パレスチナ人の命と引き換えに開発した武器・セキュリティ機器を売り込むイスラエル!「死の商人の取引に、川崎市は手を貸すのか!」~イスラエル軍事見本市に350人の市民が8.29大抗議! 2018.8.29

記事公開日:2018.8.30取材地: テキスト動画
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(取材・文:上杉英世)

特集 中東
※2018年10月6日、テキストを追加しました。

 8月29日、午前11時30分より、川崎市の「とどろきアリーナ」入り口で、「イスラエル軍事見本市をやめろ!大抗議行動」が行われた。

 8月29日と30日の二日間に渡って「ISDEF JAPAN」(イスラエル防衛&国土安全保障エキスポ)が、同会場で開催されることに対しては、川崎市に対して公開質問状や4600名にのぼる署名を提出、シンポジウムを開催するなど、多くの市民が様々な取り組みをおこなってきた。この日は「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」の呼びかけで、約350人の市民が集まった。

 「武器輸出反対!ネットワーク」の杉原浩司氏は、冒頭で、イスラエルが、3月30日から始まったパレスチナ人の非武装デモに対して銃撃で応え、現在までに170人以上の人々が殺され、18,000人以上が重軽傷を負っていること、そしてパレスチナ人の土地を強奪して「入植地」という占領地を拡大してきた、イスラエルの侵略的な歴史に触れた。

 パレスチナ人への占領と抑圧、監視によって、その技術を鍛え、開発を進めてきたイスラエル企業が、2020年の東京オリンピックを絶好の商機ととらえ、テロ対策の名のもとに日本で武器を売り込もうとしていることに、強い怒りを表明した。

 また杉原氏は、定例記者会見の場で「武器が持ち込まれないので、何ら問題はない」と発言した福田紀彦川崎市長に対し、「イスラエルは、この監視カメラによってパレスチナの人々を監視し、殺傷してきた。そういう事実に、まったく想像力が及ばないのか」と、厳しく批判した。

 そして、核兵器廃絶平和都市をかかげ、多文化共生をかかげているにもかかわらず、今回「とどろきアリーナ」の会場使用を許可した川崎市に対しても、強く抗議した。

 この日の抗議行動には、11時半から午後1時半までの2時間に渡って、のべ350名の市民が参加した。

 地元の川崎市から参加した男性は「軍事見本市があると聞いて、1人でもスタンディングしないと地元の人間として恥ずかしい、と思って来た。本当に、地元の人間は何も知りません。というより、誰も想像もできないんです。子どもたちのスポーツ大会とかでみんなが遊びに来る、こんなところで、よもや軍事見本市をやることはないだろうと、みんな安心しきってます」と、参加した動機を述べた。

 続いて、その男性は「ただ残念なことに川崎は、すでに軍需都市です。銃だの戦車だけが武器なのではない。地対空ミサイルとかのバックを支えるシステムそのものが、いちばん大きな武器なんです。それを、川崎にある富士通、東芝、そういった大企業が開発してるんです」と、軍需産業に組み込まれた地元の現実にも触れた。

▲ピンクウォッシングへの警戒を呼びかける男性

 来日して一年になるという米国男性は、イスラエルが、中東諸国でのLGBTへの弾圧を強調しつつ「イスラエルが自由でLGBTフレンドリーな国である」ことを国際的にアピールする国家的イメージ戦略である、「ピンクウォッシング」への警戒を呼びかけた。イスラエルがLGBTに対して寛容な国であるというふうに売り出す事が、パレスチナ人への抑圧を隠蔽することになっているとして、「虐殺を、レインボウ・フラッグで隠すことはできない!」と、声に力を込めた。

 「平和への結集をめざす市民の会」の太田光征氏は、2016年のミャンマーでのロヒンギャ族虐殺の際に、ミャンマー軍に軍事訓練サービスを提供していたイスラエルのTAR社が、この軍事見本市に参加していると報告した。

▲TAR社が会場内で配布していた武器カタログ

 太田氏によると、1980年代にニカラグアの革命政権を打倒することを目的とした反政府組織・コントラや、ホンジュラスの暗殺部隊への軍事訓練をしたISDS(インターナショナル セキュリティー ディフェンス・システムズ)という会社も、今回の軍事見本市に出展している。ちなみにISDSは、2016年のブラジル五輪の時には、過去の戦争犯罪への加担を理由に、ブラジル政府からはセキュリティー契約が取り消されている。太田氏は、「出展企業について何のチェックもせずに、開催を許可したのか?」と、川崎市長の判断間違いを厳しく批判した。

 そして午後1時ごろ、武器見本市に参加した市民により、TAR社が自社のブースで銃器のカタログを配布していることが報告された。抗議参加者からは「川崎市は約束違反じゃないか!」「川崎市職員は、すぐに、TAR社のカタログを撤去させろ!」と、激しい怒りの声があがった。

 なお後日、IWJは太田光征氏に電話取材した。太田氏によると、29日の抗議行動終了後、参加者有志が川崎市に抗議した結果、TAR社は銃器カタログを撤去したとのことである。

■ハイライト

  • 日時 2018年8月29日(水)11:30〜13:30
  • 場所 とどろきアリーナ入り口前 レンガ広場(神奈川県川崎市)
  • 主催川崎での軍事エキスポに反対する会(詳細 pdf)

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    パレスチナ人の命と引き換えに開発した武器・セキュリティ機器を売り込むイスラエル!「死の商人の取引に、川崎市は手を貸すのか!」 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/430395 … @iwakamiyasumi
    ほとんどの国民が知らされないまま日本は官民一体となって死の商人国家へと突き進もうとしている。報じてくれたIWJに感謝。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1035130697021681664

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