プルーム通過時の防護措置、検討チーム再開~2014年度 第20回原子力規制委員会 2014.8.20

記事公開日:2014.8.20取材地: テキスト動画
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 2014年8月20日10時30分より、2014年度第20回原子力規制委員会が開催された。原子力災害事前対策等に関する検討チームを再開し、福島第一原発の原子力災害対策やプルーム通過時の防護措置など、現行の指針の見直しも含めて、細部の拡充等について検討されることが決定した。

■全編動画

  • 日時 2014年8月20日(水) 10:30~
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

議題1 原子力災害事前対策等に関する検討チームの再開について

 原子力災害対策指針は、2012年10月に策定し、その後、規制委員会で新知見を得て、3回の改訂を行ってきた。この指針の中で、今後検討すべき課題として、次の三点が挙げられており、これらの検討を再開することが了承された。

検討すべき課題
(1) 福島第一の原子力災害対策
(2) UPZ外(30km圏外)でのPPA(プルーム通過時の防護措置)実施の範囲及び判断基準等
(3) 核燃料サイクル施設の防災対策

 原子力災害事前対策の検討チーム会合は、これまで7回開催されており、9月中に第8回の会合を開催する予定。

 課題2のPPAでは、現行の指針では屋内退避とされている。住民の避難計画にも関わり、ひいては再稼働に関係してくる課題であることから、どのように議論が進むのかが注目される。

 田中俊一委員長は、8月19日の特定原子力施設監視・検討委員会について、東電は「つめが甘い」と述べ、リスクに関して時間軸も考えるようにと、苦言ともとれる感想をこぼしている。

 これを受け、更田豊志委員は、昨年2013年8月に発生した福島第一原発3号機からのダスト飛散量の評価について、「東電は過小評価と言われたくないので、どうしても保守的な、過大な評価をしている。しかし、防護措置を考えるにあたっては正確な数値が必要なので、東電だけでなく、規制委も努力していくべき」と応えた。さらに、現在の福島第一原発のリスク評価用の地震動、津波高さについては、「今月中に目標設定値が出てくるだろう」と、東電に対して締切を宣言した。

 中村佳代子委員も昨日の検討会に関して、「サイトの外からの視点が欠けている」と感想を述べ、「防災指針は受ける側の視点でつくってきたが、”緊急被曝医療”と”緊急時モニタリング”の検討チームとを有機的に結び付けたい」と要望した。

 大島賢三委員は、「指針そのものの見直しか、細部の拡充か」と質問。本議題を担当した森下泰・原子力防災対策課長は、「両方ある」という考えを示した。さらに、「政府全体の大規模災害への対応への関係はどうなるか」と質問すると、森下氏は、「位置付けを踏まえながら検討に参加していくことになると思う」と回答した。

 以上のような意見、要望があったが、異議や反論はなく、検討チームを再開することが了承された。

議題2 長半減期低発熱放射性廃棄物(CSD-B, CSD-C)の輸送時の核物質防護区分等について

 使用済み燃料の再処理過程などで生じる超ウラン元素を含むTRU廃棄物がフランスから返還されるため、輸送中の防護区分をどうするか、セキュリティに関する検討会で検討されてきた結果を委員会で議論した。

 検討会の結論である、”輸送時は「区分3」の防護区分とすること”が委員会で了承され、決定した。今後、規制委員会や国土交通省が、それぞれ所管する関係省令を改正することになる。

議題3 北陸電力志賀原子力発電所2号機の適合性審査の進め方について

 北陸電力志賀原子力発電所2号機は、8月12日に新規制基準の適合性審査申請を行い、規制庁がこれを受理した。しかし、同発電所は、敷地内破砕帯の評価がまだ完了していない。

 規制庁事務方より、破砕帯評価委員会で一定の見解が出てから審査を開始すること、他のBWRプラントと共通する部分は先行してすすめること、という方針が示され、委員会で議論された。これは、東北電力東通原子力発電所と同様の扱いで審査を進めるということだ。

 田中委員長が地震・津波・火山等の共通論点だが、「それでいいか」と島﨑邦彦委員に尋ね、「OK」の返答があり、事務方の提案通りに了承された。

議題4 原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームについて

 九州電力川内原発の審査書案に関する火山活動のモニタリングについて、検討チームの設置案が提案され、委員会で議論された。検討チームの構成要員案、当面のスケジュールについて、事務方から提案があった。

 島﨑委員は川内原発について、「今後状況が変わる可能性もあるので、継続的にモニタリングしていく。どういう考え方をしておいたらいいのか、平常時に火山学者から新しい知見を聞いたり、モニタリングとして見落としがないか、検討していく」と述べ、ただし、「具体的な判断基準は長期的に検討したい」とした。

 田中委員長は、巨大噴火やカルデラ噴火については「まだ研究が充分でない」との認識を示し、これらの議論が「日本の現状を再認識するトリガーになったかもしれない。原子力だけでなく、わが国の国民生活の安全にも寄与するよう進めていただきたい」、と期待を述べた。

 他に意見はなく、了承された。

 8月25日に第1回会合、9月2日に第2回会合が予定されており、メンバーは島﨑委員を座長に、外部専門家として火山噴火予知連、会長、副会長2名、委員2名と石渡明氏となっている。

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