パリのテロに便乗して「共謀罪」創設!? 秘密保護法、盗聴法、安保関連法…「戦争できる国」が進める「治安立法」の脅威!~海渡雄一弁護士、平岡秀夫元法相ら警鐘! 2015.9.7

記事公開日:2015.11.19取材地: テキスト 動画
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(取材:石川優、記事構成:IWJテキストスタッフ・田岡えり子)

特集 共謀罪|特集 秘密保護法
※2015年11月19日テキスト加筆しました!

 パリの同時多発テロ事件を受け、自民党の谷垣禎一幹事長らが「共謀罪」の創設に再度、意欲を示した。

 2015年11月17日、谷垣氏はテロ撲滅のためには「共謀罪」の創設が必要との認識を示し、「来年5月に日本は伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)を開く。前から(共謀罪を含めた)法改正は必要と思っている」と重ねた。菅義偉官房長官も「国際社会と連携して組織犯罪と戦うことは重要な課題であって、国連国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)締結に伴う法整備は進めていく必要がある」と前向きな姿勢だ。

 共謀罪とは、2人以上の者が犯罪を行うことに合意することを処罰の対象とするもので、実際に犯罪行為が行われていなくても、合意しただけで処罰の対象になる。しかも政府原案は、その適用範囲を600以上もの犯罪に広げた、世界にも類を見ないものだ。これまでに3度国会に上程されたが、いずれも強い反対運動が起こり、廃案となった。

 一般に、近代の刑法では、人が犯罪への意志を持つだけで処罰されることはない。憲法では「内心の自由」が保障されている。犯罪行為が行われ、利益の侵害や現実的な危険性が生じて初めて捜査の対象になる。また、パレルモ条約は、マフィア等の組織犯罪を取り締まる主旨のもので、テロ対策の要素は全く含んでいないとの指摘もある。

 では、共謀罪創設を目指す政権の狙いはどこにあるのか。

 2015年9月7日、東京・霞が関の弁護士会館で「共謀罪と監視社会について考える ~国連越境組織犯罪条約の批准のために600の共謀罪は不可欠か~」と題された市民集会が開催された。

 パネリストは、ジャーナリストの青木理氏、元民主党議員で第三次野田内閣の法務大臣を務めた弁護士の平岡秀夫氏、元日弁連事務総長の海渡雄一氏。それぞれの経験から、このような法制を進める政府部内で今起こっていることは何か、どの組織がこの法制を推し進めようとしているのか、実在の役職者名も明らかにながらのクロストークが行われた。

■ハイライト

「うん」とうなずくだけで犯罪が成立する~盗聴法と関連させる動きも

 まず、第二東京弁護士会の園部裕司副会長が、「共謀罪は基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こす可能性が高い。その成立を必ず阻止しなければならない」と挨拶。

 長年にわたり共謀罪に反対する活動を進めてきた日弁連の海渡雄一弁護士は、「人の心の中と紙一重の世界が犯罪化されていく」ことの危険性を指摘した。「本法案では、『うん』という声が聴こえただけでも、うなずくだけでも犯罪が成立する。それが可能な法制になっている」。

 謀議、すなわち犯罪の合意があったことを立証するには、当然ながら、メールやファクス、手紙、音声・画像データなどが必要とされるだろう。

 「共謀罪が成立したら、通信傍受の対象を共謀罪に広げるよう要求されるのではないか」(海渡弁護士)。言うまでもなく、盗聴法注1の改正案は、今国会で衆議院を通過し、参議院で見送られたばかりだ。

注1 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」。現行法では、通信傍受の対象は、組織的殺人、薬物、銃器、集団密航の4つに限られ、傍受には通信事業者の立ち会いが必要とされる。傍受の場所も事業者の施設内に限定されている。改正案は対象範囲を詐欺、窃盗などに拡大し、一定の条件を満たせば事業者の立ち会いも不要としている。

密告社会、監視社会が実現する 「市民が互いに監視し、警察の監視におびえながら生活する」

 本法案には、密告についての減免規定も盛り込まれている。

 仮に、違法行為を行うことを話し合って相手の合意が得られたあと、その会話が録音された音源を警察に持っていけば、違法行為をもちかけたほうが減免になり、「そうだね」と言ったほうが有罪になる、という可能性もあるのだ。

 盗聴法に導入されようとしている司法取引と同様、これでは悪用しだいで冤罪の可能性が高まるだけでなく、市民が密告を恐れて互いに疑心暗鬼になり、ものも言えないような監視社会が実現しかねない。

 「市民が互いに監視し、警察の監視におびえながら生活する。そんな社会になっていいのか」(平岡元法務大臣)。

パレルモ条約の批准に共謀罪は必要条件ではない

 政府はこれまで、本法案は2000年に国連で採択された「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」、通称「パレルモ条約」注2を批准するために必要な法整備と説明してきた。しかし本法案は、条約批准の必要条件ではない。

 国連の立法ガイドでは、各国の法制に応じた幅広い裁量が認められている。事実、これまで批准したアメリカ、イギリス、ドイツでは、共謀罪を立法していない。フランスでは、殺人の中でも暗殺と毒殺に関するものにのみ共謀罪を適用する法制をつくって批准した。

 日本には銃刀法がある。テロ行為に対する処罰規定がある。刑法でいくつかの重大犯罪に対して予備罪注3が規定されており、判例で「共謀共同正犯」注4が認められている。未遂以前の行為を処罰できる法制はすでに整備されているのだ。なぜ、その上に屋上屋を架さなくてはならないのか。

 平岡秀夫・元法務大臣は、「日本には十分に国際的な犯罪防止条約に協力できる条件が整っている。特定の条項を留保して批准することもできる」と言う。

 日弁連などの法曹団体も民主党も条約の批准は必要という立場だ。パレルモ条約は、共謀罪を立法する理由にはならないのだ。

注2 略称「国連越境組織犯罪防止条約」。2000年に国連で採択され、日本も署名した。国境を越えた組織的な人身売買、マネー・ロンダリング、密入国、銃器の密輸などを対象とするもの。締約国同士の法律上の相互援助、犯罪人引き渡し、裁判権に関する条項を含んでいる。

注3 刑法で「実行の着手」の前段階にあたる予備行為を犯罪とするもの。殺人、強盗、内乱、放火、通貨偽造など8つの重大犯罪について設けられている。

注4 共謀があり、共謀に基づく実行行為があった場合に、共同実行の意志の形成に参加し、実行しなかった者が共同正犯となる例。最高裁で判例がある。共同正犯は、刑法60条「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」で規定されている。

警察の権限が際限なく拡大する

 平岡弁護士は、2004年、衆議院法務委員会の理事として、本法案に反対の立場から論陣を張った。強行採決必至の状況だったが、河野洋平議長が慎重審議の必要を言い、官邸からの指示で継続審議となった。だが、安保法制の審議を見ればわかることだが、現在の政権で、理の通った審議が期待できるだろうか!?

 第三次野田内閣時、法務大臣として本法案の見直しに取り組んだ平岡弁護士は、当時の経験から、「外務省は条約を成立させたい立場。警察庁は捜査手法の拡大を望んでいる。何よりも大組織である警察庁と国家公安委員会を、政治家がコントロールできていない」と言う。

平岡秀夫元法相
▲平岡秀夫元法相

 ジャーナリストの青木理氏は、「共謀罪をもっとも望んでいるのは警察」と言う。「共謀罪は、特定秘密保護法にも盛り込まれている注3。それが成立したということは、共謀罪もやると宣言したようなもの」。

 秘密保護法に加えて、共謀罪、盗聴法の適用拡大が決まれば、「恐ろしいほど警備公安警察の権限が広がる。盗聴などは、これまでも警察は違法下で密かにやっていたわけだが、それが公然とやれるような状況になるだろう」。

 次に上程される共謀罪は、適応範囲をさらに拡大したものになるのではないかともいわれている。捜査機関の権限はこれまで以上に拡大し、恣意的な乱用が頻発することが懸念される。,

注5 第二十四条  「第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する」

安保法制下、特定秘密保護法、共謀罪、盗聴法が駆動するとき

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  1. 2010/08/10 山崎淑子さんインタビュー
    ○間違いによって投獄された山崎淑子さんにインタビューを行っています。
    【目次】
    10 違和感の連鎖。FBI・CIAによる家宅捜索
    11 なだれ込んできた検察。「共謀罪」の恐ろしさ
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/1430

  2.  共謀罪と司法取引は当局にとってセットだと思う。原発反対や戦争法制反対のデモをする無辜(むこ、何の罪も無いこと)の学生や大人達は、当局にとって共謀罪と司法取引を使って罪をでっち上げるときの最大のターゲットである。間違えてはいけないのは、冤罪ではなくでっち上げだということだ。共謀罪と司法取引は、どこにも存在ない犯罪をでっち上げる為の当局にとっての最大の武器となるのだ。 
     何の組織も無い善意の固まりの普通の人が常識をもって立ち上がると云うことは当局、特に安倍晋三のような狭量でインチキな人間にとっては恐怖でしかない。自分たちの正当性が全く主張できないのをよく理解しているからだ。自分が勉強を出来なかったことも、親に家庭教師をつけられても勉強しなかった、つまり努力をしない人間であったこと、親や兄弟よりも大学の偏差値が下がるという拭い去れない劣等感も持っている。自分よりも明らかに頭脳明晰で言っていることに破綻が無く善意の固まりの人間は、自分の存在を脅かすので娑婆から消えて欲しいと願ってやまないのが安倍晋三だ。そういう安倍晋三や世界の独裁者に共通する狭量でインチキな人間の強い意志が共謀罪成立の動きには働いている。
     一人の人間に司法取引をちらつかせて嘘の自白をさせた上で物理的な証拠をでっち上げ、多数の人間の罪をでっち上げて長期間拘束することは昭和の60年安保や70年安保の時でもやってきた。そうして罪をでっちあげられた人々が、山小屋を経営する財閥系の企業の社長の息子だった人の証言で無罪になったことがある。それが日本の近代史なのだ。若者は本当の近代史をよく知るべきなのだ。
     現在、安倍晋三に都合がよい嘘の情報を積極的に流しているYoutubeのチャンネルがある。このチャンネルは第二次安倍内閣発足とほぼ同時に突如として開設された。普通の人を装っているが構成やカメラアングルなどの作り方を観ているとプロが作っていることがわかる。自から200字詰の原稿用紙にシナリオを書いていると云う従来からプロがやっている手法をとっていることも何故かバラした。 このデマチャンネルが結構アクセス数を出しているので、嘘の情報を流された被害者はマークして名誉棄損での刑事告訴や民事訴訟をすることをお勧めしたい。無知な若者をターゲットにしているので非常に悪質だ。繰り返すが、第二次安倍内閣発足とほぼ同時に開設されたので、全く無関係と云うことは無いだろう。
     インチキ政権によるインチキ法成立は絶対に阻止しなければならない。共謀罪なんか物理的な証拠をでっち上げる必要が無いので、安倍晋三みたいな嘘吐きのインチキ野郎のやり放題になってしまうだろう。

  3. 青木さんの懸念に同感です。現在でもマスコミの統制は進められています。そして次の憲法改正がされれば、ソ連のような監視社会、国家統制の社会に私たちは主権を失います。その時の権力者は政権を手放さないだろう。緊急事態法によって選挙を有利に操り体制良く参加してしまうだろう。
    次の参議院の選挙が最後のチャンスかもしれない。しかしマスコミに牛耳られた選挙の土俵で勝つのは容易ではない。共産党の提唱した選挙協力を何とか阻止しようとするだろうし、その時の選挙の争点も新たに演出するかもしれない。そして国民が忘れるように報道していくだろう。なのに、民主党の前原、細野、長妻はいったい何を考えているのだろうか。自民党に行くか新党を結党した方がいいのではないか。今国会のあり方を、議会制民主主義を無視したことはこの法案を決まってもいないのにアメリカに約束したことは立法府の議員無視されたのです。
    私は決して忘れない。国民主権のこの国のために。この国は一部の権力者や官僚のものではない。

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