泉田裕彦知事の突然の出馬撤退表明にはじまり、この新潟県知事選挙にはどこか有権者を置き去りにした不可解な出来事が続く。
原発推進派で自民推薦の森民夫氏の対抗馬として急遽立候補を決めた民進党の米山隆一氏は、共産・社民・生活・市民グループらの支援を取りつけたものの、民進党は自主投票に回ることを決定した。米山氏は、民進党を離党し、無所属で選挙にのぞむことになった。
告示日の前日、岩上安身は緊急で新潟県へ向かい、米山氏に単独インタビューを行なった。米山氏は、自身の擁立をめぐる民進党の対応の内実を可能な範囲で語ったが、その言葉の端々には、自身も感じている民進党への疑問や違和感がにじみ出ていた。
「私から離れたところで内部のパスが回されて、こうなった。私は民進党本部から実情、本心を聞かれていません」
米山氏は、民進党が米山氏を支持せず、独自候補も立てずに森氏の支持に回ったと聞いて、驚きを隠せなかったという。
インタビューでは、泉田知事が強くこだわった「原子力防災」をめぐり、放射線医学総合研究所で医師を勤めていた米山氏の考え方についてもお聞きした。原子力防災は、柏崎刈羽原子力発電所が立地する新潟県の選挙で、もっとも重要な争点の一つである。
「(森候補を)追い抜く可能性は十分にあります」
民進党の対応には戸惑いつつも、米山氏はこの選挙を戦い抜く自信を見せた。行く末のまったく見えない新潟県知事選は、2016年9月29日、告示を迎えた。