【IWJ検証レポート】「米山氏の出馬はしっかり抑えてほしいと民進党新潟県連には申し入れた」〜連合新潟事務局長に直撃取材!民進党と連合の間で何が!?今、明かされる「本音」!! 2016.10.17

記事公開日:2016.10.19取材地: テキスト独自
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(取材・文 安道幹、記事構成 岩上安身)

※公共性に鑑み、2016年10月22日まで全編特別公開しました。

 新潟知事選において、自公推薦候補の森民夫氏を「支持」した連合新潟。「自主投票」を決めた民進党と共に、今回の知事選で野党共闘の足並みを乱した「戦犯」として、厳しい批判の目が向けられている。

 しかし実は、連合新潟は、泉田裕彦新潟県知事(24日に任期満了)の出馬撤回後に民進党が独自候補を擁立すれば支援を検討する意向だったという。にもかかわらず、民進党県連が告示の約半月前の9月13日に独自候補の擁立を断念したことで、連合新潟は翌14日に、森氏の支持を決めたというのだ。当事者である連合新潟の幹部が、IWJの取材に対し、経緯をつまびらかに語った。

 選挙では、自主投票だったはずの民進党の国会議員が次々と米山氏の応援に駆けつけ、投開票の直前の14日には、民進党代表の蓮舫氏までが新潟入りし、米山候補の応援演説に立った。つまり今回の知事選では、結果的に、民進党と連合が分かれてそれぞれの候補者を応援した格好となる。

 なぜこんな不可解な事態に至ったのか?

 IWJは投開票日の翌17日、新潟連合の事務局長・牧野茂夫氏へインタビューを行い、その真相に迫った。

 牧野氏はインタビューの中で、森候補を支持した理由について「原発政策だけがファクターではない」と指摘。実際に、民進党が原発再稼働の反対を明言している米山氏を擁立しても、連合としては「調整する余地は十分にあった」と明かした。

 インタビューでは、今回の選挙戦を振り返りつつ、候補者選定の段階で、民進党県連と連合新潟の間でどのようなやり取りがあったのか、そして、連合新潟の構成組織のうち、実際にはどの程度が森氏支持に回ったのかなど、誰もが気にしている問題について、率直に語っていただいた。インタビューは、民進党や連合の原発政策に強い影響力を持つと言われる電力総連(東電など電力会社の社員の労働組合)についても話が及んでいる。

 以下、インタビューの内容を掲載する。

▲連合新潟事務局長 牧野茂夫氏

▲連合新潟事務局長 牧野茂夫氏

記事目次

民進党が連合に気兼ねして自主投票にしたという論調は「違います」と断言!

――まず、今回の知事選では、連合新潟が森氏を支持したことで、民進党がその連合に配慮するかたちで自主投票を決めたのだと思っている方が多いと思います。つまり、野党共闘の足並みを乱した「戦犯」として、連合に厳しい目が向けられているわけですが、これについてはどうお考えですか?

牧野氏「世間では『連合が与党候補を支持したから、民進党は連合に気兼ねをして自主投票にした』という論調で言われていますけど、これはうちの見解とは違います。

 8月30日に泉田さんが撤退したことによって、それまでは泉田氏、森氏両方から連合の方に推薦要請がありました。その段階で、どちらをどうしますかという話に入るために、各構成組織に、意見を書面でいただくようにしていたんですが、その途中で、突如、泉田さんが撤退し、候補者が森さん一人になった。

 それで、8月31日以降、民進党の黒岩(宇洋・たかひろ)県連代表が、候補擁立に向けてしっかりやっていく、ということで表明したものですから、連合新潟としては『それを待ちましょう』となりました。9月14日にうちでも幹事会がありますので、『それまでには(候補者の決定を)お願いしますね』と再三伝えていました。

原発問題に特化した候補では、連合新潟としては応援できないと、幹事会で話した

 民進党県連さんは、党本部を通じていろいろやられていたと思うんですが、県連さんが9月13日に緊急の対策会議を開かれて、候補擁立断念と、森民夫さんの推薦見送りを決定した。それは内々に、連合新潟の会長の方にも連絡がありました。

 そういうなかで、連合としては14日の幹事会の中で、民進党さんが候補擁立を断念したことになると、連合として他の候補となった場合、やはり各野党さん、市民団体さんが推す候補は、どうしたって原発問題に特化した候補しか上がってこないですし、民進党も関わらないわけですから…となると、連合としてはエネルギー政策の方針がありますから、『連合新潟はその方(野党候補)は応援できないね』と幹事会の中で話しました。

 それで、森さんについては長岡市長の17年の経験と、うちにある長岡の中越地協でも、労働問題とか、寄り添い型の支援のパーソナルサポート事業、ライフサポートセンター事業など、いろいろ連携していましたから。なので、その時点では候補が他に上がっていないわけですから、『森さん支持でいこう』ということになったんです。

連合新潟から民進党県連の念押し「自主投票を組織としてきっちりしてほしい。野党共闘から米山氏にオファーがあるらしいが、その動きは抑えてほしい」

 その後、民進党さんが常任幹事会で自主投票を決めたと。自主投票を決めたときに、連休明けの20日に民進党県連の幹事長と代表がきまして、(新潟連合の)斉藤(敏明)会長に報告があった。

 会長の方から民進党の県連代表に申したのは、県連で自主投票を決めたのであれば、1つは、その方針は組織としてきっちりとやってほしい。2つ目は、連休中にどうも野党共闘で米山氏にオファーがあるようだと、そういう話がくすぶり出ているので、それは党の責任としてしっかりと抑えてほしい、と。3つ目は、民進党の県連としても、いろんな政党・団体と、公式な場でなくてもいいんだけど、窓口は広げてやっていかなくちゃいけないよね、という話をやりました。しかし、23日に米山さんの出馬会見があった、と」

 「自主投票」の方針なのに、組織としてきっちりやってくれ、というのは矛盾した話に聞こえる。さらに、野党共闘(民進党をのぞく)が米山氏に対してオファーがあるので、しっかり抑えてくれ、とも証言している。これは連合新潟として、米山氏の出馬を民進党に封じ込めよと迫ったことを当事者として認める重要な証言である。

狂った目算~「米山さんが出たことで、森候補は『与党の候補』という構図になってしまった」

――民進党を離党されての出馬でしたね。

牧野氏「23日までに民進党さんとやりとりがあったんでしょう。それで、連合新潟としては、あそこまで申し入れをして、何もしてないじゃないかと。結果的には、連合が与党の候補を――まぁ当初は与党の候補ではなかったんですけども――たまたま構図的に完全にそうなっちゃったというか。米山さんが出ることで、どうしたって原発に特化してやっていくものですから、どうしたってそうなります。

 最初は森さんの方も、もともと県民党(特定の政党に属さず県民目線で、の意味)でいきたいという話があって、連合としても『推薦』ではなく、一歩低い『支持』という形で応援させてもらうことを決めたんです」

連合としては自主投票という選択もあった! しかし結果としては森氏支持へ~原発問題に特化した候補は推薦できない連合

――連合新潟としては、民進党からの候補者を待っていた、と。しかし民進党が候補者の擁立を断念した、ということですね。

牧野氏「民進党は米山さんを候補として出せたわけじゃないですか。問題は、どうしてそこに至らなかったのかということなんですよ。

 候補擁立断念ということであれば、他の野党が、原発問題に特化した候補者を出しても、うちが推薦できないわけですから。そこで、連合としては自主投票という選択もあったわけだけれども、それまでの関係も含めて(森氏支持に回った)」

森候補の風向きが変わったのは「安倍総理から推薦された写真がマスコミに出たとき」~自民党色を表に出してほしくなかった連合新潟

牧野氏「実は、その時点では構図が違うんです。森さんは県民党で行くと言われたけど、実際、米山さんが出られた後、安倍総理から推薦を直に受け取った写真とかがマスコミに全部出ましたよね。ああなると自民党候補の色が強くなって、与野党対決の構図が強まりますよね」

――安倍総理が出てくると連合も推しにくくなりますよね。

牧野氏「そうなんです。だから最初の話とちがう。森さんの事務所の方にも言ったんですが、自民党が、あまり表に出ないでほしいというのはありました。森さんだって、原発をすぐに動かすなんて言っていませんが、その裏に自民がいて、安倍さんが出てきたら・・・」

――うさん臭くなっちゃった、と?

牧野氏「もう、そこですよ。そこでだいぶ変わっちゃったかなと思いますよね」

▲連合新潟の事務局本部

▲連合新潟の事務局本部

驚きの証言!「民進党が米山さんを推薦するなら調整する余地は十分にあった」

――もし民進党が、泉田さんの後の候補として米山さんを出していたら、連合として支持する可能性もあったということですか?

牧野氏「それは格好とすれば、民進党基軸というのは今までもやってきたわけですよ。だから会長はたぶん、民進党から候補者を出すんであれば、主導権を取るのは民進党になるわけですから、政策についても、そんなに原発に特化するということではなくて、いろいろ話はできたと思います。

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