「竹中平蔵の正体」 〜岩上安身による『市場と権力』著者・佐々木実氏インタビュー 2014.7.16

記事公開日:2014.7.18取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・藤澤要)

 「竹中平蔵」――。嵐のような「構造改革」全盛時代を演出した張本人である。

 ジャーナリストの佐々木実氏は、8年という取材期間を経て、竹中氏の評伝『市場と権力』(講談社、2013.05)を執筆。同書は、経済学者、政府閣僚、企業経営者といった複数の顔を自在に使い分け、政策決定に絶大な影響力をおよぼしてきた竹中氏の実像をとらえた力作として高い評価を得ている。

■イントロ

  • 日時 2014年7月16日(水)
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

 竹中氏の人物像をはじめ、同氏が一貫して推進してきた新自由主義政策について、7月16日、佐々木氏に岩上安身がインタビューを行なった。佐々木氏は、「竹中氏を押し上げた時代をまるごと書きたかった」と話し、新自由主義的傾向が勢いを増す1980年代以降、竹中平蔵という存在がいかにして産み落とされたかについて語った。

 また、リーマン・ショックという教訓にもかかわらず、いまだに新自由主義路線を歩む経済政策と、集団的自衛権の行使を可能にする「国体の変更」との両者を同時に押し進める安倍政権のあり方にも話題はおよんだ。

ASKA事件の背後にちらつく竹中氏の姿

 ミュージシャンのASKA被告が覚醒剤所持などの容疑で逮捕されたことは、世間を騒がせた。事件は、ASKA被告が保釈金700万円を支払ったことで、一応の収束がなされたとみられている。

 ところが、この事件の裏には、人材派遣業・パソナグループ代表取締役会長を務める竹中平蔵氏の姿が見え隠れする。

 この事件でASKA被告とともに知人女性が逮捕されたが、2人はパソナの接待施設「仁風林」で知り合ったとみられている。この女性は、逮捕時には「セーフティネット」という会社に在籍していたが、それ以前には、パソナ社長の南部靖之氏の秘書のような役回りをしていた時期もあったとも報じられている。

 仁風林には、多数の政治家や官僚が出入りしていたとされ、安倍総理も総理大臣になる前に訪れたと言われている。これだけでも驚愕すべき事態だが、なんと人材派遣業を監督すべき現職の厚生労働大臣までが仁風林を訪れていた。田村憲久厚生労働相は2014年5月28日の衆院厚生労働委員会で、2013年2月28日に仁風林を訪れたことを認めている。

 田村大臣が仁風林を訪れた2週間後の3月15日、第4回産業競争力会議が開催され、竹中氏は「慶應義塾大学総合政策学部教授」として出席。また、田村大臣も「臨時議員」としてその場にいた。

 この会議の場において、竹中氏は次のように発言していると、佐々木氏は指摘した。

 「雇用調整助成金を大幅に縮小して、労働移動に助成金を出すことは大変重要。是非大規模にやって欲しい」(※)

 「労働移動」または「雇用の流動性」の進展は、人材派遣業にとって望ましい環境の整備を意味する。このような、パソナグループ取締役会長からの要望とも取られかねない発言に対し、田村大臣は、「これまでの雇用維持型の政策から、労働移動支援型の政策にシフトする」と明言。また、雇用調整助成金の大幅な縮小を行うとし、「民間人材ビジネス」の活用を強調した(※)。

(※)同日の産業競争力会議での竹中氏と田村大臣の発言は、以下から確認できる。

竹中氏の特異性

 識見を持つ経済学者として政策決定の現場に食い込み、一方で財界や実業界との関係も持ち続ける。単に有識者として助言をするのでなく、自身の信じる政策の実行には、学界、政界、官界の人脈を動員して、貪欲なまでに取り組む。そんな竹中氏は、ついには小泉政権時代、閣僚にまでのぼりつめた。

 一介の経済学者に収まらない、このようなあり様を、竹中氏は一体どこで身につけたのだろうか。

 佐々木氏は、「大蔵省の財政金融研究所への出向時の長富祐一郎という上司の影響があります」と指摘し、次のように続けた。

 「長富氏は、大平正芳総理大臣の秘書官を務めた大蔵官僚です。大平総理の下で学者の人脈を広げ、さらに財政金融研究所を立ち上げる時に銀行や生命保険会社からの支援も取り付けるなど、手腕を発揮した人です。

 このような異能の官僚の鞄持ちをしていたのが竹中氏です。竹中氏は、長富氏の下で学者を使う大蔵官僚の視点を学び、その人脈も受け継いだのです」。

 さらには、米国のエコノミスト・経済学者の政治への関わり方を目の当たりにした竹中氏には、その影響も大きいという。米国では、著名な経済学者が政治の中枢で活動する一方で、ウォール街や実業界にも関わる事例が数多くあると佐々木氏は話す。

 「例えば、グレン・ハバードはジョージ・W・ブッシュ政権で大統領経済諮問委員会委員長を務めましたが、膨大な数のウォール街関係の顧問もしている。ローレンス・サマーズはクリントン政権で財務長官。この人の講演料は1回1千数百万円です。サマーズは金融業界の規制緩和を進めた中心人物ですが、そこから多額のお金が流れる構図があるわけです」。

 むろん、いかに竹中氏が上手く立ち回ったとしても、それを受け入れる環境がなければ、あれほど際立った活躍を見せることは不可能である。佐々木氏は、「パソナの一件にしても、専門集団の職業倫理があれば、まずはね付けられる種類のことです。それがないことが、むしろ問題」と、竹中平蔵的なやり方を助長させる土壌があることを指摘した。

新自由主義と「国体の変更」

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“「竹中平蔵の正体」 〜岩上安身による『市場と権力』著者・佐々木実氏インタビュー” への 3 件のフィードバック

  1. @AkiraKariusumakさん(ツイッターのご意見より) より:

    竹中平蔵は戦争で稼ごうとしているはず。

  2. @lavepationさん(ツイッターのご意見より) より:

    「みなさんには貧しくなる自由がある」と言う男が政府にいる。竹中平蔵

  3. @mikisungoldさん(ツイッターのご意見より) より:

    イントロ部分だけでもすごい興味深い。ぜひ会員になってご覧下さい!

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