衆院補選の結果は「野党候補一本化の効果はあった」!?~「戦犯」民進党・野田佳彦幹事長の呆れた見解!野党合同街宣に候補者が参加しなかったことは「決めたのは地元の陣営」と責任転嫁! 2016.10.24

記事公開日:2016.10.25取材地: テキスト動画
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(取材・文:安道幹)

 「野党の候補を一本化したという効果はあったと思います」――。

 10月24日、国会内で民進党・野田佳彦幹事長による定例の記者会見が行なわれた。野田幹事長は会見の冒頭、自民党に大敗を喫した東京10区と福岡6区の衆院補選(23日投開票)について、「結果は厳粛に受け止めなければいけない」としながらも野党による調整の「効果」は「あった」とのにわかには理解しがたい見方を示した。

 野党共闘と距離を置きたい民進党は、今回の補選で野党3党からの推薦をあえて受けつけず、民進党単独の候補者を立てるという意味での「一本化」にこだわった。その結果が、完膚なきまでの負け戦だったのである。これで「効果あり」とはいったいどういう理解の仕方をしたらそうなるのか!?

 以下、記者会見の模様を掲載する。

▲民進党・野田佳彦幹事長

▲民進党・野田佳彦幹事長

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2016年10月24日(月) 15:00~
  • 場所 衆議院内(東京都千代田区)

東京10区で、野田流「一本化」の効果はあったのか?

 今回東京10区の補選では、自公推薦の若狭勝氏が7万5千票を得て当選した。対する民進党候補者・鈴木庸介氏は4万7千票しか獲得できていない。

 これに関してIWJが、「他の野党の推薦を受けず、民進党の独自候補で、民進党の推薦1本のみで闘った今回の補選で、民進党の得票数が伸びたと考えるか?」と問うと、野田幹事長は次のように答えた。

 「わかりません。野党の候補を『一本化』したという効果はあったと思います。それは協定も結ばない、推薦もいただかないという、シンプルなかたちでの一本化でしたが。その上で、『できるかぎりの協力』というものを、もっと改善する余地があるのかどうかは今後検討させていただきたいと思います」

 東京10区については、前回の衆院選では自公推薦の小池百合子氏が9万3千票を獲得して勝利している。民進党候補者が4万4千票、共産党候補者が2万8千票、生活の党(当時)の候補者が9千6百票だった。つまり、単純に野党の獲得票を足し算するだけでも、8万2千票程にはなる計算だ。「野党共闘」が成立していれば、この数字に限りなく近づけたはずである

 今回の東京10区の補選では、投票率が前回よりも18.7%も低下してしまったとはいえ、野党「一本化」候補の得票数が4万7千票と、前回の野党の獲得票数の合計の半分強にとどまったのは、いくら何でも低過ぎると言わざるをえない。

 野田幹事長は「候補を一本化したという効果はあった」と言うが、むしろ、本来、野党共闘で獲得しうる票を大幅に減らしてしまったのが今回の野田流「一本化」の結果ではないだろうか。

「(4党共同でマイクを持つような場面に)出るか出ないかは、それぞれの陣営の判断。判断をしていいよ、という指示はした」

 投開票3日前の10月20日、東京・池袋では、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ副党首、自由党の山本太郎共同代表、そして民進党の安住淳代表代行など、そうそうたるメンバーが集まり、東京10区で出馬した民進党・鈴木庸介候補を応援する合同街宣を実施した。

 だが、応援されている当の鈴木候補本人は、その場についに姿を見せなかった。この不可解な「事件」については、「野党共闘」に消極的な民進党執行部の意向と、「野党共闘」にはっきりと否定的な民進党最大の支持母体「連合」の意向が反映したとみられている。

 会見に出席したフリージャーナリストの横田一氏はこれについて、「候補者本人が不在になったのは、執行部の方からも指示があったというふうに関係者から聞いているが。あくまで(候補者)独自の判断だったのか?」と質問した。

 さらに、「これは野党共闘に水を指すと。せっかく4野党幹部がそろっているのに、候補者本人が不在だとしらけてしまう。新潟知事選の野党共闘の勢いを引き継ぐのであれば、東京都連が消極的でも、野田幹事長や、執行部がリーダーシップを取って参加するべきだとなぜ言わなかったのか?」とも重ねた。

 野田幹事長は、「(4党共同でマイクを持つような場面に)出るか出ないかは、それぞれの陣営の判断です。判断をしていいよ、という指示はしています。出るか出ないか。それを決めたのは地元の陣営だと思います」と述べ、執行部の関与は否定。あくまで鈴木候補陣営の判断だったと強調した。

 野田幹事長の弁明は本当に「正しい」のだろうか。

 連合東京の小林昭浩政治局長はIWJの取材に対し、鈴木候補に対して「野党共闘」しないよう圧力をかけたことを認めている。他の3野党が合同街宣を開催し、「野党共闘」を演出したことに連合は反発。小林氏は民進党に対し、「結局は野党共闘になっている。だから『ちょっと(応援を)控えるぞ』と伝えた」と証言し、「野党共闘」を期待する声が高まることを強く警戒し、鈴木陣営に「圧力」をかけて、連合東京の応援を手控えたことを認めたのである。

 こうした背景を踏まえると、野田幹事長の主張通り、民進党執行部が候補者陣営に純粋なるフリーハンドを与えていたとは、到底、考えられない。

 仮にそうだとしても、連合からの圧力は党執行部の耳に入っていただろう。その時に候補者陣営に「あなた方の判断だ」などと突き放したとしたら、それはそれで、何のための執行部なのか、という話になる。執行部は「判断保留」して責任を回避、現場に責任を押し付けるなら、そんな執行部など必要ないのではないか。

(…会員ページにつづく)

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