殺害予告の期限が迫る中、人質・後藤健二さんの母親がイスラム国に必死の訴え「皆さんのお力で健二を救ってください」 2015.1.23

記事公開日:2015.1.23取材地: テキスト動画
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(取材:IWJ・石川優、記事:IWJ・原佑介、記事構成:IWJ・安斎さや香)

特集 中東

 「一生懸命、子を育てて、戦争にやると考えているお母さんはいないと思います。皆さんのお力で健二を救ってください」――。

 イスラム国が邦人2人の殺害を予告し、72時間以内に2億ドルの身代金を支払うよう日本政府に要求してから2日が経った1月23日9時30分より、人質の一人、後藤健二さんの母親が外国人特派員協会で緊急会見を行った。

 タイムリミットの14時50分まで、5時間に迫っている。

 後藤さんの母は、「残された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救ってください」と懸命に訴えた。

■ハイライト

  • 会見者 ジャーナリスト後藤健二氏の母親

 以下、会見の模様を掲載する。

2週間前に赤ちゃんが誕生していたジャーナリスト後藤健二さん

後藤さんの母「本日は大変忙しい中、お時間をとっていただきましたことを感謝申し上げます。一生忘れません。私はジャーナリスト後藤健二の母です。日本国民、政府の方々、ここにお集まりの方々に、感謝とご迷惑をかけたことをお詫び申しあげます。

 この3日間、何が起きているか計り知れませんでした。皆さんにご迷惑をおかけしていることを心からお詫び申します。昨日(1月22日)、初めて健二の妻と電話しました。聞くと、2週間前に赤ちゃんが生まれたそうです。

 なぜ赤ちゃんが生まれるのに危険なところに、と聞きました。妻は『先に拘束されている知人を助けるために』飛んでいったと申していました。この地球は大切にしなければいけない、神が、自然が作った貴重なプレゼントを壊すのか、わからないのです。

 原子力を使い、環境を汚し、何をしたいのかわかりません。会見をやめろ、という電話もいっぱい入ってきましたが、それは間違いです。皆さんが人類のため、拙い息子のため、時間を作ってくださったのだから感謝を申し上げるのが当たり前だと思った。

 健二はどういう子どもだったか。まだよちよち歩けないころから、友達には優しく接していました。なので、出産したばかりの奥さんを置いて、乳飲み子を置いて出かけていったのだと思います」

息子の命を救ってほしいという想いと、妻子を残して危険地域に向かったことを解せない複雑な想い

後藤さんの母「昨日、奥さんを名乗る方と初めて交信し、驚いたのは、赤ちゃんを産んでまだ、2週間も経っていないとうことです。憤りを感じました。なぜ、乳飲み子を残しながら行くのか。『友達が…』と言っても、子どもを守ってやるのは親しかいません。

 正義感に燃えていると言っても、そこが解せませんでした。不思議でならないことがございます。自分たちの地球を、自分たちの手で壊すということです。原子力を研究し、感謝すべき地球を壊し、生活している弱者を落とし穴に突っ込んでいく。

 今、こみあげている涙を隠していますが、それは、原子力の問題です。地球をダメにする、水をダメにする。それを一時の感情でドンパチするのはやめなければならない。いい方の活用でないなら、私の命を失うことも厭いません」

息子の無事を祈る母「健二はイスラム国の敵ではありません」

 質疑応答へ。

インドネシア記者「イスラム国へメッセージはありますか」

後藤さんの母「イスラムの方々も一緒に地球の平和を考え、素晴らしい地球が作れるなら、私の命はどうなってもいいです。私の頭は良くないので、ここの皆様から知恵をもらえれば嬉しいです。

 健二はイスラム国の敵ではありません。イスラムの国と一緒に、恨みつらみをやめて、いい地球を作っていただければ…全員の方々がそういう願いであると信じています。釈放していただきましたら、地球や、子ども、未来に尽くせる子だと思います」

記者「一番最近、健二さんと連絡をとったのはいつでしょう。イスラム国からお母さんのところに連絡がきたという報道もありますが、事実ですか?」

後藤さんの母「健二は親思いの子でしたので、行く前には連絡がありませんでした。反対されると思ったのでしょう。

 一生懸命、子を育てて、戦争にやると考えているお母さんはいないと思います。皆さんのお力で健二を救ってください。健二は、ユニセフなどのことを非常に考えていたので、命あって帰ったなら、次世代を担う子どもたちの教育にも携わってほしい」

イタリア記者「日本政府に何かメッセージやお願いはありますか」

後藤さんの母「生意気かもしれませんが、健二のしたことはつまらないことと言われるかもしれませんが、生まれて2週間の子を置いて、同胞の救出に向かったんです。

 イスラムに対しても違う感情があったと思います。捨て身で行った。ということは、やはり、イスラムの国にも会って話せばわかりあえる地球人だと判断したんだと思います。イスラム国の中にもそういう方はいっぱいいると思います。

 日本国も、健二のために力を貸してくれた国だと思えば。日本は第二次世界大戦を経験しています。わからないことがないではありませんか」

「健二はお友達を救うために出発しました。健二は幼い頃から、弱い子に優しい子でした…」

フランス記者「母の涙は、見ていて心が裂けるものです。母の涙はもっとも強い武器でもある。本当の正直な言葉を、イスラム国の方々に訴えてくれませんか?」

後藤さんの母「イスラムの方々にお願いです。後藤健二は、幼児にものを教えることを得意としています。そして、イスラムのことは、決して嫌いではない、むしろ逆。健二はお友達を救うために出発しました。健二は幼い頃から、弱い子に優しい子でした」

英タイムズ記者「1977年、ハイジャックが起き、福田首相は身代金を払って人質を救出した。『人命は地球より重い』と言いました。安倍総理にも同様の対応を望みますか?」

後藤さんの母「それを願っています」

シリア記者「先程から『イスラムの方々』と話されていますが、健二さんを捕えているイスラム国というのは、イスラムの中でも、イスラム教信者はやらないような傭兵をし、社会の敗者が集まっている組織だと知っていますか? イスラムを代表するものではない、と」

後藤さんの母「それは知りませんでした。もし、イスラムのほうから、日本で勉強したいという方がいれば、私が守ります。私の家でお勉強していただけることを約束します」

ロシア記者「日本政府から何かの連絡がありましたか?」

後藤さんの母「まったく日本政府からうんぬんといったことはありません」

戦地から「常に中立な戦争報道」をしてきた後藤さん

後藤さんの母「ジャーナリストの後藤健二の実の母です。日本国民、政府の皆さん、諸外国の皆さんに健二が迷惑をかけていることにお詫び申し上げます。二度とこのようなことをしないように、教育し直さなければならないと思います。

 この3日間、泣いてばかりでした。健二はいつも戦地の子どもを救いたいと言っていました。健二の報道の特色は、常に、中立な立場で戦争報道をしてきたと思います。

 イスラム国の皆さん、健二はイスラム国の敵ではありません。人類の友として、役に立てると思います。日本は戦争をしないと憲法に誓った国です。

 日本は唯一の被爆国です。米国による原爆投下で数十万人が亡くなりました。残された時間はわずかです。日本政府も反省すべきは反省し、国民と一体となって、イスラム諸国と一緒に学ぶ点があるなら、そういったほうにもっていきたいと思います。

 残された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救ってください」

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“殺害予告の期限が迫る中、人質・後藤健二さんの母親がイスラム国に必死の訴え「皆さんのお力で健二を救ってください」” への 1 件のフィードバック

  1. 人を敵視しない思考 より:

    大変な立場で、本日23日に発言されたことに敬意を表します。憎悪、敵意とはまったく無関係な立場であることを全力で示されたと思います。

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