東電刑事裁判の控訴審をめぐり、福島原発刑事訴訟支援団は2022年4月5日、「東京高裁は被害者の声を聞け! 長期評価の信頼性を認め有罪判決を!」と題した活動の一環として、東京高裁に福島原発告訴団弁護団による意見書を提出し、その後、午後1時30分より、東京・司法記者クラブで記者会見を行った。
- 福島原発告訴団弁護団意見書(福島原発刑事訴訟支援団、2022年04月5日)
2019年9月19日、東京地裁は、福島第一原子力発電所の事故について、「巨大津波への対策を怠り、44人を死亡させた」として、業務上過失致死傷罪で起訴されていた東電の旧経営陣3人(勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、および武藤栄元副社長)に無罪判決を言い渡した。
その後の控訴審は、2021年11月2日に第1回公判、2022年2月9日に第2回公判が行われた。
第3回の公判は、6月6日に開廷予定であり、そこで結審となる予定だ。
十分な現場検証も行われないまま、6月6日の第3回公判で結審を目論む東京高裁の姿勢に対し、弁護団は、千葉避難者訴訟の東京高裁判決が認めた長期評価の信頼性と、原発事故の過酷な被害の事実認定の読み込みと公正な判断を求めた、約370ページに及ぶ渾身の意見書を提出した。
なぜ、このような意見書を提出したのか?──その理由について、告訴人代理弁護団の海渡雄一弁護士は、次のように説明した。
「刑事裁判にて取り調べた証拠にもとづいて、どういうことが認定できるか? ということについて書いた部分が(全体の)7~8割です。(中略)我々の『証拠理解』というものを、かなり詳細に展開しました。
ただ、我々としては、裁判所が見ようとしなかったこと、裁判所が取り調べなかったこと、東京地裁での証人尋問でどういう証言がなされたのか、そういうことも全部書きました。
証拠法則的には禁じ手かもしれませんが、この事件というのはやはり、日本の近代史の中でも最大級の公害事故で、大変な被害をもたらした。
その真相を究明することが、裁判所にとって非常に大きな任務になっていて、そして、指定弁護士が要求した証拠調べを行わなかったことによって、裁判所は、どのような事実を見過ごしたのか、ちゃんと認識して欲しい」。
また、福島原発告訴団副団長の佐藤和良氏は、「被災者・被害者としては、最後の最後まであきらめず、逆転判決を求めていきたい」と語った。
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