安倍晋三総理が2018年7月13日に愛媛を視察する予定との情報があったので、IWJ記者は急遽被害の大きかった愛媛県大洲市に向かった。
松山から宇和島方面に抜ける国道56号線を南下すること1時間半、大洲町に入ると、道の両側に並ぶ各店舗の駐車場に、山積みにされた泥まみれの商品や家具が目立ち始めた。
(取材・文:上杉英世)
安倍晋三総理が2018年7月13日に愛媛を視察する予定との情報があったので、IWJ記者は急遽被害の大きかった愛媛県大洲市に向かった。
松山から宇和島方面に抜ける国道56号線を南下すること1時間半、大洲町に入ると、道の両側に並ぶ各店舗の駐車場に、山積みにされた泥まみれの商品や家具が目立ち始めた。
■ハイライト
その日の朝、大洲町役場の避難所担当者に電話をして、安倍総理が来るのではないかと見当をつけていた避難所の平公民館に向かった。大勢の自衛隊員が駐車場への誘導をしていた。そして午後1時半ごろ、大型バス2台が到着し、その中の一台から安倍総理本人が降りてきた。もう一台のバスは記者クラブのマスコミ専用だった。IWJ記者のほかにも何人かのフリー記者やカメラマンが自力で現場に来ていたが、内閣府の担当者から「代表取材しか許可していません」と言われ、やむなく外で待った。
15分ほど経った頃、安倍総理は避難所から出てきた。自衛隊員や給水車の関係者らにねぎらいの言葉をかけ終わったタイミングを見計らって、IWJ記者は総理に質問をぶつけた。「総理!自然災害を口実にして緊急事態条項を導入されようとしていますが…」と声をかけた瞬間、内閣府職員と地元の警察官に、力づくで制止された。安倍総理は一瞬こちらを見たが、答えることなくバスの中に消えた。
一緒に出待ちをしていた愛媛の記者から、安倍総理一行が次に向かうのは宇和島の吉田公民館だと聞いたので、ただちに宇和島へと移動した。避難所となっている吉田公民館にIWJ記者が遅れて着いた時には、お付きのプレスをぞろぞろ従えた安倍総理が、宇和島市役所の関係者と思われる人から何か説明を受けているところだった。カメラを向けて近づこうとしたが、3人の警察に「これ以上近づかないで下さい」と強硬に止められた。
総理御一行が去った後の、吉田町を少し歩いた。日が暮れる前だったが、至る所で、自宅や店舗から泥をかき出す作業が続いていた。かなりの泥が取り除かれたとのことだが、それでも、車が通るたびに路面の乾いた泥が巻き上げられていた。道路近くの空気の悪さも、深刻なのではないかと考えられる。今日も1日愛媛に残り、被災現場に可能な限り近づいて、いろいろな人の声を聞く予定だ。