2023年4月13日、東京電力福島第一原発から発生する放射能汚染水の海洋放出への抗議行動「グローバルアクション4.13 東京スタンディング」が、国会議事堂に臨む衆議院第二議員会館前で行われた。
この抗議行動は、2021年4月13日に政府が「2年程度後」の海洋放出を決定したことに因み、世界各地で開催され、東京スタンディングでは約120人(主催者発表)が参加した。主催は、さようなら原発1000万人アクション。
なお現場には、香港のテレビ局等、海外メディアも取材に駆け付け、この問題に対する海外からの関心の高さがうかがえた。
政府と東電は2015年、福島県漁連に「関係者の理解なしには、いかなる処分(海洋放出)も行わない」と約束していた。ところが、政府は2023年1月13日、海洋放出は「2023年春から夏頃を見込む」と関係閣僚会議で改めて決定。この時、全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長は「海洋放出に反対であることはいささかも変わらない」と反対を表明した。
- 原発処理水の海洋放出は「今年春から夏」と政府が決定 漁業者側と交わした約束はどうなったのか(東京新聞、2023年1月13日)
「東京スタンディング」では、以下の15組にも上る団体または個人の方々が登壇し、様々な立場から海洋放出反対を訴えた。
さようなら原発1000万人アクション事務局、これ以上海を汚すな! 市民会議(いわき市)、福島から避難している方々、元原子力資料情報室スタッフ、小金井市議の片山かおる氏、日本山妙法寺僧侶の武田隆雄氏、カトリック正義と平和事務局、ふぇみん婦人民主クラブ、放射能汚染水を海に流すな! 北区の会、グリーンピース・ジャパン、原水禁(原水爆禁止日本国民会議)、FoE Japan、全労協(全国労働組合連絡協議会)、原子力資料情報室。
これ以上海を汚すな! 市民会議の米山努氏は、「汚染水に含まれるトリチウムが非常に問題だ。以前、福島の原発から排出していたのは年間2兆ベクレルだが、今回22兆ベクレルになり、明らかに基準以上だ。海水で薄めればよいという、普通では考えられない理屈で海に流そうとしている」と指摘した。
福島県富岡町から避難したフルカワ氏は、「東電や国は『海洋放出はほかの国でもやっている』というが、ほかがやってれば、やってもいいのか? 良くないことだったら、ほかがやってても、やっちゃいけないんじゃないか? 日本はどうしてそれを率先してできないのか?」と、自律的な倫理基準に則ることを訴えた。
元原子力資料情報室の澤井正子氏は「東京電力は様々な嘘をついている」と非難し、次のように訴えた。
「タンクに貯められたALPS(多核種除去設備)処理水のうち、放射性物質の濃度が『東電の基準』さえ上回るものが70%以上もある。東電は、もう一回ALPSを通して低くするというが、保証はない。これまで、ALPSを通したら、入れた時より高くなったことが度々ある。東電がフィルターを取り換えなかったためだ。そんな電力会社は地元に信用されていない。それが問題の根幹にある」
グリーンピースジャパンの片岡遼平氏は「政府は漁業者への補償として、基金をつくって漁業補償したり、水揚げした魚を冷凍して買い上げる話も出ている。しかし福島の漁業者に話を聞くと、金の問題ではなく、いかに新鮮な魚をとって食卓に届けるかが生きがいであり、漁業という日本の文化を子孫に継承することが重要だ。それが海洋放出で不可能になる」と訴えた。
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