2013年3月15日(金)16時から、北海道函館市にある函館弁護士会館にて「第9回函館地裁大間原発口頭弁論 報告会」が行われた。この裁判は、大間原発(青森県大間町)を建設中の電源開発と国を相手取り、 建設差し止めなどを求めた訴訟である。訴訟団、弁護団からは、本裁判の裁判長への批判が続出した。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2013年3月15日(金)16時から、北海道函館市にある函館弁護士会館にて「第9回函館地裁大間原発口頭弁論 報告会」が行われた。この裁判は、大間原発(青森県大間町)を建設中の電源開発と国を相手取り、 建設差し止めなどを求めた訴訟である。訴訟団、弁護団からは、本裁判の裁判長への批判が続出した。
■全編動画
※3月18日、録画配信
冒頭、主催者代表が、本裁判の概要を説明した。続けて、今回の口頭弁論で、意見陳述を行った3名が報告を行なった。はじめに、千葉市からの参加者が、千葉県の状況を「放射能の線量調査を、千葉県は禁止している。千葉市では、やっと自費での線量調査のOKが出た」などと話した。
北斗市からの参加者は「震災半年後から、脱原発の活動を始めて2年がたった。やはり、家族の変化、子どもの成長で、脱原発運動の環境は厳しくなっていく。福島の子どもたちの保養の手助けをしているが、当事者の生の声を聞くと、とても他人事ではないと思う」と語った。
次に、函館市からの参加者が「大間原発反対運動を30年近くやっている。以前、函館市の湯川町に住んでいて、大間との距離の近さに驚いた。今まで、いくつもの原発事故が起こっていたが、遠い出来事だと思っていた。今回、福島の事故で、当事者になった感覚だった。しかし、2年も経つと、すっかり風化してしまった。反省するしかない。大間原発を止めたい」などと訴えた。
参加者の中道氏が「今回、大間も含め、青森から6名が原告として参加している。函館で450名の集会デモを開催した同日、青森駅前公園にも1300人余りが集まった。政権が変わり、今、青森は風雲急を告げている。六ヶ所村の再処理工場は、来年度中には本格稼動する可能性がある。8月には、むつ市の中間貯蔵施設が完成し、10月に本格操業に入り、柏崎刈羽原発から使用済み核燃料が搬入される。つまり、原発再稼動、大間原発の建設再開を考慮した結果だ」と、現状を語った。
続いて、3月9日と10日の、東京での310原発ゼロ大行動デモなどについて、「4万人ほど集まり、日比谷野外音楽堂には入れないほどだった。10日の東京新聞によると、福島では789人の原発関連死があり、ストレスなどの原因も含めると1000名以上が亡くなっている。世界の44カ国が、まだ、日本の農産物を輸入規制している」などと報告した。その後、市議会議員から、超党派による議会活動の状況説明、訴訟団から、今後の裁判と活動予定の説明があった。
訴訟弁護団は「今回、裁判長は、こちらの話を聞いていなかった。おそらく、最高裁から、長い時間をかけるな、と言われているのだろう。今の論争も、7月に(原子力規制委員会から)新安全基準が出てこないと判断できない、どうせまた、主張も変わる、という意識で、真面目さに欠ける。意見陳述を続けることは、とても大切だ。しかし、司法側は、なんとか意見陳述を減らそうという姿勢がうかがえる。また、警備上の懸念を持ち出し、傍聴席も減らそうと企んでいる」などと話した。
さらに、「裁判官は、すでにストーリーをたてて、それ以外の意見陳述を聞くことは、無駄と決めつけている。他にも10あまりある原発裁判を見ていると、裁判所全体として、なるべく意見陳述などを減らそうとする意図が見える。特に、この裁判は最悪だ」と批判した。また、参加者から「会場を広いところに移せないのか」と尋ねられると、「玄海原発では、原告団は5000人いた。最高裁指示では、100人ずつなどに分割して開催しろ、という判断。また、一人ずつが原告になってもいい」と説明した。別の参加者が「やはり、傍聴者をもっと増やすことも必要だ」と付け加えた。
また、弁護団の一人は「日本の裁判所は、国民の圧力を感じていない。一番、腹がたったのは、進行協議と称して弁護士を呼んで、非公開の場で、『傍聴人を減らす、プレゼンの仕方はおかしい』などと文句を言うこと。とにかく、住民が声を上げてほしい。最高裁と函館地裁、それぞれに手紙を書くことも効果がある」と語った。そして、「函館裁判は、全国の原発の再稼動や新設を阻止する、脱原発立法運動の一環だ。日本から原発をなくすために、連携して活動をしていこう」と呼びかけて、報告会は終了した。