンビークを含むアフリカ3カ国を訪問予定。資源が豊富で大規模農業開発などが注目されているアフリカでの市場開拓が目的とされているが、経済投資ブームの中、アフリカで展開する中国企業・資本をけん制する狙いもある。

 モザンビークは、金・銀・銅・ニッケル・プラチナ・マンガン・レアアースなどの鉱物資源や、石炭・天然ガス・チタンなどのエネルギー資源も豊富。GDP成長率は8.4%を誇り、成長率の高い国で世界4位の位置付けとなっている。

 近年では、資源にとどまらず、大規模農業開発も注目され、巨額の海外投資も行なわれているという。しかし、その成長の影では、人権抑圧や治安の悪化、格差の拡大などの問題が懸念されている。

 モザンビークが抱えるあらゆる問題や、海外との関係について、6日、学習会が開かれた。国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗弁護士は、人権の観点から、東京外国語大学の舩田クラーセンさやか氏は、政治的背景や投資・援助との関係などについて、それぞれがモザンビークの現状を伝えた。

記事目次

■ハイライト

  • 報告1 土井香苗氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本 代表、弁護士)
    「モザンビークでの石炭開発及びエチオピアでの援助によるHRWの人権影響調査の実例報告」
  • 報告2 舩田クラーセンさやか氏(東京外国語大学教員、モザンビーク開発を考える市民の会代表)「モザンビークにおける政治暴力の現在と投資・援助」

開発の影で立退きを余儀なくされる住民

 土井弁護士は、モザンビークでの現地聞き取り調査に基づき、住民の食料・水・保健・住居への権利が充分保障されているかどうかについて、人権の観点から報告・提言した。

 モザンビークでは、外国資本による大規模炭鉱開発事業により、1429世帯の住民が立ち退きを余儀なくされた。立ち退いた家庭の多くは自給自足で生活していた農家だったが、立退き先の土地は降水量が少なく、川も遠い、土地も痩せていて農地に適していないなど、生業である農業ができない状況に陥っているという。

 事業を展開している国際企業は、「立退き先が農業に適しておらず、生産性を高めるためには灌漑が必要である」ことを認めているが、未だ目に見えた改善はされておらず、対応は不充分なままである。

 企業側が立ち退いた住民へ、補償をしていかなければならないことは当然だが、「最終的な責任を持つのはモザンビーク政府である」と土井弁護士は指摘。住民の権利を守るための法改正等による対応の必要性や、企業・援助側も「ガバナンスが弱い国では最新の注意を払わなければならない」と提言した。

「不必要な汚れた選挙」

(…会員ページにつづく)

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