【大義なき解散総選挙】「安倍政権最大の失政は経済の失敗ではない、世界での『孤立化』だ!」“アベノミクス解散”を鳩山元総理が痛烈批判 2014.11.21

記事公開日:2014.11.24取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 「アベノミクス解散」――安倍総理は今回の解散総選挙をこう命名したが、本当にそうだろうか。

 衆議院が解散された11月21日、東京都四ツ谷で「再度の政権交代を実現する集い」と題した集会が開かれ、鳩山由紀夫元総理大臣などが発言した。

 鳩山元総理は今回の衆院選について、「テーマがアベノミクスに矮小化されている」と指摘。「経済以上に、世界的に日本が孤立した状況にあることこそ、安倍政権のもっとも大きな失政だ」と述べ、「外交」も選挙の争点に据えるべきだとの考えを示した。

▲「再度の政権交代を実現する集い」会場には50名以上の来場者

■ハイライト

  • 登壇者 白井聡氏(政治学者)/植草一秀氏(経済評論家)/森田実氏(政治評論家)/特別ゲスト 鳩山由紀夫氏(元内閣総理大臣)
  • 場所 主婦会館プラザエフ(東京都千代田区)

解散総選挙は「安倍政治そのものを問うチャンス」

 集会は、弁護士の辻恵(つじ・めぐむ)元衆議院議員が主催し、鳩山元総理のほか、経済学者の植草一秀氏、政治学者の白井聡氏、政治評論家の森田実氏が発言した。

 この日、司会を務めた辻氏は「大義名分のない選挙だ」と述べ、安倍総理の突然の衆議院解散を批判する一方で、「安倍政治そのものを問うチャンスでもある」との見解を示した。

 そのうえで「2009年の政権交代がついえて、今、より悪い政権が続いている。もう一度、本当の意味での政権交代をするうえで、何を残していけばいいのかを考えたい」と話した。

「野党は増税延期でなく、『中止』の図式に持ち込むべき」

 『アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪』(講談社、2013年7月)の著者で、アベノミクスにいち早く警鐘を鳴らした植草一秀氏は、「『増税先送り』で国民の判断をあおぐというが、『増税しろ』と言っている人はいない。あおぐ前からわかっている」と解散に至った経緯を批判する。

 「増税先送りの根本の理由は、アベノミクスの失敗にある。アベノミクスは財政を出し、金融緩和し、成長戦略を打つというもの。民主党・野田政権が経済を痛めていたことを考えれば、経済優先は正しい。しかし、その中身が『強いものだけ強くして、弱いものを踏みつける』という点で問題だ」

 植草氏は、選挙の最大のテーマは「政治の基本路線」であると位置づけ、「安倍政権が進めるのは戦争と弱肉強食、格差の拡大。TPPもそのひとつ。抽象的な理念で選挙を戦えば勝てない」と指摘。「増税延期を売りにしている安倍政権に対抗するため、野党は延期でなく、『中止』の図式に持ち込むべきだ」と語った。

安倍政権の最大の失敗は「世界での孤立化」

▲安倍政権の最大失政は「世界での孤立化」だという鳩山元総理

 中韓FTAが実質妥結し、2015年にはシンガポールやベトナム、マレーシアなどのASEAN10カ国が経済統合する。鳩山由紀夫元総理は、「私の構想した東アジア共同体がかなり実現されようとしている」と感想を口にする。

 「しかし、その中に日本がない、という皮肉な状況になりつつある。アベノミクスは完全に失敗していて、アジア諸国や中国、韓国と今のような状況が続くようでは、成長戦略などみえるはずがない」

 続けて「経済の失敗以上に、世界政治の中で日本が孤立した状況にあることこそが、安倍政権のもっとも大きい失政だ」と批判。「日本だけが19世紀型の外交政策をしているようで情けない」として、隣国との摩擦は外交で解消し、より発展的な結びつきを求めていくべきだとの持論を展開した。

 そのうえで鳩山元総理は、「狭い了見では外交を作れない。経済も大きな争点でいいが、外交を争点にする選挙にしてもらいたい」との思いを口にした。

野党は「反戦後レジームからの脱却」で団結を

 『永続敗戦論』(太田出版、2013年3月)の著者である白井聡氏は、戦後の日本は冷戦構造下で、米国の庇護によって成り立ってきたが、現在では崩壊し、米国衰退のツケが回っている、と説明する。

▲「永続敗戦論」を説く白井聡氏(右)と植草一秀氏(左)

 「政治家や官僚は米国による収奪に抵抗しなければならないはずが、抵抗できない。政治家も官僚もなぜなら米国の許可のもとで権力の座に座ってきた人たちばかりで、早い話が『傀儡』だからだ」

 ようやく民主党に政権交代したものの、結局は自民、民主、どちらが政権与党でも傀儡になるしかない。米国の意思を忖度することに長けた人間が、権力のコアな部分を握り続ける。鳩山由紀夫政権の退陣で、日本の総理の示した意思が、米国の意思に負けることがわかった。メディアはこれを隠すために、『鳩山由紀夫は変な人だ』というプロパガンダを張った――。

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「【大義なき解散総選挙】「安倍政権最大の失政は経済の失敗ではない、世界での『孤立化』だ!」“アベノミクス解散”を鳩山元総理が痛烈批判」への2件のフィードバック

  1. アベノミクス より:

    無能政治家達はアベノミクスを無責任に批判し、そしてアベノミクス経済改革が崩壊するのを何か期待しているように見える。
    仮に日本は財政政策は何もしない、アベノミクスも実施しない場合には過度な円高の進行による国内の産業空洞化、国内は雇用が不足しているのに逆に海外ではジョブクリエーションを多くしている。そして、海外からは利益を持ち出すことができず、日本への法人税、所得税を国内に循環させられない。日本の国力は発展どころか衰弱の一途。国益にならず、負の資産ばかりで日本国民への期待される利益は生じていない。 日本には仕事がないから、失業は増え、給料の下落は止まらない。若者の仕事は見つからず、結婚もできず、家も購入できない。海外での活路を見出した場合はそのまま移住。 日本の女性、かわい娘もどんどん海外へ定住、そして外国人と結婚、海外で子孫を残す。一方で日本人口が減少に向かう、一段と高齢化・少子化が加速し生産・労働力人口の減少、日本経済成長の低迷や、日本の社会保障は持続できない。政府財政が破産、高齢者の生活できなくなる。 円高の進行により企業の海外収入の利益は減少し、株価は停滞が続き国内消費が落ち込み、更に長期経済停滞になる。

    言うだけタダ。誰でもいえるよ。無責任な発言ばかり繰り返すな。政権をとったと日本を亡国に売ろうとした最低な政治家達。これ以上日本を混乱させるな。

    1. アベノミクス より:

      本当にアベノミクスが正しかったのか、2015年は節目になる年でしたね。
      トリクルダウンという仮説に基づいて生まれたアベノミクスですが、結局完全に失敗したようにしか見えませんね…安倍政権の大きな失敗は消費を喚起出来なかった点に尽きるでしょう。
      アベノミクスは間違っていたんです。そもそも金融緩和と財政出動だけで経済は回復しません。しかも、安倍首相が主導する政策は大企業に重きを置いています。トリクルダウンに最も重要な消費増えるわけがないんです。消費が増えないから企業は利益を資本金に積み立てます。その一方、必需品価格は円安の影響を受け上昇します。悪循環しかしないことは明白だったと思います。
      彼らの言ってたことは正しかったんじゃないですか?副作用を持つアベノミクスはあなたの思うような政策ではないですよ?

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