テロ対策施設の審査ガイドに対する意見募集を実施~2014年度 第19回原子力規制委員会 2014.8.6

記事公開日:2014.8.6取材地: テキスト動画
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 2014年8月6日10時30分より、平成26年度年度第19回原子力規制委員会が開催された。テロなど特定重大事故等に対処する施設、および航空機衝突後の影響評価に関する審査ガイド(案)が示され、8月7日から9月5日までの期間で意見募集(パブコメ)を行うことが了承された。

■全編動画

  • 日時 2014年8月6日(水)
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

議題 1 実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則の解釈の一部改正等について

 日本機械学会が策定した”設計・建設規格”、”材料規格”を設計基準として引用するために技術評価し、6月19日から7月18日にかけて意見募集を行った。寄せられた意見を取りまとめて委員会に報告するもの。さらに、意見の結果を踏まえ、技術基準に関する規則の解釈を変更し、その結果を委員会で議論した。また、解釈の改正に伴い、長官決済により、一部の評価ガイドの軽易な変更による改正も行った。

 機械学会のそれぞれの規程の改訂年度や技術評価のタイミングのずれから、複数の改訂年度版の規格を対象とすることになり、わかり難くなっているが、すみやかに技術評価を進めるよう更田豊志委員からコメントがあった。その他は特に意見なく承認された。

議題 2 実用発電用原子炉に係る特定重大事故等対処施設に関する審査ガイド(案)及び実用発電用原子炉に係る航空機衝突影響評価に関する審査ガイド(案)に対する意見募集の実施について

 テロなど特定重大事故等に関して、今の規制基準では可搬型設備で対応するように定めている。例えば東側から注水できなくなれば、消防車を西側へ移動させて注水する。これらの対応は、2018年7月7日までに常設設備を設置するように求めている。

 2018年までに設置しなければならない新しい常設設備を審査する審査官に対する”審査ガイド”を新たにを策定するので、意見募集を行うことを委員会で議論するもの。

 当該審査ガイドは、法律上は意見募集が不要だが、「任意に行うもの」として、8月7日から9月5日までの期間で意見募集(パブコメ)を行うことが了承された。

 本件で対象となる航空機衝突などは”テロ対策”に関係し、セキュリティに関する機微な内容のものがあり、公開できないものもある。規制庁・山形浩史氏は、大枠は公開で徹底的に議論してから、具体的なテロの想定等は改めて非公開の委員会で議論したいと提案した。

 更田豊志委員は、申請する事業者に非公開部分の情報提供をするか否か説明するようコメント。規制庁・山形氏は、その部分に関して、何らかの秘密保持規程を結ぶなど、情報の取り扱い規程は検討中であるとし、改めて委員会で議論すると返答した。

 パブコメで寄せられた意見は、通常のパブコメと同様に公開するが、具体的なテロの想定など、回答が書けない所も出てくるだろうと山形氏は想定している。田中俊一委員長は、そこの仕分けは確実に行うよう指示した。他に意見はなく、審査ガイド(案)、パブコメの実施は了承された。

議題 3 福島第一原子力発電所の外部事象に対する防護の検討について(案)

 7月9日に開かれた第16回規制委員会にて、福島第一原発の地震・津波に対する防護について検討を行うようにという委員長の指示を受けて、事務局が整理・検討した結果を報告するもの。

 福島第一原発は2013年8月に認可された実施計画にて、3.11震災には耐えらるように地震動600gal、津波14mの高さで評価、対策している。しかし、被災して脆弱な状態のまま、長期に渡る廃炉作業を行うことや、他の原発は新規制基準にて地震動、津波の高さを見直している。こうしたことから、2013年8月の想定で十分なのかを再度見直し、対策を強化すべきという考えで検討するもの。

 大島賢三委員は、毎日五千人が作業する現場の内部脅威、セキュリティ面も検討し、必要な措置が取られているかを引き続き監視するようコメント。更田豊志委員は、別途検討会で個人認証制度の導入に向けた検討を進めていて、内部脅威に対する大きな防護と期待しているとコメントした。

 地震・津波の対策を評価する前に、基準地震動を決めるが、金城慎司・福島第一事故対策室長は「見直す基準地震動の調査に長時間を要する」と説明。東電に検討するよう指示してから1年近く経つが、まだまとまらないという。

 これについて更田委員は、いたずらに時間を費やすことなく、目標を設定して速やかに対策を指示することを希望。「ある意味、規制当局にとって決断の問題だ」とし、東電に求める対策や目標値を1か月半位を目標に、期限を決めて早急に行うことを要望した。

 そのため、後手に回らないように見直した地震動や津波の高さを「えいっ」と1か月半程度で決めることを意見した。これに対して、島﨑邦彦委員長代理は「えいっと決めるのは乱暴すぎる」と言うも、他のプラントを参考にして1か月ぐらいで決まるだろうと意見した。

 結局、更田委員は「1か月半程度で明確な指示を出したいと考えている」と述べ、島﨑委員長代理は「絶対に後手にならないように早急に進めてほしい」とコメントした。

 田中俊一委員長は、東電について、「大きなリスクに対する取組みが後手に回り、地下水バイパスばかりに関心がいっている」と少し声を荒げ、整理して監視評価検討会デモプライオリティを間違えないように検討することを要請した。問題の整理をして、監視評価検討会で議論することを期待した。

議題 4 平成26年度第1四半期の保安検査の実施状況について

 平成26年4月から6月に実施した保安検査の結果を事務局から報告するもの。

 運転上の制限逸脱はなかったが、東電福島第一原発において、4000トンノッチタンク群から堰外へ漏洩したこと、共用プール建屋屋外エリアモニタの2重化電源の誤結線による欠測という「監視」に該当する事象が報告された。

 日本原研のもんじゅは、体制の再構築や保全計画の見直しが「いまだ途上である」として、規制委員会は是正命令を出している。今回の保安検査の結果、是正処置に着手しているが、まだ課題もあると規制庁は判断。今後の保安検査で改善状況を確認するとしている。

 日本原研は保安管理上の不備問題の解決を促進するため、内部組織を改編すると8月4日に保安規定の変更認可申請があったことから、内容を報告、説明するよう大島賢三委員が要望している。規制庁・南山力生氏は、まだ申請を受けたばかりだが、と前置きして説明。プラント維持と保守管理上の不備問題対応に専念するよう各組織の業務内容を整理し、明確にした体制にすること、もんじゅを理事長直轄として、トップダウンで運営するように変更することを報告。もんじゅを支援する”もんじゅ運営計画研究開発センター”も新設するという。

 大島委員は、日本原研の問題に対して、安全文化の面で問題があると考えており、組織改編が安全文化の醸成につながるのか、しっかり検討、監視することを提案。「組織維持に終わってしまう改編ではだめだ」と指示した。

 また、今回の保安検査にて、規制庁検査官は試験研究炉や再処理設備など複数の設備において、不適合として管理を行う事象が法令違反等の重大な事象のみに限定して運用され、是正処置および予防処置が確実でなかった、という共通的な課題があると指定。

 このことに対し更田委員は、不適合管理についての制度を骨抜きにするものだと述べ、「重く受けとめるべきで、今後もきちんと監視してほしい」と指示した。

その他

 最後に田中委員長より、来週はお盆なので定例委員会は休会とすると発言があり、本日の定例委員会は終了した。

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