大飯原発有識者会合、「活断層か否か」で意見割れるも、大手メディアは「『活断層ではない』で見解一致」と一斉報道 ――規制庁は報道を否定 「メディアの先走り」を疑問視する声も 2013.9.2

記事公開日:2013.9.2取材地: テキスト動画
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(取材・芹沢あんず、記事構成:佐々木隼也)

 「活断層か否か」が注目視されている、大飯原発の重要施設下を通る断層について、規制委員会の島崎委員は9月2日に行われた有識者会合第6回評価会合で、「今回の評価会合で一定の方向性は決まった」と述べた。これを受け、マスコミ各社は「会合で『活断層ではない』という見解で一致」とする記事を一斉に報道。しかし会合では、渡辺満久氏(東洋大教授)をはじめ複数の有識者から、「活断層の可能性を否定できない」とする反論が出るなど意見は割れており、島崎委員も「見解が一致」とは発言していない。

■全編動画

  • 議題 1.大飯発電所敷地内の破砕帯について

 会合では「活断層ではない」と強く主張する関電に対し有識者から、「関電から、『活断層ではない』と証明できる十分な資料はまだ出ていない」との指摘に対し、関電が「そうですね」と回答する場面もあった。しかし、終了時間間際に活断層を疑う意見を述べようとする有識者の一人に対し、島崎委員が「これで終わりにしようと思いますので、もう少し我慢を」と遮るなど、会合は終始「活断層ではない」という方向で進められた。

 島崎委員は、「今回の会合で認識の共有化がはかれたと思っていますので、一定の方向性が出たと思います」と締めくくり、会合は終了した。

「見解が一致」はマスコミの先走り報道

 マスコミ各社の「見解は一致した」とする報道について、規制庁担当者はIWJの取材に対し、「島崎委員は『一致した』とは言っていない。『一定の方向性が出た』という島崎委員の発言を受けてそう報道したのではないか」と回答している。

 本会合を傍聴していた、フクロウの会代表の阪上武氏も、「有識者の見解は一致していない。島崎委員も『一定』の中身については明言していない」と回答。「評価会合の流れ的に、活断層ではないという色合いが強かったので、大手メディアも先走る報道をしたのではないか」と分析。評価会合の流れが「活断層ではない」という方向で進んだ点については、「島崎委員の姿勢が当初から大きく変化している」と指摘する。

 島崎委員はこれまで関電に対し「300メートルを掘って『F-6破砕帯』を捕まえてくれ」と指示を出していた。しかし関電は、いまだに70メートルしか掘っていないにも関わらず、「活動性はない」と主張している。阪上氏は「有識者は、第5回の評価会合で『F-6破砕帯を取り逃がしましたね』と指摘し、本会合(第6回)でも『関電のボウリングデータだけでは取り逃がしている可能性がある』と指摘しているが、島崎委員の姿勢が当初から大きく後退したため、300メートル掘る必要性の議論には至らない」と語る。

 次回(第7回)の評価会合では、規制委が評価案を提出し、それを元に改めて議論の場が設けられる予定だ。

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