元日弁連会長の宇都宮健児氏、社民党副党首の福島みずほ氏、元自衛官の泥憲和氏ら3名が2015年3月16日、東京・新宿のロフトプラスワンでトークライブをおこなった。
泥氏は、昨年2014年11月、『安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』(かもがわ出版)を書き下ろした。集団的自衛権行使容認や憲法9条、従軍慰安婦問題などについての私見を盛り込んだ本となった。
(IWJ・石川優)
※4月17日テキストを追加しました!
元日弁連会長の宇都宮健児氏、社民党副党首の福島みずほ氏、元自衛官の泥憲和氏ら3名が2015年3月16日、東京・新宿のロフトプラスワンでトークライブをおこなった。
泥氏は、昨年2014年11月、『安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』(かもがわ出版)を書き下ろした。集団的自衛権行使容認や憲法9条、従軍慰安婦問題などについての私見を盛り込んだ本となった。
記事目次
■ハイライト
イスラム国による邦人人質事件は、2人が殺されるという、最悪の結末となった。安倍首相が、安倍首相自身は、エジプトの首都カイロで、イスラム国対策として、イラクやレバノンに2億ドルの支援をすると表明。
この安倍首相の表明は適切だったのか。
泥氏は、本当に安倍首相の対応に問題がなかったのか、その話題からトークを始めた。
イスラム国による邦人人質事件の安倍首相の認識は、「人道支援を表明しただけ。ただの人道支援なのにそれを逆恨みして、日本人を人質にして殺したイスラム国はとんでもない奴らだ。私に何の責任があるんだ」というもの。
しかし、泥氏は、この安倍首相の認識を否定。中東ではそうはとらえられていないと指摘した。
トルコの新聞Turkish Pressでは、「日本、中東諸国に25億ドル援助」という記事が掲載され、記事中には安倍首相が表明した人道支援を「military aid(軍事援助)」と記されている箇所があるという。
「安倍首相が、いくら人道援助をしたつもりなんだと説明しても、現地、中東では軍事支援ととらえられてしまっている」。
この安倍首相の人道支援表明については、福島みずほ議員が、外務省にスピーチの内容について問い合わせ、文書で回答があった。
安倍首相が総額2億ドルを支援すると表明したが、それは2015年1月17日にエジプトで表明する前、1月9日に閣議決定されたもので、外務省回答文書では次のように記載されている。
「今後、国会承認を得て、ISIL対策・周辺国支援を目的として、主に国際機関を通じて総額約2億ドルの新規支援を行う予定。
なお、支援の主な内容は、難民・国内避難民に対する人道支援であり、それ以外に教育、職業訓練、国境管理、法制度整備支援等が含まれる」
泥氏は、安倍首相のスピーチと閣議決定した人道支援を比較し、次のように指摘した。
「(安倍首相のスピーチは)ISIL対策に難民支援を含めてしまっている。丸ごと全部ISIL対策だと言っている。閣議決定とはだいぶ違う。
閣議決定では、ISIL対策の別物として、難民支援があるって、例えば難民キャンプ支援は、ISIL対策ではない。国際機関を通じて、というのも、安倍首相は言っていない。肝心なことを言っていない。教育や職業訓練ということも説明していない」
米国は、今、何故、イスラム国と戦うのか。泥氏は、1986年に作られ、1990年に作られた改訂版の米軍の教科書「MILITARY OPERATIONS IN LOW INTENSITY CONFLICT」を紹介。
米軍は、軍事戦略を、3つに分類しているという。
低強度紛争の軍事戦略とはどういうものなのか。泥氏が紹介する米軍の教科書には、以下のように書かれている。
「低強度紛争戦略の成功は、アメリカの利益及び法と一致し、なおかつそれによって自由、民主主義制度、そして、自由市場経済の発展という、アメリカの国際的目標が促進される」
では、具体的に低強度紛争とはどういうものを指しているのか。
さらに、泥氏が紹介した米軍の教科書の本文には、こう書かれている。
「敵を国内的にも国際的も孤立させて国際社会(とその援助)から締め出し、敵の政権(民衆運動の場合はその政治的影響力)の非合法化を目指す。
従来の戦争とは違って、物理的に敵を排除することを目的としていない」
泥氏は、まさにビンラディンがそれだったと指摘。
「ビンラディンがどれだけ非人道的でとんでもないやつか、ということをガンガン宣伝された。今、ISILがそれをされている」
低強度紛争の戦略の一つ、対反乱支援とはなにか。
(…会員ページにつづく)