2020年7月24日、岩上安身はジャーナリスト・青木美希氏にインタビューを行なった。
青木氏は北海道新聞記者から2010年に朝日新聞に入社し、社会部で原発事故検証企画『プロメテウスの罠』に参加。「手抜き除染」報道で新聞協会賞を受賞するなど活躍し、2020年4月に記事審査室に異動となった。
「心の準備ができてなくて、東日本大震災の避難者支援打ち切りについて書こうと思っていた矢先で、戸惑いました」と心境を語る青木氏は、異動後も自腹を切って休日に被災地を訪れて被災者・避難者に寄り添う取材を続け、つい先日の7月12~14日にも南相馬市、浪江町、大熊町を訪れている。
今回のインタビューでは、青木氏が被災地で行った現地取材の映像や写真をご覧いただきながら、被災地の「今」について、話をうかがった。インタビューは2回にわけて行なわれ、初回となる今回は、事故を起こした福島第一原発の「汚染水海洋放出」の話題を中心として話をうかがった。
福島第一原発の敷地内でたまり続ける放射能汚染水は、トリチウム以外の核種を取り除いた「トリチウム水」(ALPS処理水)として敷地内のタンクに貯蔵されている。経産省や東電はこの汚染水が2022年夏に満杯になるとして、希釈して海に流す「海洋放出」を検討している。
しかし6月9日、国連のトゥンジャク特別報告者(有害廃棄物担当)はタンク容量について「まだ余裕があり(放出を巡る)結論を急ぐ必要はない」と表明。
青木氏も「市民団体を含め、もっと保管場所があるのではないかと異論が出されています」と明らかにし、貯蔵のための土地の提供を申し出る方がいることなど、当事者の声を伝えた。
- 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する書面での意見募集について(経済産業省資源エネルギー庁)
また、青木氏は、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)理事の柳内(やない)孝之氏と、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の委員を務めた福島大学教授の小山良太氏に取材を行っており、インタビュー内でその様子を動画でご覧いただける。