2022年9月8日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、立憲民主党の旧統一教会被害対策本部による、旧統一教会被害対策に関する、九州大学大学院法学研究院の南野森(みなみの しげる)教授(憲法学)へのヒアリングが行われた。
南野教授は初めに、「統一教会に関しては、信教の自由もあるし、どう批判すればいいか、線引きの問題等で、メディアも政治家も腰が引けていたのではないか」と語った。
その上で「信教の自由と言っても無制約ではない。他の自由、例えば表現の自由は猥褻表現はダメだし、名誉棄損もダメ、プライバシーもダメと、みんな分かっている。なぜ信教の自由が、隠れ蓑として、非常に力を持っているのか」と指摘した。
さらに南野教授は「統一教会は、名称変更の前が特にそうだったろうが、きわめて悪質な、詐欺的行為を繰り返してきた。数々、裁判所によっても認定されている。ここまで違法行為・不法行為が認定されている宗教団体はないので、やはり他の宗教団体とは異質、違うと考えるべき」と述べた。
こうした観点を踏まえ、南野教授は「宗教法人法の解散も検討するべき」と提案している。
南野教授は、宗教法人法の解散命令に関しては、事例がオウム真理教や明覚寺と極めて数少なく、どういう条件で解散命令できるかわからないことや、信教の自由や、結社の自由、表現の自由を侵害する恐れからも、難しいと考えられてきたのではないかという。
また他方で、立憲民主党や他党が検討しているカルト規制法の立法に関しては、南野教授自身は「難しい」と考えているという。フランスのカルト規制法のような、宗教団体以外の経済団体なども含めた、広範囲なカルト規制の新立法を目指した場合、「精緻な基準や、乱用の危険性を防ぐ必要など、かなり大変だろう」と語った。
やはりその前に、現行の「宗教法人法上の解散の基準」について検討してはどうか、と南野教授は言う。元文科事務次官の前川喜平氏が、文化庁在職時に国会答弁した、「刑事の確定判決がないと解散請求しない」という回答は、「しかし法律には書いていないことであり、法律を行政がそういうふうに読んでいるということだが、そういう読み方のままでいいのか?」と指摘した。
また、「解散」がショッキングすぎる、ドラスティックすぎるということなら、「宗教法人の免税特権の見直し」など、「現行の法制度を、統一教会問題を念頭に修正するやり方」のほうが、「何でも対応できる新法を作るより、手間暇がかからないのではないか」と提案した。
質疑応答では、米山隆一衆議院議員、西村智奈美衆議院議員(立憲民主党 旧統一教会被害対策本部長)、篠原孝衆議院議員が質問した。
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