「姑息だ」「頭を冷やせ」函館市長、門前払いの国と電源開発を痛烈批判〜大間原発建設差し止め訴訟 第1回口頭弁論後の記者会見 2014.7.3

記事公開日:2014.7.4取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 青森県大間町で現在建設中の、大間原子力発電所の建設差し止めをめぐる裁判で、7月3日、東京地裁で第一回口頭弁論が行なわれた。

 自治体が原発差し止め訴訟を起こしたのは初めてとあって、閉廷後に開かれた記者会見には、会見室に入りきらないほどの報道陣が詰めかけた。

 「思いの丈を100%話すことができた」ーー。

 約35分間の意見陳述を行なったという北海道函館市の工藤寿樹(くどう・としき)市長は、第一回目の口頭弁論を振り返り、満足した表情を見せた。一方、「訴えは不適法である」と真っ向から反論し、却下を求めてきた国や電源開発株式会社については、「姑息だ」と断じ、「安全性に自信があるなら、堂々と正面から闘って欲しい」と批判。

 福島第一原発事故後、不安を抱いている国民に真摯に向き合ってこなかった姿勢に憤りを覚えると話し、「頭を冷やせ」と厳しい言葉を投げかけた。

■ハイライト

  • 出席 工藤壽樹函館市長(原告代表者)、河合弘之氏(原告訴訟代理人)、井戸謙一氏(原告訴訟代理人)、海渡雄一氏(原告訴訟代理人)、望月賢司氏、中野宏典氏、兼平史氏
  • 日時 2014年7月3日(木)
  • 場所 司法記者クラブ(東京都千代田区)

青森県より被害が大きい北海道

 今後、裁判の中で争点となるのは、函館市に、大間原発建設への同意権が認められていない点だ。

 函館市は大間原発から最短で23kmに位置し、防災計画の策定が義務付けられている30km圏内の地域を含んでいる。事故が起きた場合、原発から50km圏内には37万人の市民が暮らす。一方、青森県側は9万人。

 立地地域よりも甚大な被害を受ける可能性があるにも関わらず、函館市には交付金も発言権も付与されていない。差し止め訴訟を起こした4月に開いた記者会見で、工藤市長は、「発言権もなく、危険を押し付けられる理不尽さがある。だから、自治体訴訟を起こした」と語っている。

 5月21日、福井地裁は大飯原子力発電所3、4号機の再稼働を認めない判決を言い渡している。この判決は今後、大間原発の裁判に影響を及ぼすのかー。

 記者から問われると、「極めて大きな影響がある」と原告訴訟代理人である井戸謙一弁護士は説明した。井戸氏は、金沢地裁の裁判長として、2006年に北陸電力志賀原子力発電所2号機の運転差し止めを認める判決を出している。

 「もし大飯判決と逆の結論を取るならば、判決に書かれた理屈を全部否定しなければいけない。判決文は簡単な言葉で書かれているようにみえるが、展開されている論理はしっかりした事実に基づいている。ひっくり返すのは容易ではない」。

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