新潟県知事選いよいよ最終盤!「背広」から「普段着」の政治へ!市民政治家に変貌した米山隆一候補は森氏を追い抜けるか!? ――民進党県議が苦言「自主投票は黒岩代表の保身のため」 2016.10.11

記事公開日:2016.10.14取材地: テキスト動画独自
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(取材・文:ぎぎまき 記事構成:岩上安身)

 「今回の選挙で“NEW”米山が誕生しました。業界の支持ではなく、普通の市民の民意を得ることを、米山さんは初めて体験したのだと思います」

 10月16日投開票の新潟県知事選も、残り2日となった。民進党から梯子を外され、劣勢とささやかれていた米山隆一候補が選挙戦終盤、自公推薦の森民夫・前長岡市長を「猛追」していると地元各紙が報じ始めた。野党共闘に乗らなかった民進党本部からも、前原誠司議員や松野頼久議員などが続々と新潟県入りし、事実上の「野党共闘」が実現している。

 また、新潟の地元の国会議員も、選対本部長をつとめる森ゆう子参議院議員をのぞいては、特に民進党議員は腰くだけで、様子見の状態を決め込んでいたが、「米山猛追」「米山接戦」と伝えられると、態度を一変させた。

 11日には、県連トップとして米山氏の出馬を了承せず、「自主投票」を決めた民進党県連の代表である黒岩宇洋衆議院議員が、個人応援演説会にかけつけた。

 さらに12日には、民進党衆議院議員の菊田真紀子氏が、応援にかけつけた。どちらも初めて。選挙戦の序盤から中盤までは、洞ヶ峠を決めこんでいた議員である。

 こうした議員らと、露骨に森民夫候補の支持を表明している連合新潟の摩擦は避けがたい。その摩擦を乗りこえてでも突き上げる「民意」の強さに驚いて、及び腰ながらでも、米山氏の応援に回った、その影響は少なくない。

 「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」共同代表で、新潟国際情報大学の佐々木寛教授に、2016年10月11日、情勢の変化について話を聞いた。佐々木氏は米山候補の支持が広がっている背景には、米山氏の身内さえ驚く、本人のある「変化」が影響していると話す。

▲米山隆一候補(医師/社民・共産・生活推薦)

▲米山隆一候補(医師/社民・共産・生活推薦)

■ハイライト

  • 日時 2016年10月11日(火)14:30~15:30
  • 場所 新潟国際情報大学(新潟県新潟市)

民進党県議が黒岩代表に苦言「勝っても負けても代表辞任しかない」

 米山候補の追い上げは目を見張るものがあるが、残り時間はたったの3日。自公推薦の森候補も最後、引き締めを図るはずだ。楽観視はできない。そんな中、民進党内の「自主投票」に踏み切った張本人、民進党新潟県連の黒岩宇洋代表が、10月11日、米山候補の個人演説会に姿を現し、一転、支持を表明した。

 参院選でせっかく築いた野党共闘の枠組みを、新潟において壊した本人の豹変ぶりに、「いまさら」という批判が出るのも当然だ。米山候補の推薦を何度も要請してきた佐々木教授としても、黒岩代表に言いたいことは山のようにあるだろう。しかし、今は本音をぐっとこらえ、ゴールまで共に戦い抜くしかない。佐々木教授は「こうなった以上は応援していただいて、今後にむけて協力ができればと思います」と、黒岩代表の支持表明を歓迎した。

 しかし、IWJの取材に応じた民進党県議の一人は苦言を呈する。「勝っても負けても、黒岩氏が起こした混乱を収束し、責任をとるためには代表辞任しかない」とまで言い切った。「自主投票を決めたのも、黒岩代表の保身のためですよ」と話す。党内の混迷ぶりを物語るセリフだ。

 市民政治家・米山候補の誕生は、民進党内の混乱を乗り越え、どこまで票を伸ばすことができるのか。新潟県知事選はいよいよ16日に投開票日を迎える。

ようやく新潟県知事選の重要性を認識した民進党中央の執行部

――民進党は『野党共闘』には乗りませんでしたが、民進党本部から国会議員が続々と新潟県入りし、米山候補の応援に回っています。事実上の『野党共闘』が実現していますね

 これまで個人の意志で新潟入りした民進党議員は数々いる。菅直人元首相、前原誠司衆院議員、松野頼久衆院議員、阿部知子衆院議員、近藤昭一衆院議員、黒岩宇洋県連代表、玉木雄一郎衆議院議員。

 野党、識者の方々の応援も下記の通りである。

 志位和夫委員長(共産)、小池晃書記局長(共産)、藤野康史衆院議員(共産)、福島みずほ副党首(社民)、又市征治幹事長(社民)長部登県会議員(社民)、小沢一郎代表(生活)、森裕子選対本部長(無所属)、山口二郎(法政大学教授)、清水忠史氏(共産)、磯貝潤子氏・横田由美子氏(共に「新潟に新しいリーダーを誕生させる市民の会」共同代表)、金子勝氏(慶応大学教授)、古賀茂明氏(元経産省職員、フォーラム4)。

*以上順不同

佐々木寛教授(以下、敬称略・佐々木)「参院選の時につくった『野党共闘』のネットワークが完成に近づいていない中での選挙戦スタートだったので、そのほころびが、今回のどたばた劇になったと思います。

 今回の選挙は戦後史の上でも大事な選挙です。この後、(東京10区、福岡6区の)補選や衆院選も続きますから、民進党も入って戦えているのは嬉しいですね」

――なぜ、中央から民進党議員が相次いで応援に入るようになったのでしょう

佐々木「民進党県連も一枚岩ではなく、県連で(自主投票が)決まったとしても、しっかりと候補を立てるべきだと考えていた人たちがいた。そういう人たちの中央への働きかけも大きかった。民進党も、ようやく新潟選挙の重要性を認識し始めたのだと思います。

 つまり、これから続く選挙を前に、ここでちゃんと民進党が存在感を示さないといけないと多くの議員が考えたのではないでしょうか」

――認識が遅すぎる気もしますが

佐々木「外側から見ていて、(民進党の中で)話し合いは十分に行われているのかな、と思うことはあります。民進党に限らず、野党共闘をやっていく上では時間をかけて『熟議を尽くす』ということを今後の教訓にしてほしいですね」

米山候補応援に回った黒岩民進党県連代表、「米山氏が惨敗するだろう」の読みが外れた!?

――米山候補を推薦せず、『自主投票』を電撃的に決めて、その後頑として覆さなかった黒岩宇洋(たかひろ)・民進党県連代表は、まさに今日(10月11日)、米山候補の応援に入ります。この動きをどうご覧になっていますか。情勢が変わり、ここで応援しないと自分が恥をかくという打算があったのでしょうか

▲「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」共同代表・佐々木寛氏(新潟国際情報大学教授)

▲「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」共同代表・佐々木寛氏(新潟国際情報大学教授)

佐々木「今後のことを考えると、黒岩代表が応援してくれることは良かったと思います。あれだけ『党で決めたことだから決定はくつがえせない』と言っていたので、(米山候補支持は)まさかとは思いましたが。

 政治家は打算で動きますから、それは仕方ない。ある種、黒岩代表の読みが外れた(民意が米山氏に傾いた)というのはあるのでしょう。潔く修正して、米山氏支持で行くということであれば、今後にむけて協力ができると思います」

――黒岩代表は選挙戦をどう『読んで』いたのでしょう

佐々木「推測ですが、(自公推薦の)森民夫候補はずいぶん前から選挙準備を進めていた。民進党は候補擁立に出遅れていたので、候補を出して惨敗するのであれば、『不戦敗』もありではないかという選択肢を考えたのかもしれません。その『読み』が外れたということです。

 ですが、原発再稼働が大きな争点の一つになっていて、これを無投票でやるのは野党の役割を果たしたことにならない。だから、私たちは民進党がやらないなら、市民と民進党以外の野党でやることにしたわけです」

スクープ!! 新潟県内の内部事情を徹底的にさらす! 話し合いの議論さえ「もみ消した」黒岩代表! 党内からは異論噴出

 惨敗を見越して不戦敗を決め、自主投票に踏み切った黒岩宇洋代表については民進党県議の間でも批判が噴出していたと聞く。IWJの取材に応じた、ある民進党県議は党内の混乱について次のように話した。

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