2020年7月17日(金)午後5時30分より、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎第8号館・会見室にて、内閣府 西村康稔 新型コロナ担当大臣(全世代型社会保障改革担当大臣)の定例記者会見が行なわれた。
冒頭、西村大臣より、会見に先立って行われた第11回経済財政諮問会議と第41回未来投資会議の内容について、以下のような報告があった。
「このたびは合同会議を開催し、『骨太方針2020』と『成長戦略実行計画』をとりまとめた。この後の持ち回りの臨時閣議にて、この二つを閣議決定する予定である。『骨太方針2020』には副題がついており、『~危機の克服、そして新しい未来~』となっている。まさにコロナ感染症を経験し、また今回の豪雨災害を経験し、この危機を克服し、新しい未来、『新たな日常』を構築していくことが大きなテーマである。
また、残念ながら、今、コロナ前の『昔の日常』に戻りつつある。昔のように会食・飲み会をすれば感染が拡大する。拡大防止と経済社会活動の両立には『新たな日常』の実現が必要だ」
続いて、質疑応答が行われた。IWJ記者は次のように質問した。
「新型コロナウイルス感染症に対する今後の対応策について質問です。
昨日(16日)、国会・参院予算委閉会中審査において、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が、新型コロナウイルスの感染拡大について強い危機感を示され、『総力で対策を打たなければ、来週は大変になる。来月は目を覆うようなことになる』と発言されました。また、児玉教授は、クラスターとエピセンターの違いを説明した上で、『第一、第二の波の時にこれを制圧して無症状の感染者もなくすべきであった、しかしそれが行われないままに実際に東京の中に今、エピセンターが形成されつつある』とも指摘され、『責任者を明確にしてトップダウンで前向きの対応が必要。今すぐ国会を開くべき、今する対応は来週する対応の百倍の価値がある』と提言されました。
この児玉教授の提言は非常に切迫したものであったという印象を受けますが、大臣の今後の対応に関するシナリオと言うか、お考えをお聞かせ下さい」
これに対し、西村大臣は、「今の感染状況に対して、あるいは今後の感染がどのように広がっていくかについては様々な見方がある」とし、「極端な楽観論はないが、当然、誰にもわからない。神のみぞ知るという部分がある。児玉先生がそうした見方を披露され、少なくとも私も危機感は共有しているし、新宿を中心とし、バー・クラブなど接待を伴う飲食業などリスクの高い業種については、その対策を強化していかなければならない」と述べた。
さらに「PCR検査をどの範囲でやっていくのかについても、昨日も議論をしていただいた。そして、厚労省から新たに確認のための通知も示されたと承知をしている。無症状であっても、リスクの高い業種・人・場所、つまり感染者が出た場所の業態であったり、あるいは濃厚接触者、かつては濃厚接触者も症状のある人しかPCR検査をしてなかったが、今は無症状の人にもPCR検査を行っている」と現状を説明した。
西村大臣の答弁は、昨日の参院予算委閉会中審査において、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が示した新型コロナウイルスの感染拡大に対する「強い危機感」が共有されているとはとても思えない内容であった。